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南充浩 オフィシャルブログ

アパレル生産の国内回帰は一過性

2011年2月17日 未分類 1

 昨年秋から、アパレル製品製造業の国内回帰が業界紙だけでなく、一般メディアでも話題となっている。
2月12日のJCASTニュースの記事はその典型例だろう。

縫製業者が日本回帰? 中国の賃金上昇が影響
http://www.j-cast.com/2011/02/12087316.html?p=1

原因は、中国工場の人件費高騰と納期遅れであると言われている。
実際は、納期遅れではなく、生産数量が少ないわりに縫製の仕様が細かい日本向けのオーダーを中国工場側が嫌っており、生産を受け入れてもらえないのである。

一般に「アメリカのアパレルは1型1万枚、ヨーロッパのアパレルは1型1000枚、日本のアパレルは1型100枚未満」と言われる。しかもアメリカもヨーロッパも日本ほど縫製の仕様には細かくない。さらに経済成長によって、中国国内向けの需要も増えており、日本向けの生産を請け負うよりもずっと効率的で儲かる。
例えば、昨年11月ごろに中国工場に生産を発注したところ「納期は2011年4月ごろになる」と言われた業者が数多くある。中国側の本音は「めんどくさい日本向けの仕事は請け負いたくない」である。

中国の生産から溢れた日本のアパレルは、インド、バングラディシュ、ベトナム、カンボジア、インドネシアなどに生産拠点を移し始めたが、まだまだ生産クオリティは低い。そこで緊急避難的処置として、壊滅寸前だった国内工場に注文を流し始めた。
日本国内の縫製業者はこの10年間で激減しており、工場数が減ったところに受注が増えたのだから、現在、国内工場はどこも満杯である。3週間程度の納期遅れはザラだといわれている。

業界関係者もメディアもこれを「明るい兆し」として喜んでいる。たしかに喜ばしいことではあるが、この活況がいつまで続くのか疑問だ。もっと端的に言えば「国内活況は長続きしない」と考えている。インドやアジア諸国での生産が一定レベルに達すれば、アパレルは確実に生産を再び海外に移す。それは2~3年先のことだと推測している。

国内製造業者の多くは、今回の「降って湧いた」活況に安心しておられる。しかし、今回の受注は永続するものではなく、一過性の物に過ぎない。国内製造業者は今回の受注を「特別ボーナス」だと考え、2年先に備えて新しい準備を始めるべきである。
今の状況が永続すると考えて次の準備を始めていない国内製造業者は、アジア諸国の生産ラインが整ったとたんに破綻してしまう。

国内製造業者が気を引き締めてくれることを願ってやまない。

 comment
  • jmdesignworks より: 2011/02/23(水) 8:55 PM

    事実はまたちょっと違います。
    日本人のことをバカにしているので、製品が完成していても、出荷をわざと遅らせて、値段を吊り上げるという手法を使ったり、さまざまな方法で、日本から今までよりも高額な代金を獲得しようと動いています。
    メーカーや商社は中国のせいにして、現地での人件費の高騰などと吹いていますが、実際には縫製工員の給料なんて、さほどに上がっていません。
    中国に発注しても、国内で販売したい時期には商品が手元に届かないという事態を恐れているという状況で、中国が注文を断ってるケースはあまりありません。
    日本国内での工場の激減も中国人はよく知っています。弱みに使おうとしています。実際に弱みである事実です。日本人はバカなので、それでも海外生産品しか買いません。
    国内に戻ってきたといっても、安い工賃のままで戻ってきているので、もちろん外国人研修生を低賃金で使うしかありません。国内に、労基法が守れている縫製工場なんて両手で数え切れるのでは?
    2、3年後にはまた海外に仕事が出て行くのではありません。
    国内に工場がなくなるのです。
    そして海外生産の商品しかなくなり、高くても日本人はそれを買うしかありません。
    国民全員でそういう状況を導いているのですから仕方がありません。

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