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ファッショントレンド系メディアの煽りとマス嗜好の多様化とのズレ
2023年3月17日 トレンド 2
ファッショントレンドというのは「空気感」「雰囲気」みたいなものがあって、街行く人々を眺めていると、何となく「今はこんな感じの着こなし、サイズ感、コーディネイトが流行っているんだな」と薄ぼんやりと認識できる。
それで2010年以前と比べると、ファッショントレンドへの一極集中、過度の集中というのがかなり減っていると感じる。
そして、「今は〇〇が熱い」と1つのアイテム、1つのブランド、1つのスタイルを特集するというファッショントレンドメディアの影響力が、紙媒体、ウェブを問わず昔ほど発揮されなくなっているといえる。
例えば、以前にも書いたが、「スキニーは死んでいない」という報道がつい先日もあった。もちろん、2015年以降スキニーはホットアイテムではなくなったということは知っているものの、当方からすれば「え?死んでたの?」という違和感しかなかった。
理由はその時にも書いたが、一貫してユニクロ、ジーユー、無印良品などではスキニー販売が今まで途切れたことがない。毎シーズン必ずスキニーが販売されている。
それは毎シーズン必ず何万本~何十万本とそれぞれのブランドで売れるからである。売れない物を何シーズンも継続させるほど余裕のあるブランドは存在しない。
また、街行く人を見ていても、スキニーを着用している人は必ず一定層いたし、今もいる。また、その時のコメントにもいただいたが、人気KPOPグループもステージ上ではかなりの確率でスキニーを穿いているとのことである。
ということは、スキニーはホットアイテムではなくなったものの、定番の1つとして定着化したといえる。
それと同じことがファッショントレンドメディアが言うところの「スニーカーブーム」にもある。
スニーカーブームというと、ブームが終わるとスニーカーの着用者数、需要が激減するイメージを持ってしまうが、スニーカーの着用者数は全く減らない。
女性のスニーカー着用者数が増えたということもあるが、当方はそれ以上に老人層のスニーカー着用率が高くなっていることに注目している。
近所のジジババ連中の足元を観察していただきたいのだが、ほとんどのジジババがスニーカーを履いている。もちろんプレミア価格のナイキナンタラ復刻版とか、ナイキエアナンタラコラボ版とかそんな靴でないことは言うまでもなく、ABCマートあたりで4990円で売られているナイキ、アディダスあたりのスニーカーを履いている。モサっとしたジジババならダンロップあたりのスニーカ―である。
当方もそうだが、スニーカーの楽さを体感してしまえば、女性もジジババも今更ノースニーカーには戻れない。ファッションとしてスニーカー以外のパンプスや革靴などを履くことはあるだろうが、スニーカーを一切履かなくなるということはあり得ない。
ということは、スニーカーは「ブーム」ではなく、定着化・定番化したといえる。
似たような最近の例としては「ローライズ復活」である。当方からすれば、これもまた「え?死んでたの?」という疑問しかない。
ちなみに2021年11月にこんな記事が出ている。
ローライズデニムの再燃は、装いの価値観を変えられるか? | Vogue Japan
さらにググってみると、2017年8月にすでにこんな記事が出ている。
朗報であり悲報 ローライズジーンズが流行るらしい (buzzfeed.com)
もちろん、まだ始まったばかりの2023年1月にも同様の記事が出ているから足かけ6年にも渡って「復活」と言い続けているわけで、ハイパーインフレが起きると20年間言い続けて外し続けている国会議員の某F巻氏と同じニオイを感じてしまう。
本命はローライズ!トレンドに復活したカーゴパンツの最新着こなし術【ファッションプロの週間コーデ予報/濱本愛弓編】 | Vogue Japan
レディースとメンズではいささか異なる部分もあるのだろうが、自分が着用しているメンズでいうと、ローライズが死んだことは一度も無かった。常にユニクロにもジーユーにもアダストリアにもあった。
2000年にレディースでローライズが大流行してからその後の数年間でレディースはもとよりメンズもすっかりローライズ化してしまった。それ以降、マス向けブランドではローライズは一度も無くなったことがない。ただ、2015年以降になるとレディースではハイウェストも復活してきて着用者も増えたが、それでもローライズは絶滅していなかった。
メンズでいうと、当方はアダストリアの商品は99%、ドットエスティのネット通販で購入しているのだが、試着ができない分、念入りにサイズ表を見比べる。
