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南充浩 オフィシャルブログ

商業施設の集客の目玉は衣料品店ではなくなりつつあるという話

2023年3月7日 売り場探訪 9

40代前半までは、趣味と勉強を兼ねて毎月男性ファッション雑誌を購入してほぼ暗記できるまで繰り返し読んでいたが、44歳くらいで購入をやめてしまった。

理由は雑誌の内容がというよりも、ファッション自体への興味が薄れてきたからである。とは言いながら、毎月何か服を買っているのだが、若い頃のように「あのブランドの〇〇(商品名)が欲しい」というのが無くなった。自分の好みの物、似合いそうな物が買いやすい値段になっていれば買う。そんな感じである。あとは、防水の〇〇が欲しいとか、ランニング用のTシャツが欲しい、とかそういう目的がはっきりした物である。もちろん生来のケチだから、なるべく安い物であることは言うまでもない。

恐らくは老化によるところが大きいと思うが、それを自覚しつつも、90年代とか2000年代前半とかほどにはファッション衣料品自体が世間的にも盛り上がっておらず、その雰囲気を受けている部分もあるのではないかと思っている。

 

先日、興味深い記事が掲載されたのでご紹介したい。

世界各国の洋服の購入先、ECは米国・ドイツで1位…日本は3位 | 通販通信ECMO (tsuhannews.jp)

洋服をどこで買うか、というアンケート結果で日本・中国・アメリカ・インド・ドイツの5か国を比較している。

これについては記事中の表を見てもらえば何らかの参考になるだろう。

個人的に興味分かかったのは、見出しの部分の一節である。

 

洋服の購入頻度、日本は1カ月あたり0.3回で最も低い結果に

 

である。

これを普通に考えれば、日本人は3・3カ月に1度しか服を買わないということになる。ちょうど1シーズンに1度買うという計算になる。これが期初なのか期末なのかはわからない。期初だと平均単価はそこそこ高いが、期末なら平均単価はかなり安いだろう。理由は期末には値下げセールが行われるからである。

こういうアンケート結果には必ず「手持ちのカネが」というのが涌いて出るが、たしかに可処分所得は減る傾向にあるが、衣料品以外ではヒットしている嗜好品・嗜好品もあるわけだから、可処分所得の増減だけを論ずるのはあまり意味がないと当方は考えている。

カネ以外の理由を考えた方が業界にとっては有益だろうと思う。

 

1、服をすでにたくさん持っているから

2、他の嗜好品・趣味品を優先的に買っているから

3、ファッションにそこまで興味が無いから

 

あたりが理由ではないかと当方は考えている。

 

で、出典を忘れたが、どこかの記事で「最近の商業施設はファッション店を重視せず、コト販売的な出店を集客の目玉にする」という内容のアンケート結果を最近目にした。

全般的にファッション店は一部の店舗を除くと集客の目玉ではなくなったということだろう。

 

実際に周囲の今春の改装を見ていても、ファッション衣料店よりもキャラクターショップやカフェなどがメインでラインナップされている施設が多い。

今回、3月3日にワークマンカラーズ寄りのワークマン女子が天王寺MIO本館6階にオープンしたので当日見学に行った。平日午後だったが、そこそこ客入りは賑わっており、翌日の土曜日・日曜日は入場するのに整理券まで配布されたようで、オープン景気としては上々だといえる。

で、ワークマンだけ見て帰るのもアレなので、6階をグルっと一回りしてみた。

まだ改装中でオープンしていないテナントが多数あったが、テナント内容は看板に書かれてある。そのほとんどがカフェとキャラクターショップである。3月1日にオープンしたファッション衣料品店を除くと、残り全てはカフェとキャラクターショップである。カフェが4店、キャラクターが2店、雑貨が1店である。

 

 

で、その後、歩いて1分のあべのキューズモールにも行ってみた。

ユニクロとジーユーがある1階でテナントの入れ替えがあった。コーエンとその隣にあったファッション店(名前は忘れた)が撤退しており、代わりにユニバーサルスタジオのキャラクターショップが2店舗分の面積を使って出店すると看板に書いてある。

ちなみに、ユニバーサルスタジオショップの通路を挟んだ斜め前にはすでに以前からディズニーのキャラクターショップがある。

大阪・天王寺という地域に限って見れば、今春の改装の目玉はキャラクターショップとカフェである。ワークマン女子は例外といえる。逆に言うと、確実にマスを集客できる衣料品店はユニクロ、ジーユー、ワークマンあたりしか無いということだろう。

ここから考えると、マス層は以前ほどファッションには興味が無いということになり、キャラクターショップやカフェの方が集客効果があると施設側も考えているということになる。

 

