かけ離れつつある業界の常識
2014年8月22日 未分類 0
業界ではそんなに価値があるとされていないのに、一般消費者は価値があると考えている物がある。
反対に、業界では価値があると思われているのに、一般消費者は価値をそれほど感じていない物がある。
ときどき実際にお会いさせていただいている人気ブロガーの和田一郎さんがこんなエントリーをあげておられる。
http://kyouki.hatenablog.com/entry/2014/08/19/081636
非常に短いブログなので全文を読まれれば良いと思うが、以下に引用する。
着物業界での固定概念が消費者には伝わっていないという事例を2つ挙げておられる。
まずは
ひとつ目。
「ポリエステルと絹で同じデザインの商品があり、値段が同じなら、ポリエステルを選ぶ」というお客様も、最近は多い
である。
そこには、「絹の方が、圧倒的に高価で品質も良いもの」という前提がない。絹であることの煩わしさ、手入れにお金がかかったり、保管に気をつかう必要があったり、子供が駆け寄ってきた汚れを心配してつい避けたくなったりして、行動が制限されたりすることを考えれば、トータルで見た場合「モノ」としての価値は、どちらが上とも言えないと思っているお客様が増えてきたということだ。
次に
ふたつ目。
「着物を買うと保管場所がいるのが嫌だ。だからレンタルする」
「レンタルの方が安い」からというのが主たる理由ではなく、保管するのが煩わしいのでレンタルするという人が増えたというのだ。たしかに、最近では断捨離とか、モノを多く持たずにシンプルに生きることに皆の感心が向いていそうだ。着物の保管には、やはり和ダンスがいる。そうやってモノが増えていくことそのものが嫌という人も多いらしい。
とのことである。
絹とポリエステルの議論でいうなら、絹は圧倒的に高価な素材である。
それなりの機能性もある。しかし、難点もある。
洗濯を含めた手入れが面倒くさいことである。
筆者はユニクロのシルク製品が思ったほど売れなかった原因の一つにはこの手入れの面倒くささがあると考えている。
3900円くらいで購入したシルクのブラウスをわざわざクリーニングに出そうという人はあまり多くないだろう。
なぜなら、何度もクリーニングに出し続ければ、その都度費用が発生する。
合計すれば数回目くらいには購入金額をクリーニング代が上回ってしまうことになる。
安い物を有料でメンテナンスするということに抵抗を覚える消費者は多いのではないか。
次のレンタルの方が便利だという消費者。
着物は以前は何世代にも受け継がれる財産だった。
とくに訪問着や振袖は。
筆者の亡くなった母も着物を親から受け継いだし、自分で購入した着物と合わせて次に引き継いでいる。
しかし、着物は管理が面倒くさい。
とくに高額だったとなればなおさらだ。
もし、何かあれば廃棄しなくてはならないからもったいない。
そして、保管場所も必要になる。
以前は着物を所有することがステイタスだったが、現在はそのステイタス性は崩れたと見るべきだろう。
今回は着物業界のことだが、これは洋服業界にも通じることだろう。
筆者も綿100%のシャツよりも少しポリエステルが混紡・交織されているシャツの方が洗濯してもシワになりにくいし、速乾性もあるから便利だと感じている。
防シワ加工や速乾機能を持たせていなくてもだ。
業界の固定概念が実は消費者に届いていなかったという事例はほかにいくつもあるのではないか。
そのあたりをもう一度見つめなおしてみてはどうか。