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南充浩 オフィシャルブログ

「若者の半ズボン離れ」という話 

2023年4月12日 トレンド 0

肌寒い日があるものの、今年の3月・4月(といってもまだ10日ほどしか過ぎていないが)は記録的高温が続いている。最高気温25度前後の蒸し暑い日も多い。例年通りならこの気温は5月くらいである。

綿セーターや長袖トレーナーなど「春物」と呼ばれるアイテムをほとんど着る機会が無いまま夏を迎えそうだ。

夏はエルニーニョ現象によって比較的冷夏になるという予報もあるが、他方では例年通りに猛暑になるという予報もある。猛暑だけは避けてほしいと思いながら毎年過ごしている。夏は嫌いである。

 

真夏の成人男性の半ズボンスタイルもめっきり定着してしまった。休日のオッサンは業界人も含めて半ズボンスタイルが本当に増えた。

当方が子供の頃、身の周りの大人はスポーツをするときや海水浴時、夏の寝間着程度しか半ズボンを穿いていなかった。その頃に比べると、現在の真夏の成人男性の半ズボン比率の高さは別世界のようである。

記憶をたどると、2011年の東日本大震災による電力不足から成人男性の半ズボンスタイルというのが一気に急増したことを覚えている。

節電によって冷房が緩くなったため、暑さ対策として半ズボン着用にお墨付きが出たからだと当方は考えている。

当方は元々は半ズボンはそれほど好きではない。せいぜい夏の寝間着かワンマイルウェアに着用する程度だった。あとはランニング用である。

理由は半ズボンを穿いた成人男性・オッサンの姿がどうしてもカッコイイと見えないからだ。オッサンのくせに小学生みたいな服を着ているように見える。まあ、これは当方の固定観念である。

2011年夏、半ズボン着用比率が劇的に高まったと感じた。その当時、懇意にしていただいていたOEM会社の社長も当方より数歳年上ながら、半ズボンを着用するようになった。

それに驚いたものだった。

当方はというと、ずっと7分丈のクロップドパンツを夏場に愛用していた。2011年当時もそうだった。

やはり、脚を丸出しすることには抵抗がある。あと、膝を保護する布がないと、万が一転んだ時に膝をすりむいてしまう可能性が高いので、そこにも不安がある。長ズボンや7分丈パンツなら膝は保護されている。

 

どうだろうか、当方が夏場に外出着としても半ズボンを着用するようになったのは、2017年か2018年になってからだった。

理由はオッサンの半ズボン姿が増えすぎて見慣れたからということと、暑さに我慢できなくなったということの2つである。そして2020年からのコロナ禍で人と会う回数が激減したことから、20年・21年・22年と夏場は90%くらい半ズボンで過ごして今に至る。

とはいえ、膝上丈の半ズボンが当方も含めたオッサン連中に似合っているとは到底思えない。小太りのオッサンは特にだ。個人的にはいくら半ズボンでも膝下丈くらいがバランス的には合っていると思う。

 

さて、先日、繊研新聞に興味深いコラムが掲載され、なるほどなあと感心した。

《めてみみ》世代交代 | 繊研新聞 (senken.co.jp)

定点観測の取材で、あるメンズ専門店の店長からこんな話を聞いた。ここ数年、若い世代の客が夏場に短パンを買わなくなった。ムダ毛が気になるとか、短パンをはくこと自体がスタイルとしてクールではないとか、色々理由があるらしい。

実際、去年も大型連休の前後には、オリジナル商品や仕入れで毎年人気の「パタゴニア」のバギーショーツなどが入荷したのだが、買うのは「30~40代の大人客ばかりで、10~20代は目もくれなかった」。

 

とのことである。

これを読んでから、2022年の夏を思い返してみると、2011年当時の記憶と比べて10代後半~20代末までの若い男性の半ズボン姿が今更ながら激減したことに気が付いた。

実は、昨年夏に学生っぽい若い衆の服装を大阪市内で眺めていたのだが、半ズボン姿が10年前と比べて少なくなっていると感じたことがあった。

そして、オッサン連中は相変わらず半ズボン祭りである。

このコラムの指摘する通りである。コラムには「ここ数年」とあるから、2020年とか2019年あたりから「若者の半ズボン離れ」が始まっていたと考えられる。

そして、オッサン連中はユニフォームのように半ズボン比率が高いままである。何なら、当方のようにその頃から半ズボンデビューするオッサン連中もいたほどだ。

 

さて若者が「半ズボン離れ」を始めた理由はなんだろうか?コラムには

「10~20代が好むスタイルは、10年後に10~20代になる世代に選ばれないことが多い」。例えばきれいめのモードっぽい服を好きな客層の次の世代は古着を好んで着るようになるとか「好き嫌いや格好良い、ダサいの感覚は周期的に入れ替わる」という。

とある。

これは確かに理由の1つだろう。

半ズボンユニフォーム化現象が2011年から起きたという当方の説が正しいとすると、その10年後の2021年に10代後半~20代半ばに達した若者は半ズボン着用を嫌ったということになり、ちょうど記事内容と重なる。

30~40代が半ズボン顧客と書かれているが、正直なところ、半ズボン客は30~60代男性だといえる。特に30代半ば以上の真夏の半ズボン着用比率は異常に高い。まるで制服のようである。

今の若者からすると、半ズボンは「オッサンが穿いていたズボン、オッサンが現在進行形で穿いているズボン」というふうに映るのではないだろうか。

30代半ばくらいになると、オッサンの自覚が強く芽生えてくるから抵抗はないのだろうが、10代後半~20代からするとオッサンの制服を着用する気にはなれないのだろうと思う。

そしてこの法則は恐らく半ズボン以外のすべてのアイテム、コーディネイトに当てはまる。

一時期、若者のジーンズ離れが話題になったが、2020年代の若者はちょくちょくジーンズを穿くようになっている。またオーバーサイズに対する若い女性(たまに若くない女性も)のヘソ出しルックもそうかもしれない。

しかし、今の若者のジーンズスタイルもヘソ出しルックもまた10年後の若者には拒否されることになるだろう。

 

もうこれから誰も見たことが無かったような斬新なスタイルやアイテムは登場しないだろうから、こうやって輪廻転生のごとく、定期的に流行ったり廃れたりを繰り返すということになるだろう。

 

今回、ただ一つ、ハッキリ言えることは、半ズボンはオッサンが穿くズボンになったということである。

 

 

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