またコロナ禍以前にもこんなことがあった。

アメリカ村にアメリヴィンテージのショップがオープンするので、顔なじみの業界紙記者に金曜日の午後の内見会に連れて行ってもらったことがある。たしか、一般客も入店できる内見会だったと記憶している。店内にはそこそこ人はいたが激込みというほどでもなく、入場に並んでいるという状態でもなかった。

ところが道路を挟んだ対面には行列ができており、最初、この店への行列なのかと思ったが、それはこちらの勘違いで、対面にあったタピオカだかタイ焼きだか、のいわゆるスイーツ系店への行列だった。

2000年代半ばまでなら平日の昼下がりとはいえ、確実に入店行列ができていたと考えられるのだが2010年代後半ではスイーツ店に行列ができても、洋服屋オープンに行列ができることはないということである。

 

当方のような人間の消費活動は何も参考にならないだろうが、当方とて洋服を買うために行列に並ぶことはないが、ガンプラの新商品を買うためには開店前のジョーシンに並ぶのである。

 

こういう消費者心理の中で、低価格大手チェーン以外の洋服ブランドはどのように売るのか、どれくらいの売上規模を目指すのか、ということを真剣に考える必要があるだろう。

 

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 comment
  • 南ミツヒロ的合理主義者 より: 2023/03/07(火) 2:58 PM

    今回の投稿、テーマを変えながら
    10回近い連載物になっていますね

    耐久消費財のメインがもはや服ではなくなった

    それにともないファッションを前面に押し出していた
    PARCOやルミネが死語の世界になりつつある・・・

    ひとが集まりやすい・つまりマスを対象とした売場で
    主流の商材は特定キャラのショップや実用アパレルで
    もはや服の専門店・専門ブランドの集合体は成り立たない

    したがって、服を売るには実用的な売場・できれば
    梅田の紀伊国屋書店クラスの売場が必要である

    しかし80年代90年代のファッションビルはこうした作りに
    なっていないので、ソッポを向かれて既に死に体・・・

    そういえば閉店PARCOの中で、PARCOが地権者に
    名を連ねている地方店がちょびっとだけあります

    こうした店舗の跡地はなんとタワマンになるそうなw
    PARCOは分譲マンソン業者になるというワケですw

  • 大阪のオバチャン より: 2023/03/07(火) 3:39 PM

    ミナミも人混みが戻って、外国人も結構な数を見ます。
    御堂筋にはブランドショップが多数並んでいますが、人が入っているのはヴィトンとエルメスぐらい。
    どうやって人件費と家賃を払っているのか不思議なくらいです。
    戦後から2000年ぐらいまで、洋服にお金をかけていた人が多かったのに、今はユニクロでも高いと言われる。
    カフェで600円のコーヒーは頼むが、2980円のシャツは高いと思われるのですから、価値観が変わったという事でしょうね。

  • キムゴンウ より: 2023/03/07(火) 4:42 PM

    3/7 日本経済新聞 夕刊には
    高級パジャマが売れていると特集されています
    おうち時間が増えたことや
    パジャマパーティでの映えを狙ってのものもあるとか
    数万円の商品が売れているとかですけども
    ほんとですかね?疑問だなぁ
    まぁ日本経済新聞を家でとってるやふな上級国民はそうなのかな
    (私は職場で購読してるのを盗み見)
    それこそ ユニクロのジェラピケもどきを着てるんじゃないのかなぁ
    いや 当方の認識が間違ってるのか
    ちなみに娘にプレゼントしてもらったジェラピケのメンズを60越えのおじいが着ております

  • 南ミツヒロ的合理主義者 より: 2023/03/07(火) 5:29 PM

    カヘ~もとい、ちゃみせといえば、
    1杯あたりの金額は2倍3倍になっています

    どーみても貧困女子や明日はオレオレ詐欺末端に
    なりそうなのが、700円也のうんちゃらフラペチーノ
    飲んでるからなぁ・・・

    で、ファッションビルも副売りから脱却して
    軽飲食重飲食を入れたいところですが、
    周りとの兼ね合いと元の作りのせいで、
    フロア転業ができないのが現状です

