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南充浩 オフィシャルブログ

ジーンズ専業メーカーには厳しい状況が続きそう

2011年2月16日 未分類 0

 先日、ジーンズの生産統計についてザッとしたことを書いたのだが、2005年からの4年間で、2000万本も生産数量が減少している。

http://blog.livedoor.jp/minamimitsu00/archives/2222152.html

では、なぜ4年間で2000万本も生産数量が減少したのかをあれこれ考えてみる。
1つは、以前も書いたように、ジーンズ生産統計は日本ジーンズ協議会加盟企業のみを集計してあり、加盟していない企業の生産数量はおおよそ想像できるものの、集計されていない。
日本ジーンズ協議会には、ユニクロもポイントもしまむらも加盟していない。また量販店向けジーンズメーカーの雄であるカイタックインターナショナルもコイズミクロージングも加盟していない。

それを考慮すると、ジーンズ協議会加盟企業の生産数量が激減したといえる。

友人のジーンズOEM業者によると「ジーンズの流通量はむしろ増えている印象がある」という。ジーンズ協議会に加盟していない企業のジーンズ生産量が増え、反対に加盟企業の生産数量が減ったのではないか。

また、ジーンズがトレンドアイテムではなくなった背景に関して「千円以下の格安ジーンズ出現の影響があったのではないか?」という声も良く聞く。
これは一定の影響があったのではないだろうか。ただ、それほど大きくないのではないかとも思う。
格安ジーンズ自体は非常に短命に終わっており、すでに各売り場では大幅に縮小されている。一つにはジーユーや量販店が思っていたほどには支持されなかったのだろう。もうひとつには格安ジーンズ向けのデニム生地が供給しにくくなったことがある。

格安ジーンズのスタート当初は、デッドストック在庫のデニム生地を安値で引き取って生産していたというが、そのデッドストックも尽きた。そうすると、わざわざ安い素材を生産しなくてはならなくなるのだが、製造業者にとってはあまりメリットがない。
さらに昨年から綿花価格も高騰しているため、今後はさらに安い生地の生産が厳しくなる。

こう見ると、格安ジーンズは一定数量は売り場に残るものの、今後は一段と縮小されるのではないだろうか。

いわゆるジーンズ専業メーカーと、総合アパレルのジーンズとを見比べた場合、以前ほどには差がないと感じる。
これは、かつてビッグジョンの尾崎篤社長もおっしゃっていたように「ジーンズメーカーのOBや退職組が、総合アパレルなど今までジーンズを手掛けてこなかった企業に転職したことが大きいのではないか」と考えている。
現実に、ユニクロにせよ、ライトオンのPBにせよジーンズの企画は、ジーンズメーカー出身者が手掛けている。また、ジーンズメーカーからの退職組がOEM・ODM事務所を立ち上げて、広くアパレル各社の企画に参加している。おおげさに言えば「ノウハウの流出」で商品差がなくなった状況にある。

今後、この傾向はさらに進むと個人的に推測しており、ジーンズ専業メーカーはよほどブランディングを上手く考えないと、アパレルの単なるOEMメーカーになり下がる可能性もある。

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