中低価格帯の外資ブランドにとって日本市場は鬼門では?
2023年4月19日 企業研究 1
これまでの市場の推移を見ていると、ラグジュアリーな高級ゾーンを除くと、中価格帯から低価格帯の外資ブランドのほとんどが国内市場には根付きにくいといえるのではないかと思う。アパレルブランドに限らず。
アパレルで見ても、結局国内に残った外資ブランドは、GAP、ZARA、H&Mくらいである。大手3社の看板ブランドだけが残ってサブブランドは撤退してしまった。要するにサブブランドは売れなかったということになる。
広い意味での流通としてはカルフールも早くに撤退したし、西友を買い取ったウォルマートもそこそこの年月がんばったが結局は撤退してしまった。
比較的残ってるのは後発組みのコストコくらいではないかと思う。
そんな中、また外資ブランドの撤退が発表された。
ゼビオグループ運営、イギリス発「ネクスト」が日本から事実上の撤退 5月中に全店舗閉店へ (fashionsnap.com)
ネクストは、原宿店を5月14日、自由が丘店と郡山朝日店を5月28日に閉店。スーパースポーツゼビオ内にインショップとして展開しているSSXダイバーシティ東京プラザ店、SSXみなとみらい東急スクエア店、SSXららぽーと名古屋みなとアクルス店、SSXららぽーと甲子園店、SSX神戸ハーバーランド店の5店舗についても、5月中に順次閉店を予定している。本国の公式オンラインストアでは、これまで通り日本への発送を続けるという。
とのことである。
そういえば、イギリスの「ネクスト」なんていうブランドもあったなあ、とこの報道を見て思い出したほどその存在感は日本国内では薄かった。
たしかにネクストというブランドもあったことは知識として知っているが、ここ10年くらい、国内業界では全く話題にもなっていなかった。
恐らく相当売れていなかったのだろう。売れていたら話題には上るのが繊維業界である。
ではネクストはいつから日本にあったのかというと、
ネクストは、イギリス発のカジュアルファッションブランドで、1996年に日本での事業をスタート。当初は、ウィメンズ、メンズ、キッズのアパレルアイテムを展開していたが、近年は子ども服に特化した店舗運営を行っていた。
とのことで、96年に上陸していた。
ということは27年前ということになる。27年間展開してきて最終的に8店舗展開に終わっているということはかなりの不振だったといえる。
ネクストは直接ではなく、ゼビオとの提携で上陸している。
1996年、当社はnext社と提携し、『手頃な価格でコレクション価値がある』をコンセプトに、子供服を中心に首都圏に3店舗、全国のスーパースポーツゼビオ内にインショップとして16店舗展開しております。
とゼビオのサイトに説明されているが、この時に比べると店舗数を半減させていることになる。
ネクストが27年間かけてもさほど広がらなかった原因はいくつかあるのだろうが、まず言えるのは、ゼビオとの提携がミスマッチだったのではないかという点である。
ゼビオはスポーツウェアの展開についてはノウハウはあるものの、ファッションブランドの運営についてはノウハウは無い。ゼロではないだろうが、ファッションブランドのノウハウが圧倒的に足りない。恐らく内部の人材を移籍させるだけでは到底無理だろう。外部から獲得する必要があるが、これも大博打である。アパレル業界には評判ばかり名高いが実績はボロボロという有名人が多々いる。
次に考えられることは、一部を除いて国内は外資中低価格帯ブランドにとっては適合しにくいという点である。
当方も業界の古株にすっかりなり果ててしまったが、当方よりも年長の業界の古株は、けっこう舶来コンプレックスが強く、欧米からの舶来ブランドを頭っから盲信してしまう性癖を持っている人が多い。ネクストとの提携もそんなイメージで進められたのではないかと想像してしまう。
だが、これまでの中低価格外資ブランドの撤退を見ていると、日本の消費者はそこまで海外ブランドを盲信しているわけではないと思えてくる。
前回のブログにも書いたが、アパレルに限らず国内には「そこそこ安くてそこそこ良い物」が溢れている。アパレル、100均、飲食チェーンなどなど。
例えば雑貨にしても、デンマークのフライングタイガーは上陸時こそ長蛇の列ができ話題となったが、今ではそんなに誰も騒いでいない。数ある雑貨店の中の1つになっている。
フライングタイガーに比べると、パルのスリーコインズの拡大ぶりはすさまじい。またもう少し日用色が濃いならダイソー、セリアの売上規模は圧倒的である。
どう見ても、舶来のフライングタイガーよりもスリーコインズ、ダイソー、セリアの方がマスに選ばれているといえる。
アパレルにしても同様で、ユニクロ、しまむら、ジーユー、ハニーズなどの国内中低価格ブランド群の方がマス層には選ばれている。
よく、業界のエライ人が外資が撤退するたびに「日本人は〇〇ブランドに見捨てられた」と意味のわからない主張を繰り返しているが、因果関係の認知が逆ではないかと思えてならない。
〇〇ブランドが日本人から見放されているから売れなくて撤退するのである。
ウォルマートしかり、オールドネイビーしかり、である。
日本人から支持されているなら少なくとも一定の売上高を維持し続けられるはずである。それが出来なくて縮小しているのだから、〇〇ブランドが日本人から見捨てられているのが実態だといえる。
ネクストもゼビオのノウハウ不足もあったのかもしれないが、結局のところ、これまで撤退した外資と同様に「イギリス舶来」の看板だけでは日本人消費者に支持されなかったということに過ぎない。
今後は外資の安易な上陸というのは減少傾向になっていくことだろう。
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中低価格帯の外資ネームが普及した実例というと
徹底したローカライズした・
つまりネームこそあちらの物だけれど
日本企画・日本発注を徹底したライセンス物だけです
代表例がノースフェイス・ゴールドウィン
それでもヒットを飛ばすまで四半世紀かかっています
衣食住の3分野・特に小売りが大きく絡む衣食は
ローカライズが必須だから、コスト面で割に合わない
それも中低価格帯は大規模展開必須だから
ますます割に合うわけがありません
そしてLLビーンやノースフェイスが日本にない文化を
持ち込んだのは間違いありません
しかし、食の分野の西友・ウォルマートが
何もできずに10年以上ダラダラちんたら
やってただけなのが残念です
モノ以外の+の何かを持ち込まない限り
ロゴだけ入った岐阜物にすら勝てる訳ないです