    で、結局ビルそのものの場所はいいのに
    上層階は休憩スペースや自治体スペースになってしまう

    閉店前の丸井の地方店やパルコでよく見かけられた光景です

    ちなみに貧困ジジババの愛用店であるドトールは
    都内では、レシードに打刻された時刻基準の
    90分時間制となってしまいました・・・

  • BOCONON より: 2023/03/07(火) 10:29 PM

    まだ強化試合段階なのに,大谷翔平フィーバー(古いw)が凄くって,ユニフォームとかグッズが呆れるほど馬鹿売れ・・・なんてニュースを見てると,野球に大して関心のない僕は「普段野球観戦している人がそんなにいるとも思えないのに,なんだろうなあれは? 転売でもするのかね」と思ってしまう。
    それは僻目としても,ああいうの見ていると「”モノ消費からコト消費へ” ,今はさらに”エモ消費,トキ消費へ” 」と云った話も一部のテキトーなコンサル(?)が言っているだけでもなさげでありますね。サッカーだって,普段からTVでも熱心に観ている人はそんなにおるまいけれど,WCはそれなりに盛り上がるし。音楽,特に洋楽を聴く人は減る一方だけど,フェスは大賑わい,とか「私は韓流アイドルの〇〇クン推し!」「僕は地下アイドルの□△ちゃん推し」なんてことをちょっと誇らしげに言う人はよくいるし。

    僕はもうジジイであるからそういう人たちの気持ちはあんまりよくわからないし,今回の記事に通じる話かもよくわからないけれど,上記のような傾向は今後ショウバイ一般のやり方を考える上で無視できない気がします。

  • 読者 より: 2023/03/08(水) 12:47 AM

    自分は今日の話でトレンドがエレガント系からアウトドア系に変わったのを思った。

    昔は革靴でジャケット、あるいはパンプスで赤文字系スタイルで都市デートみたいなのが
    典型的な消費スタイルだったと思うが、
    今はスニーカーにアウトドア系ブランドの上下を合わせて
    スポーツなりキャンプ・レジャーが話題になりがち。
    都市生活者にはキャンプはなかなか敷居が高いと思うのだが、
    週末の木場公園とかでテント張ってるのをみると人気あるんだなと思った。
    斜陽業種と思われたアルペンがキャンプブームで復活したりスノーピークがあそこまで伸びたのも
    そういう時代の流れなんだろと。
    今の都市生活のスタイルがマンネリになっているのかもなと思った。
    個人的にも昔は外資系ホテル泊まって興奮したけど、それも今ではありきたりになってしまい
    キャンプで火を起こした!みたいなほうが興奮するもんなぁ。

    だからってキャンプブランドを立ち上げるとかは旧来型の発想で
    そこは逆で道具やってるブランドがアパレルもやるとかでないと成立しない。
    そもそもユニクロやワークマンで充分対応できるしほとんどの人はそうしてるだろう。
    スノーピークもアパレルは在庫過多になってるぽいから,
    このトレンドはアパレル業界には不都合なんでしょうな。
    そうなるとファッションビルで買い物やデートも減るよね少なくとも増加にはならない。

  • 通りすがり より: 2023/03/08(水) 7:20 AM

    この購入頻度のうえ、今と20年前の人口比、平均年収とかを鑑みると同じ戦略してるとそりゃあ負けるだろうなぁと
    服は買って持って帰ったあとの置き場所にも課金が必要で、そういのが不要なものに消費が流れている傾向を感じてます

    国内だけですが、これから10年先も収入が増えない限りは減ることはあっても増えはしないでしょうね、、、

  • 南ミツヒロ的合理主義者 より: 2023/03/08(水) 8:59 AM

    >(南サンのよーな自称変人は)何の参考にもならんが
    >ガンプラ発売日には行列に並ぶ俺

    でもないんですよ

    衣食住足りてるけど、遊興費がさほど潤沢ではないし
    いっぱつ限りの遊びにはカネ遣いたくないという訳でしょう?

    地元でしぶとく生きてる人間は、ほとんどそうだと思います

    となると、15年ぐらい前に流行った無目的のホテルステイとか
    茶店めぐりなんざ論外。キャンプなんてまったく無意味です

    自宅でしんみり1人で安いカネを元手に長時間楽しめる遊び・・・

    となると、プラモになるのは自明の理です

    ラジコンなんてケタ違いのカネがかかるし、
    外に行かなきゃだからめんどくさい

  • 南ミツヒロ的合理主義者 より: 2023/03/08(水) 9:21 AM

    にしても、こうしてフロアマップを上げてくださるのは
    本当に助かります。じっくり分析する機会が少ない情報なので

    軽飲食は客単価最低800円、平均1100円ぐらいか?
    20年前より2割上がっていますね

    そして雑貨はやはりソニプラのような老舗が強い

    アパレルで続いているのは、小粒でも特定スタイルなネーム
    ちょっとロリ系が入ったリズリサなんてその典型でしょう

    気になるのはカフェの行く末。テーマ系カフェが流行って
    いますが、飲食物の内容は最悪ですから早晩飽きられます

    その次は・・・

    結局ワンフロアまるごと貸しになると思います
    もちろん資金力が豊富なウニクロGUか家電量販店の出店です

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