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南充浩 オフィシャルブログ

「選択と集中しすぎる」ことの危険性

2023年1月26日 ネット通販 0

当方が最近、強く「デジタル化が進んで来たなあ」と痛感したのが、スーパー万代にバーコード付きメンバーズカードが導入されたことと、アプリが出来上がったことである。

当方の食生活の95%くらいはスーパー万代の値下げ品なのだが、1年半くらい前まではメンバーズカードすらなかった。

さすがにレジはバーコードスキャンのPOSレジだったが、それ以外は昔ながらの食品スーパーだった。

それがバーコード付きメンバーズカードが出来、そこから1年半後くらいにはアプリまで出来上がってしまった。

 

当方は200~300ポイントたまるといつもその分(200円~300円)値引きをしてもらう。月末で食費の足が出そうな際はこのポイント値引きを活用してやりくりしている。

 

つい先日、2週間ほど前のことになるだろうか。いつものようにアプリを起動してバーコードを読み取ってもらおうとしたが、アプリが起動しない。こんなことは初めてである。

おそらく、回線状況が悪かったのか当方のスマホの調子が悪かったのかのどちらかだろう。

しかし、レジで何十分も起動し続けるわけにはいかない。他のお客も並んでいる。そこで、バーコード付きのメンバーズカードを取り出し、これをスキャンしてもらって無事にポイントを貯めることができた次第である。

 

この時に改めて、スマホアプリを主体としたデジタル化だけでは危機は増大すると強く感じた。物理的なメンバーズカードを併用していて正解だったわけである。

巷ではキャッシュレスが持て囃されていて、イキりたちの中には「現金を持っていないことがかっこいい」みたいな風潮があるが、デジタル一辺倒こそ愚の骨頂である。

なぜなら、長時間の停電が続いた場合、スマホの充電量がゼロになれば物が買えないということになる。台風や地震、今回のような豪雪などによって我が国では長時間の停電がどの地域でも起こりやすい。

それに備えて使えるように最低限何万円かの現金は手元に置いておくべきである。それこそが正しい危機管理だといえる。

 

先日からアダストリアの通販サイト「ドットエスティ」がシステム障害で止まったままであり、ようやく今日26日の正午から再稼働するとの発表があった。

 

アダストリアのECがサーバー不正アクセスで一時休止 (fashionsnap.com)

 

このニュースの第一報は1月19日だからかれこれ1週間は休止していたということになる。

アダストリアが、同社が管理運用するサーバーが第三者による不正アクセスを受けたことを発表した。物流システムを停止したため、WEBストア「ドットエスティ」は現在休止している。

 

また

個人情報100万件超漏えいの可能性 ファッションEC「ドットエスティ」運営元への不正アクセスで – ITmedia NEWS

このような続報もある。

衣料品の製造販売を手掛けるアダストリア(東京都渋谷区)は1月24日、18日早朝に受けた不正アクセスの影響で、100万件超の個人情報が漏えいした可能性があると発表した。同社は不正アクセスの影響で物流システムを停止しており、ファッションECサイト「ドットエスティ」のサービスも休止している。

 

今日の正午からの再稼働がどうなるのかに注目したい。

結局、通販サイトとしては1週間休止したことになり、ドットエスティは業界でも売れ行きに定評のあるサイトだから、この1週間の休止による売上高の売り逃しは莫大な金額となることが予想される。

 

アダストリアという企業自体は業界でも屈指の大手であり、各ブランドともに実店舗も数多く展開している。逆にネットオンリーというブランドの方が少ないだろう。

それゆえに、アダストリアという企業全体の売上高からすれば全くダメージにはならない程度の減収だと考えられるが、これが、もしネット通販に特化した小規模ブランドだったらどうだろうか。

恐らく大ダメージとなったことだろう。

 

今回のドットエスティに限らず、デジタル化・ウェブ化は便利ではあるが、こういうシステム障害が起きる可能性がある。

JR西日本でもときどき信号のシステム障害や運航順序のシステム障害などが発生して遅延や運休がある。乗っているこっちからすれば、「手動で信号を切り替えろや。運航順序も手計算で修正しろや」と言いたくなってしまう。

 

一時期、キャッシュレス化と同様にネット通販比率が高ければ高いほど優秀なアパレル企業であるという謎の風潮がメディア界隈、イキリコンサル界隈に蔓延していたが、仮に今回のアダストリアがネット通販比率が50%とか80%とかの高確率だった場合、決算を左右するほどの大ダメージとなっていただろう。

逆に実店舗網も充実しているアダストリアだからこそ、決算に与える影響は軽微で済むだろうと考えられる。

 

行き過ぎたデジタル化によってデジタル一辺倒となることは、キャッシュレスしかりネット通販しかり、システム障害が起きた時ににっちもさっちもどうにもブルドック行かなくなってしまう。

危機管理の視点からもデジタルに特化しすぎるのは危険で安全装置として現金保有しかり、実店舗しかりを維持していくことが重要だと改めて認識させられる事件だったのではないだろうか。

そして、デジタル化に限らず、物事すべてにおいて「行き過ぎた選択と集中」は却ってリスクを高めるということだといえる。

 

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