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南充浩 オフィシャルブログ

都心大型ファッションビルの低価格化が激化

2023年1月31日 売り場探訪 6

先日、ワークマン女子の大阪市内2店舗目が、当方の愛する天王寺に出店されるという発表があった。

天王寺ミオが春のリニューアル、大阪2店舗目の「#ワークマン女子」が出店 (fashionsnap.com)

 

JR天王寺駅直結の商業施設「天王寺ミオ」が、2月から4月にかけて春のリニューアルを行う。「#ワークマン女子」と靴専門店「ワークマンシューズ(WORKMAN Shoes)」の複合店舗など、新規30店、改装18店の計約50店舗が順次オープンする。

本館6階にオープンする「#ワークマン女子」は、大阪2店舗目、天王寺・阿倍野エリアでは初の出店となる。普段使いできる高機能な女性ウェアだけではなく、キャンプやゴルフ用品など幅広いアイテムを揃える。

 

とのことである。

天王寺MIOの告知によるとオープンは3月3日となっている。

さて久しぶりにMIO本館6階を見てみると、MIO開業以来の目玉ショップだった、パルの展開するカジュアルセレクトショップ「チャオパニック」がいつの間にか退店していた。

パルの飛躍のきっかけとなったチャオパニックだが、ついに全国8店舗にまで減ってしまった。北海道1店舗、東北2店舗、東京1店舗、関西3店舗、四国1店舗となっており、名古屋と九州はゼロである。

東京もメイン地区の路面店や有名商業施設内出店ではなく東京ドームシティ内への出店だけだから、その苦境ぶりがうかがえる。

パルという企業としては盤石だが、チャオパニックという業態はかなり厳しく、当方は存続すら危ういのではないかと見ている。

それにしても、昨年秋からの天王寺MIOのリニューアルは露骨に低価格ブランド重視となっている。元々、天王寺MIO本館はJR西日本の開発運営による駅直結のファッションビルで95年に開業した。

開業当時、当方は25歳で、流石にオープン当日には行かなかったが、オープン何週間か後には早速覗いてみた。95年当時の大阪市内の商業施設状況を振り返ると、梅田には百貨店以外にエストワン、ナビオ阪急(阪急メンズ館の前身)、阪急ファイブ(HEPの前身)などがあった。難波には80年代後半に売れ行きのピークを迎えたなんばシティがあった。しかし、天王寺には近鉄百貨店しかなかった。それ以外は「ラ・セレナ」(ハルカスウイング館の前身)とショボい専門店程度しかなく、MIOのオープンは天王寺地区にとっては画期的で、いわゆる東京で流行り出していた「ファッションビル」の関西版がようやく登場したという認識だった。

当時はセレクトショップもそうだが、まだDCブランド人気の残り香があり、なんばシティもMIOもメンズでいうとメンズビギ、メルローズ、アトリエサブ、ポールスミス、タケオキクチ、ニコルクラブフォーメン、テットオム、ミツミネなどが中心のテナント構成だった。

その中でもMIO6階の目玉テナントがチャオパニックだったわけである。売れ行きも上々だったようで、2000年以降はチャオパニックの店舗面積が増床したほどだが、盛者必衰である。

 

さて、昨年秋にかつてDCブランドを集積していた5階メンズフロアのほとんどがジーユーにリニューアルオープンしたということはこのブログでも書いている。

5階メンズフロアは今、ジーユーとアーバンリサーチの低価格ブランド「センスオブプレイス」、低価格スーツの「オンリー」、あとバッグ屋しかない。

かつての面影は全くない。辛うじてオンリーとバッグ屋が残っただけである。

 

そして今春、6階にはワークマン女子が出店する。

 

それ以前の定期的なリニューアルによって4階には百均のセリアが、7階には低価格のサンキューマートがすでに出店している。

2005年以降に出店した大手セレクトショップやSPAブランドはまだまだ残ってはいるが、低価格テナントが大幅に増えた。と言っても、テナントが撤退してがらがらで、ユニクロ、ジーユー、セリア、オフプライスのラックラックがメインテナントとなっている難波マルイよりははるかにマシな状況なのだが(笑)。

 

いわゆる「隠れ家的」「マニア向け」の商業施設ならいざ知らず、ある程度のマスに向けて売りたい商業施設やファッションビルは、今後、天王寺MIOが示しているように低価格ブランドが中心になることは避けられないだろう。

どこの商業施設も今後はユニクロ、ジーユー、百均がメインテナントとなり、条件次第でワークマンやスリーコインズ、アダストリア、無印良品などが出店するという形態が一般化かすると考えられる。

なぜそうなるのかというと、当方の年代前後の中年層は、かつてDCブランドや大手総合アパレルのSPAの洗礼を受けたものの、コアな数寄者でもない限り、特に2010年代以降はユニクロ、ジーユーあたりで超満足はしていないものの、納得できるようになってしまった。また、30歳以下の若い層はユニクロ、ジーユーが物心ついたころから存在し、逆にDCや百貨店ブランドの存在が無くなっていたため、ユニクロ、ジーユーなどで何の不満も持っていない人が多いと思われる。

