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南充浩 オフィシャルブログ

心斎橋筋商店街を歩いてみて改めて感じたユニクロとジーユーの強さ

2023年3月22日 売り場探訪 0

昨年秋くらいから、コロナ自粛がかなり減少し、人通りが戻ってきた印象が強くなってきたが、23年1月からは外国人観光客も増え始め、場所によってはかなり人出が増えていると感じられる。

昨年秋から飲食店、特に居酒屋類は結構客入りが増えていたが、23年1月以降は金曜日・土曜日の夜は予約をしないと入りづらいくらいにまで増えている。(大阪市内の場合)

3月に入って暖かさが増すとさらに大阪市内の人通りは増えたと感じる。まあ、ちょうど学生の春休みシーズンとの重なりもあるのだろうが。

 

そんなわけで少し前に久しぶりに心斎橋筋商店街を歩いて、少しだけ売り場訪問をしてみた。

と言っても3月10日、金曜日の夕方15時から16時半までの1時間半のことなので、たまたまこの日、客入りが悪かったとか、17時以降入店客でごった返したとか、そんな事態はあり得るので、あくまでも参考程度の個人的印象である。

それにしても1月以降の心斎橋筋商店街は如実に人通りが増えている。コロナ禍で閉店した店舗跡地のいくつかも工事が始まっており、23年には店舗数も再度増えそうである。

 

まず、ジーユーとユニクロの共同店舗である。

ここは相変わらず、金曜日の昼下がりというのに、客入りが多い。外国人観光客も相当数入っていた。

ジーユーフロアは主に若者が、ユニクロフロアは30代以上に若者が少し混じっている感じで、外国人観光客はジーユー、ユニクロ両方に相当数いた。

かなりの好調だと感じられる。

 

次に向かったのが、久しぶりのGAPである。

3年か4年ぶりくらいだろうか。店内に客入りは少ない。この日は3月に似合わない高気温で20分くらい歩くと汗ばむ陽気で、各店舗では冷房がかかっていたが、GAPは客入りが少ないので冷房がよく効いていて実に気持ちが良かった。

ジーユー&ユニクロの客入りとは全く比べ物にならない少なさで、商況はなかなか厳しいのではないかと感じられた。

久しぶりに商品を見てみると、また定価設定が変更されていることに気が付く。

コロナ禍が始まって自粛真っただ中だった2020年8月下旬にGAPはこんな発表をしていた。

 

「ギャップ」が今秋冬から全商品を3~4割値下げ 常態化したセールを変革へ

「ギャップ(GAP)」は今秋冬物から、日本の商品価格を全体的に3~4割下げる。看板商品のジーンズの中心価格は、従来の6990~7990円から3990~4990円となる。セールが常態化して価格が分かりづらくなっていたことを受けて、「フェアな価格を打ち出し、日本のお客さまにいつでも安心して購入してもらえるようにする」とマシュー・コリン(Matthew Corin)ギャップジャパン社長。2019年11月に現職に就き、今年1月から日本に住んでいるというコリン社長に聞いた。

 

とのことだった。

しかし、3年ぶりに入店して商品の値札を見てみると、定価は一律に2020年以前の価格に戻っている。そしてお馴染みの「セールコーナー」が復活していて2900~3900円に値下げされた商品が並んでいる。

 

 

定価が上昇したのは、原材料費・燃料代・運賃などの製造コストの上昇によって仕方がなかった側面はあるのだろうが、半額セールコーナーの復活はもう完全に2020年以前の「定価で買う必要の無いGAP」である。もちろん、売れ残り品が多いから値下げしてでも売り切る必要に迫られているのだろうと考えられるが、それでも2020年秋冬から打ち出した販売施策が短期間で変更されているのは、消費者に対して悪印象しか与えないだろう。GAPの日本国内での苦戦はまだまだ続くと考えた方が正しいだろう。

 

そして、その斜め前にあるシーイン跡地を見に行って驚いたのである。

1月下旬までの3カ月間の期間限定ポップアップと銘打って昨年10月下旬に開店したシーインがまだ営業していた。急いでウェブで調べてみると「好評につき3月26日まで延長」と書いてある。

果たして3月26日で本当に閉店するのかどうかまた確認してみる必要があるだろう。

 

営業が延長になった理由は

1、本当に好評だったから

2、家主側が希望した

という二つの理由が考えられる。10月・11月と国内メディアでは「シーインフィーバー」が起きたから恐らく本当に好評だったのだろうと考えられる。

しかし、それ以外に家主としてはシーインが出店するまで遊ばせていた物件なので、できるだけ長く使ってほしいという要望があっただろう。格安家賃で貸し出しているのではないかと考えられるが、それでも無いよりはマシである。

 

しかし、この日、10月・11月に多く報道された入店待ちの行列は全く存在しなかった。

何分間か入り口を観察し続けていたが、素通りする人ばかりだった。

 

 

何があったのか確実なことは分からないが、昨年12月以降、シーインに関する報道が激減した。10月・11月は当方のような取るに足らない者でさえ、テレビ番組に何本か出演依頼があったほどである。

しかし、12月以降は依頼が無い。またネットニュースでも12月以降はシーインに関する記事が激減している。

 

そのため、10月・11月のようなフィーバーは無くなったのではないかと考えている。

業界に知人たちに尋ねると「たまに何人か並んでいるのは見かけるが、10月・11月のような長蛇の列はできなくなっている」とのことだったので、シーインに興味のある人は10月・11月で一通り入店し、それ以外の興味の無い人は「わざわざ」入店しようとは思わないのが今の状態ではないかと考えられる。

少し前にシーインに関するLineアンケート記事を紹介したが、あれを見ると、10代女性の半数が買ったことがあるが、30代以降の女性はほぼ買っておらず、今後利用したいともあまり思っていないという結果だった。

業界人が期待するほどにはシーインの知名度も利用率も高くなかったというアンケート結果

となると、そういう層を新たには取り込めていないといえる。

理由は

1、商品の多く(全てではない)が値段相応にチープ

2、ウェブ通販のみという形態が10代女性以降の年代には受け入れられにくい

という2つが考えられる。

1はいわずもがなである。ブログには「中には掘り出し物がありました」というコメントをいただいたが、それはその通りで、中には掘り出し物がある。しかし、全体的に見るとその掘り出し物比率は、1割、高くても2割程度だろうと当方には感じられる。

あとの8割の商品のクオリティでは10代女性以外は満足できないのではないだろうか。

そして、ウェブ通販のみという販売形態である。

現在の60代くらいまではある程度はウェブ通販に慣れている人が多い。とはいえ、当方もそうだが、ウェブ通販のみの衣料品ブランドを積極的に支持する精神的土壌は無い。ユニクロを筆頭とする多くのブランドのように実店舗とウェブ通販の組み合わせが日本のマスには最適だと考えられるので、シーインを今後も積極的に支持する日本人消費者はかなり限定的となるのではないだろうか。

 

個人的には、この日改めて感じられたのはユニクロとジーユーの強さだった。

 

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