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南充浩 オフィシャルブログ

アパレルの販促手段はインスタ一辺倒でなくても良いのではないかという話

2023年1月23日 SNSについて 0

近年、どのブランドにおいてもSNSは販促ツールの一つとして認知され、力を入れている印象が強い。

2010年頃にはSNSへの否定意見も強かったが、現在となっては、ネット通販の普及とそれへの親和性の高さ、大手旧メディアの衰退によって、SNSは「とりあえずは必要」という認識で一致しているといえる。

SNSと言っても、ツイッター、フェイスブック、インスタグラムあたりが日本では主流で、これに2010年代後半からは動画系SNSへの支持が加わった。

当方もツイッター、フェイスブック、インスタグラムは一応やっている。動画系は動画を撮影編集するのがめんどくさい(文字を書くより時間がかかる)のと、自分の容姿があまりにもブサだし、声が好きではないのでやる気がない。竹野内豊とそっくりに整形してからやろうかと思っているほどである。

 

で、ツイッター、フェイスブック、インスタグラムをやってみた感想を言うと、当方にとってはインスタグラムが最もつまらないと感じる。

理由は写真(画像)がメインだからである。当方の嗜好として写真や画像、イラストを眺めるのは好きだが、そこから何かを強く感じるということはほとんどない。

綺麗な写真(絵画)だとは思うが、それ以上でもそれ以下でもない。1分間くらい眺めていればそれで十分なのである。

美術館や博物館に行っても、絵画を眺めるよりその下に付いている説明文のプレートを読む方が楽しい。これは若い時から変わらない嗜好である。

だから、インスタグラムで画像を見せられてもチラ見して終わってしまう。そこから何かを知りたいとはあまり思わないし、キャプションが書いていなければ何も理解できない。(同年配のオバチャンプチインフルエンサーたちは逆にインスタなのにキャプションがやたらと長く書かれていてこれも興味の対象外なのだが)

そんな当方からすると、現在のアパレル系ブランドのインスタへの注力への集中ぶりには疑問しか感じられない。

 

もちろん、当方の嗜好が万人と同じではないことは理解しているし、実際にインスタで大きな効果を挙げているブランドがあることも知っている。

しかし、全ブランドが効果を挙げている状況ではない。

実際にインスタをやっていて、それなりにフォロワー数も増えたが「世間がインスタに期待しているほどには売れていない」と話すブランドもある。

 

 

フェイスブックは意見の合う中高年層の憩いの場みたいになって久しいが、インスタといえどもターゲット層や商品、ブランドの性格によっては合わない場合も多々あるのではないかというのが、一応インスタを何年間かやってみた当方の感想である。

インスタで効果が出ないブランドは、

 

1、インスタ投稿のやり方を変える

2、インスタ以外の集客法を考える(他のSNSなど)

 

という2つの施策のうち、最低でもどちらか1つを行う必要性があるのではないだろうか。

 

先日、靴下屋で有名なタビオの担当者と話す機会があった。

今回は担当者に掲載の了承をいただいている。

主に話す内容の5割はガンプラについてだったのだが、残り半分は現場担当者ならではのSNSの話だった。

タビオではインスタグラムよりもツイッター経由でのネット売上高が伸びているという。

タビオという会社は恐らく、ターゲット層や会社の性格などがインスタグラムよりもツイッターの方が合っているからというのが最大の理由なのではないかというの結論だが、それ以外の部分も今回は考えていきたいと思う。

 

まず、インスタグラムの投稿の頻度である。セオリー(一応、インスタグラマーの著書も読んでみた上での結論)は投稿頻度は1日に1度か2度、多くても3度くらいだとされているようだ。

しかし、ツイッターだと限度はあるだろうが、1日に1度か2度の投稿というのは少なすぎ、逆に10回前後は普通だしそれくらいの頻度で投稿がないとあっという間にタイムラインの彼方に流れて行ってしまう。

タビオ担当者はこれについて

 

「1日1度か2度の投稿を必ずヒットさせるのは難しいが、1日10数回の投稿のうち1回ヒットさせることはそこまで難しくない。プロ野球でも打率5割は不可能だが、打率2割9分や3割は達成可能。それと同じで一発必中は名人芸だが、百発一中なら凡人でもできる」

 

という。

また個人的には、工場と直接やり取りが多いタビオの性質上、インスタ画像を見せるよりも例えば、工場や生産の背景をツイッター(文字メインで一部画像&動画)で流した方が、より伝わりやすいという理由もあるのではないかと思う。

また、その手の製造背景の説明はインスタのメイン使用者である層には興味を持たれにくく、ツイッターのメイン使用者層の方が興味を持ちやすいということも理由の一つではないかと思う。

 

さらに言うと、文字メインのウェブ媒体や大手メディアはインスタグラムの画像よりもツイッターの投稿やブログに「取材依頼」を送ってくる場合も多く、他の大手メディアに掲載されやすいのではないかとも思う。実際に当方のブログにも取材依頼・原稿依頼が年に何度かは届く。

 

で、結局何が言いたいのかというと、インスタに合うブランドと合わないブランドがあり、自社ブランドがどのSNSに合うのか見極めることが重要だということである。

2000年代はファッション雑誌に掲載されることに各ブランドは血道をあげていたが、掲載されても反響の無いブランドも多々あった。実際に当方が働いていたブランドもファッション雑誌に掲載されても何の反響も無かった。要はファッション雑誌が合うか合わないかという問題を考慮せずにファッション雑誌に殺到したところで、徒労に終わってしまったわけである。

現在のインスタへの過剰期待もその頃のファッション雑誌への過剰期待と同じなのではないかと感じられる。

流行っている物が必ずしも自社・自ブランドに合うとは限らないし、他社が成功したから考えもなしに同じことをやっても効果が出るとは限らない。

隣の家の親爺がデイトレードで儲けたからと言って、自分がデイトレードをやっても必ず儲かるとは限らないのと同じである。

「〇〇をやっていれば必ず売れる」という簡単な時代ではなくなったからこそ、自社・自ブランドに合ったツールや手法を見極める必要性がこれまで以上に高まっているといえる。

 

 

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