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南充浩 オフィシャルブログ

エヴィスとドゥニームの欧州進出の差

2011年2月18日 未分類 0

 ジーンズと言えば、ビンテージレプリカ系のブランドにもすこーし言及したい。
90年代半ばにビンテージレプリカブームがあった。エヴィスやドゥニーム、シュガーケーンなどが人気だった。しかし、そのブームも3年ほどで終わる。2000年には完全に終息していた。
ブームが終わって生き残ったブランドはそう多くない。

そんな中、2002年の日韓ワールドカップで再び「エヴィス」が注目を集めた。イングランドのベッカム選手が愛用していたからだ。

他のビンテージ系ブランドを見てみると、「ダルチザン」はビンテージの先駆けのようなブランドだったが、90年代半ばにはすでに経営譲渡されており、創業者は手を引いている。その時から、経営権は児島の洗い加工大手、晃立に渡っている。現在も晃立の社長がダルチザンの社長を兼ねている。
ダルチザンはビンテージブーム時でも売上高数億円で推移しており、現在もあまり変わっていない。

2000年代前半には販路を拡大していたフルカウントも経営は厳しく、自社ビルを手放し、直営店の大半を閉店した。古株のスタッフもほとんど入れ替わってしまった。

一方の雄であった「ドゥニーム」もオリゾンティから再三の移籍を繰り返し、現在はウィゴーにブランドを買収されている。創業時のメンバーは誰一人残っていない。

現在も比較的堅調に見えるのは、先述したエヴィスとウェアハウス、「シュガーケーン」を展開する東洋エンタープライズくらいではないだろうか。
これほど、ビンテージ系ブランドの市場は狭い。

エヴィスの躍進とブランドステイタスの確立は、ヨーロッパ市場進出が成功したからだと感じている。ベッカム選手の目にとまったのもヨーロッパ進出がある程度成功したからであろう。最近では、覚えている方も少ないかもしれないが、2000年前後の同じころに、ドゥニームもヨーロッパ進出に取り組んだことがある。
ドゥニームは結局、成功せずにヨーロッパから撤退したのだが、エヴィスと明暗を分けた部分はどこなのだろうか?

それは両社の販売戦略の違いであった。エヴィスは欧州の現地企業にライセンス供与し、現地企業がライセンス生産した。一方、ドゥニームは日本からの輸出で対応した。これによって、両ブランドの現地価格は天と地ほど開いてしまうことになる。
エヴィスは現地生産であるため、日本とほぼ同じくらいの価格(1万9000円前後)で販売できた。
ドゥニームは日本からの輸出になるため、関税がかかり、日本価格の2~3倍の値段になってしまった。イギリスでの価格は日本円にして7万円前後になったという。

いくら高品質であるとは言え、7万円のジーンズにはちょっと手が出ない。日本では熱心なビンテージマニアもいるが、欧州にはそこまでのマニアはあまりいない。話題にはなるが、実際はあまり売れない。

ヨーロッパ進出の手法を見ても、エヴィスの戦略・戦術は効果的だと言える。数あるビンテージブランドの中から頭抜けた企業規模に拡大したのも今からすれば、当然だったと思える。

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