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南充浩 オフィシャルブログ

百貨店内にポケモンセンターを一早く導入した大丸梅田には先見の明があった?

2023年2月15日 売り場探訪 1

ファッション専門学校の生徒とは、30数歳も年齢が離れており、自分の息子よりも若いくらいなので、共通の話題を探すのに苦労する。

そんな際に重宝するのが、アニメ・漫画・特撮の話である。

ドラゴンボール、ジョジョの奇妙な冒険、ワンピースあたりはほぼ、100%で共通の話題になるうる。あと一部ではガンダムシリーズである。特に昨年秋に始まって、4月から第二期が始まる「ガンダム水星の魔女」は若い学生でも注目している人が多い。

一方、ファッションやファッションブランドの話になると、世代間ギャップが凄まじく共通の話題になりにくいし、あとは好みの問題もある。名前は知っているが全く興味がないブランドの話になると噛み合わない。

 

非常勤講師を務めていると「アニメ・漫画・特撮が共有できるメインカルチャー」であることを痛感する。

現在52歳で、今年53歳になる当方よりも上の年代の衣料品業界の人の中には相変わらずファッションがメインカルチャーで、アニメ・漫画・特撮はサブカルチャーという認識を持っている人が下の世代よりも多いと感じるが、実際は逆である。アニメ・漫画・特撮が世代を越えた共通のメインカルチャーで、ファッションは世代や嗜好によって分断されたサブカルチャーだといえる。

イキリ業界人が金科玉条のごとく崇め奉る伊勢丹新宿店の直近の販促はこれである。

 

「ジミー チュウ」が「美少女戦士セーラームーン」の30周年を記念したコラボを発売 伊勢丹新宿店でポップアップ

 

これ以前にも「ファッションの」伊勢丹新宿はセーラームーンやルパン三世のコラボイベントを何度も開催している。

一部のコアな少数のファンを集客したいのであれば「〇〇ブランド」とのコラボや、「デザイナー〇〇氏」を担ぎ出せば効果はあるが、ある程度のライトな一般層も集めようとすると、世代間を越えた共通のメインカルチャーであるアニメ・漫画に頼らざるを得ないというのが実状だといえる。

 

伊勢丹新宿を始めとするファッションに強い旗艦百貨店もアニメ・漫画に頼らざるを得ないが、その多くはポップアップ(期間限定)のイベントや出店に終始している。

これには百貨店のプライド(笑)もあるのかもしれないが、コロナ禍で退店するブランドが増えた一方で、新たに常設出店してくれるブランドがなかなか現れないから、売り場の穴埋めをするためにポップアップでお茶を濁しているという側面もあるのではないか。

実際、当方の知っている某百貨店の部長は、今まで1フロアの催事を管轄していたが、コロナ禍以降で穴の開いた売り場が増えたために2フロアの催事(いわゆるポップアップ)を管轄することになってしまった。

 

そんな中で、アニメ・漫画・特撮の常設店づくりを長年に渡って積極的に取り入れてきたのが、大丸松坂屋百貨店とパルコを傘下に持つJフロントリテイリングだといえる。

大丸にもパルコにもアニメ・漫画・特撮の常設店を一早く取り入れている。

大丸梅田店は2011年4月に全館改装グランドオープンしているが、この時点から13階にはポケモンセンターを入店させている。かれこれ12年前のことである。12年前というと干支が一回りするのだから、10年ひと昔よりも前で、当時は当方も含めて「百貨店内にポケモンセンターはどうなの?」という疑問の声も多く呈されたが、今となってみると、そこまでJフロントが意識したのかどうかはわからないが、絶好の集客装置だといえる。

この13階は以前は、ユニクロもあったが現在は退店しており、代わりにさらにこの手のアニメ系店が増えている。

 

ニンテンドーショップ、ワンピース麦わらショップ、カプコンストア&カフェ、そして5月28日までドラえもんショップが出店している。

アニメ・漫画とゲーム店をフロアの半分以上に渡って集積している。ここにまだ、トミカショップとプラレールショップもあるのだから、フロアの8割方はアニメ・漫画・ゲーム・玩具系のショップとなっている。

大丸梅田店は、ファッションでは阪急うめだ本店に、地下食品では阪神百貨店に遠く及ばない地域三番店だと認識されており、恐らくは衣料品ブランドなどの誘致に苦労したため、他2店舗との差別化を目的にアニメ・漫画・ゲームなどを積極的に集積したのだと想像しているが、この作戦は今にして思えば、怪我の功名かもしれないがマス層を集めるにはかなり有効なのではないかと思える。

 

2020年にオープンしたファッションビル「心斎橋パルコ」もこの手の常設店をオープン当日から備えている。

6階はそういうフロアでゴジラショップ、ウルトラマンショップ、カプコンストア、リラックマストア、刀剣乱舞ストアなどの常設店で埋め尽くされている。

正統派百貨店からの脱却を早くから謳っていたJフロントリテイリングならではのやり口だといえるが、これからの時代はこちらの方が広くマス層を集客できると当方には感じられる。

現在、ポップアップでアニメ・漫画・特撮・ゲームを活用している他のファッション系正統派百貨店も近い将来には、これらのジャンルの常設店を設けるようになるのではないかと見ている。

 

イキった隠れ家的商業施設を目指したいのであるなら、業界人が好むようなハイセンスなブランドやラグジュアリーブランドで埋め尽くしても構わないと思うが、ある程度の広い集客をしたいのであれば、その手のブランド店の集積はあまり効果がない。衣料品系で広く話題になりやすいブランドは、ユニクロ、ジーユー、ワークマン、しまむら、あたりになってしまう。

東武百貨店池袋本店にダイソーが出店する時代なので、他の百貨店にユニクロ、ジーユー、ワークマン、しまむらが入店しても全く何の不思議も感じないが、それらの低価格店よりも客単価の高さが期待できやすいのは、アニメ・漫画・特撮・ゲーム系のショップだろう。当方のガンプラ購入を見てもわかるように、低価格衣料品よりもはるかに高いキャラクターグッズを買うファンは多い。

衣料品業界人は、ファッションはサブカルチャーでアニメ・漫画・特撮・ゲームがメインカルチャーだという認識をもっと強く持つ必要があるといえる。

 

 

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 comment
  • 南ミツヒロ的合理主義者 より: 2023/02/15(水) 12:53 PM

    イジワルで「ネタ使いまわし乙です」といいたいところですが
    「売れるもの」「売りやすいもの」を優先するなら
    この投稿の内容が正しい

    そして、生活必需品でないモノの割には関わる人間がやたら多い
    アパレルファッションの世界の人間は、この項にかかれた事実を
    決して認めはしないでしょう

    冒頭の分析が実に秀逸です

    そう、アニメは同じネタで2世代分がターゲットになる
    キャラクター商品に落とし込むなら、なおさらです

    ファッションでこれが出来ているのはウニクロGUだけです

    あとは全盛期のレナウンかなぁ・・・
    そして20世紀末の三陽商会ぐらいでしょうか・・・

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