実際に2010年代半ば以降、閑古鳥が鳴いていたMIO5階メンズフロアはジーユーがオープンしてから平日昼間でもそこそこの客入りが続いている。

 

これを指して「退化」とか「貧困化」とか嘆く業界人は多いが、当方はそうは思わない。かつてのダイエー、ジャスコの売り場の低価格カジュアルと比べるとジーユー、ユニクロのカジュアルははるかにマシな見た目なので、よほどのマニアでなければ、それで十分だと考えることは極めて当然の成り行きである。

毎日、業界メディアに目を通していて新ブランド立ち上げの報道を見ても、最近は老化なのか全く心が動かないし、記事に書かれているコンセプトやら世界観やらも逆に失笑を禁じえない物も多い。またブランド名も覚えにくいと感じる。恐らくは、あれらの新ブランド群のほとんど、9割くらいはコアなファンだけに支えられて細々と生きながらえることになるだろうと見ている。

天王寺MIOというかつて関西を席捲したファッションビルの低価格ブランド化はその象徴だろうといえる。なんばシティの地下二階もDCブランド群は一掃されてほとんどがユニクロになってしまっていることは以前にも書いた。

一抹の寂しさは感じるものの、当方が衣料品で何か困っているかというと、実は全く何も困っていない。

ユニクロ、ジーユー、アダストリア、たまにワークマンと無印良品で十分だし、もう少しデザイン物が欲しいときはセンスオブプレイスあたりを差し込めば十分である。それがマニアでも数寄者でもイチビリでもない大衆の偽らざる感想ではないかと思う。

マス層のほとんどをユニクロ、ジーユー、ワークマン、しまむら、アダストリア、無印良品などの低価格大手ブランドが囲い込んで、少数のマニアや数寄者を無数のイキリブランドで少しずつ分け合う。それが今の衣料品業界の状態といえる。

 

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 comment
  • キムゴンウ より: 2023/01/31(火) 11:36 AM

    大阪南港に高名な建築家のデザインした社屋のアパレル企業の
    不遜を絵に描いたような採用担当はその昔
    「ユニクロをファッションと認めない」と会社説明会で話していたが
    自分の会社の方が世間から不要扱いされたのは受けたな
    おっと 
    南さんがおっしゃること誠に納得ですね
    あべ近のサイコバニーでブルゾンでも買おうかなのぞきにいきましたが~
    まぁ いいかとなりました
    お金はあるんですよ むしろ使いたい
    なのに 使わせてくれないんだよなぁ 今のアパレルは
    貯まる一方だよ

  • 大阪のオバチャン より: 2023/01/31(火) 1:08 PM

    キムゴンウさんの最後の言葉、
    「お金はあるのに使わせてくれない今のアパレル…」
    考えさせられるなぁと思いました。

    私は南さんより少し下の世代ですが、中学生の頃のアパレルは夢がありました。
    ナンパ橋の側にあったマリアテレサ、すごく好きでした。
    ミルクやジェーンマープルがお気に入りで。
    高くて買えないんだけれど、手の込んだ服は見ているだけで、胸がワクワクしたものです。

  • 忍者猫 より: 2023/01/31(火) 5:24 PM

    家人は「どこにいっても欲しいと思う服がない」と言っています。
    忍者猫は「欲しいものや着れるものが売ってないので、仕方なく作る」となっています。
    いいなぁ、欲しいなぁと思うものは、高すぎて買えないのです。
    でもこういったタイプの人は少数派なのでしょうね。

  • おっさん より: 2023/01/31(火) 5:40 PM

    安物買いの銭失い。本人達が満足しているのであればユニクロでもワークマンでも買えば良い。

    少しの工夫で上質なものウールや綿100%で長持ちするものと程度の良い古着を組み合わせる事でファッションを楽しむ事は可能。

    個人的にデザイナーズブランドもロゴ入りアウトドアブランドもラグジュアリーブランドも好まないがユニクロや無印も買う事は無い。 

    ユニクロで値下げされた化繊、合繊の見た目がチープな服を肥やしにするのは愚かだと思っているからだ。

      それもまた個人の自由。

  • 元古着屋さん より: 2023/01/31(火) 6:46 PM

    東京の場合ソラマチとか微妙な場所ですが、大阪は良いところに出店するんですね。FC数が少ないからなんですかね?

  • 南ミツヒロ的合理主義者 より: 2023/02/02(木) 10:47 AM

    キムさん、オバちゃん>カネ使わせてくれない今のアパレル

    そして「少しでもいいなと思う物はとんでもなく高い」

    80年代みたいにちょっと頑張ってニットブなら〜3万
    重衣料なら〜5万ぐらいで、満足できる服がなくなりました

    古着ヲタになったところで、
    90年代の服は劣化・経年変化がひどくて
    手に取る気がおきないし

    で、ウニクロGUになっちゃう

    ただ逆の立場になると、重衣料で上代5万だと
    中間流通を省いても、ウニクロに勝てないんですよね・・・

    したがってウニクロ爆買いで十分な訳です
    あとは、かなりボロくなったw
    たんすの肥やしをたま〜に復活させる程度で

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