アダストリアには股上が26~29センチのローライズ商品と、30センチ強のミドルライズ商品、33センチを越えるハイウェスト商品の3タイプがある。そしてワイドシルエットやワイドテイパードなどの太目シルエットはハイウェストがほとんどで、スリムシルエットはローライズがほとんどである。逆にスリムシルエットでハイウェストという商品はアダストリアのメンズではほとんど無い。
またユニクロのメンズでも最近はワイドシルエットが増えたが、ワイドシルエットパンツはだいたいがハイウェストになっているのに対して、スリムストレートやスキニーはローライズであり、これはジーユーも同様である。
そのように見てみると、2010年以前は、たしかにファッショントレンド系メディアが主導した1アイテムに人気が集中し、それより前のトレンド品は絶滅していたが、2010年代半ばからは1アイテムにマストレンドが集中することが無くなり、それ以前のトレンドアイテムも絶滅せずに共存・併存するようになったことがわかる。逆にファッショントレンド系メディアの「今〇〇(アイテム名)が熱い」とか「今〇〇ブランドが熱い」という報道は実際のマス層の人々の感覚とかなりズレが生じてきていると感じられる。t
だから「スキニー復活」とか「ローライズ復活」とか書かれたところで、え?ユニクロで毎シーズン売ってましたけど?という感想になってしまうわけである。
たしかにその時々の「空気感」とか「雰囲気」とかはあって、コーディネイトが微妙に変わったりはするが、昔のように特定のアイテムやブランドに一極集中することも無くなっており、だからこそ雑誌を筆頭とするファッショントレンド系メディアがウェブも含めて苦戦しているのだろう。
そして、マスの嗜好は昔のような一極集中には戻らないと考えられるから、ファッショントレンド系メディアが昔日の勢いを取り戻すことは無いだろう。
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comment
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BOCONON より: 2023/03/18(土) 8:18 PM
こんなスレタイだけど,誰かのレスにもある通り,実際は黒スキニーはよく見かけますね。
↓
https://fashion-news.net/archives/%E7%94%B0%E8%88%8E%E3%81%AB%E8%A1%8C%E3%81%8F%E3%81%A8%E6%9C%AA%E3%81%A0%E3%81%AB%E9%BB%92%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%8B%E3%83%BC%E7%A9%BF%E3%81%84%E3%81%A6%E3%83%81%E3%82%A7%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC.htmlこれは実際のところ南さんの言う通り,お若い人たち(に限らないけど)はもう洋服なんぞにお金や時間や手間をかけたり新しいことをやろうという気持ちをなくしつつある,ということな気がする。
↓
https://highfashionmens.com/archives/16021155.html売る方も売る方で,先日 GU やユニクロの春物を見物に行ってみたら,実にどうでもいいようなデザインばかりでほとんど何も見るものがなかった。去年のTシャツのデザインのひどさと言い,もうおしまいという気がしないでもないですな。
え~となりますと、振り屋の仕事が今後も減らない
という事になります
パンツを展開するのであれば、先ずシルエットとして
1.古典パターンのヒップボーンバック
2.ローライズ
の2種類が必須です。そしてフィットの違いで
1.501・軍パン系のゆとりフィット
2.イタリヤ~ンwなぴちぴちフィット
3.完全ぴちぴちなスキニー
のバリエーションが必要となります
そして各フィットに合わせた服地と縫製仕様書も必須
こんなメンドクセー企画、振り屋に振らないと
100%不可能です
したがって、実態はいとちゅ~様なのにネームだけは
よそから買って、実質はソコソコ知名度・高級感がある
ネームで、でも要するに、いとちゅ~様がすべてしきった
商品が溢れるという事になります
「うちはコッパンしかつくらねーよ」
「うちはぴちぴちパンツだけだよ」
「うちはイタリヤ~ン風味な高級パンツだけだよ」
と出したいトコですが、売上を優先せざる得ないので
各社フルラインで臨まなければならない
どうにかならないものですかねぇ・・・