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南充浩 オフィシャルブログ

大衆のほとんどは業界人が考えるよりもファッションブランドに興味が無いと感じた2023年正月の話

2023年1月10日 回顧 2

コロナ禍で中断していた母方の親戚の宴会が正月にあった。

法事だなんだかんだで毎年1度は会っているが、いわゆる宴会は久しぶりである。

昨年10月・11月とお恥ずかしいことながら、当方がテレビ番組に出演したので、そのこともあって今回は衣料品の話題が多くあった。

母方の叔父二人(要するに母の弟二人)は、もう70代だが、詳細な資産内容は知らないが住居から考えると世間の平均よりは裕福だろうと推測される。

で、この叔父たち夫妻だが、だいたい洋服は

 

ベルーナ、ワークマン、ユニクロ

 

の3つで買っているという。

その息子・娘たちももう40代前半~50代前半になっているが(当方が従兄弟では最年長)、独身者1人を除いて(それ以外は結婚して子供が複数いる)はやはりユニクロやらジーユーやらでの購入がメインとなっている。さすがにベルーナはいないようだが。

独身者一人もさほど高額なブランドは買っておらずせいぜいベイクルーズなどの大手セレクトショップくらい止まりである。

 

ちなみにこの親族の中で、衣料品業界に携わっているのは当方一人で、衣料品業界ではない人たちの衣料品に対する購入姿勢というのはどういうものなのかを毎年ここで観察しているわけであるが、全裸では生活できないから、洋服は買うものの、ブランドや特定の人気アイテムへのこだわりや興味はかなり低いと感じられる。

ついでに、正月には当方の社会人の息子二人と、大学生の娘一人が独居老人たる当方に面会に来てくれたわけだが、社会人の息子二人は衣料品とは全く関係の無い業種で働いているが、さほど衣料品への興味はない。

特に長男は衣料品への興味が全くない。もちろんどこぞの店で買っていて全裸では歩いていないわけだが、ジーユーとかあたりの低価格ブランドで買っており、住んでいる部屋が狭いという理由で枚数も極限まで減らしている。

次男は少し興味があるようだが、それも大学生時代までで、当時はアダストリアのメンズカジュアルブランドを好んで着ていた。今はスーツや作業服を着ての勤務なのでそんなに新しいカジュアルを追加することなく、大学時代のアダストリアの服で休日を過ごしているようだ。

大学生の娘は、衣料品に興味が無いと言いながら、なぜか今は衣料品店でアルバイトをしている。某低価格チェーン店だが、ファーストリテイリングではなく某レディースブランドである。

衣料品のコーディネイト自体は好きそうだが、いわゆる高いブランドとか最先端ファッションには全く興味が無い。自分がアルバイトをしている店の服で十分だという感じだし、衣料品業界に就職する気は今のところないということである。まあ、当方も衣料品業界への就職を勧める気は全く無いのだが。

 

で、これらの親族、息子たちの服装がとてもおかしく、クソダサいものかというと、当方にはそうは見えない。

もちろん、最先端ファッションには見えないし、アパレル業界人が思うところの「オシャレ」にも見えないが、まあ普通には見えている。それ以上ではないが決してそれ以下ではない。

大阪の梅田や難波で見ている大衆の平均的な感じである。

 

叔父たちも、従兄弟たちも若い頃は、時代の雰囲気もあってか、いろいろとブランドにも凝っていたこともあったが、2005年からは今のような感じになっている。

それでいて彼らのコーディネートは若い頃とそんなに顕著に見劣りするわけでもない。

こうした人たちを見ていると、一般消費者の大部分は彼らと同じで、衣料品にさほど興味もないし関心も薄いのではないかと思う。特に当方も含めて「無理をして」「生活を切り詰めてまで」高額なブランド物、高額な最新トレンドファッションを着たいとは全く思っていないのだろうと考えられる。

逆に、彼らを見ていて、そこまで見劣りするわけでもないのだからベルーナやユニクロ、ワークマン、アダストリアあたりのブランドで十分ではないかと当方は思う。

もちろん、ブランドにはブランドの、最先端ファッションには最先端ファッションの良さがあることは重々承知しているが、よほどの愛好者・数寄者でない限りは必要とは感じないだろう。

 

それは、低価格代替品のデザイン性や見た目の調整力が大幅にバブル期・90年代より向上したことが原因だろう。

厳密に見れば違いはあるのだろうが、着用した姿を他人が見たときに著名ブランド品と低価格代替品との差がかなり無くなっている。逆に著名ブランドは差別化を意識しすぎてか、ちょっと普通の人では着にくい奇抜なデザインとなっている物もあるから、普通の人間にとっては余計に食指が動かない。

 

業界人は「衣料品市場の活性化」とか「高額ファッションを売るためには」とか、そんな感じのことに日夜必死になっていて、次々と新ブランドや新ラインを日々立ち上げているが、その努力は理解するものの、却って個々のその類のブランドの売上規模を小さくしているのではないかと考えてしまう。

その市場というのは、伝わるかどうか当方の表現力では心もとないが、はっきりというと愛好家・マニア¥・コアなファン・数寄者という類の市場であり、現在の国内では少数派の市場であり、市場規模は小さいだろう。

そこにすでに多数のブランドが存在している上に、毎日、新規ブランドが参入し続けるわけだから、個々のブランドの売上規模が伸び悩んだり縮小するのは当然のことではないかと思う。市場規模は変わらないのにプレーヤーは増え続けているわけである。

では、今後、新規の愛好家が急増するかというと、それは難しいだろう。低価格ブランド商品が今の見た目のデザイン性を維持し続けるなら、わざわざそれ以上の価格帯の洋服ブランドを買う必要性が大衆には無いからだ。

現在、大衆の衣料品需要をユニクロ、しまむら、ジーユー、ワークマン、その他何十の低価格ブランドが寡占化しているように、愛好家市場も特定のいくつかのブランドが寡占化することが、最も現実的な生き残り策ではないかと当方は見ている。

 

戦わなければ生き残れない!

 

放映から20周年を迎えた仮面ライダー龍騎の決め台詞を彷彿とさせる状況にあると、当方は感じている。

 

ちなみに叔父二人によると、冬用の暖パンは、ユニクロよりもベルーナの商品の方が暖かくて良いとのことである。興味のある方はご参考に。

 

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 comment
  • BOCONON より: 2023/01/11(水) 9:48 PM

    今回の記事も別に変な事を言っている訳ではないにいても,わざわざ言う必要があるのやらどうも疑問でありますね。確かに大衆というものはおおよそ服もそれ以外についても「テレビが言わないことはないのと同じ」と云ったものではあるし(だからルイ・ヴィトンは持っていないとしても知ってはいる)ユニクロやワークマン,GU,しまむらのような「どこにでもある店」,あるいはベルーナのような爺さん婆さんに「テレビCMや新聞のちらしでよく見る」ものでもなきゃ特に気にも留めないもの」なのがふつうでありましょう。

    でもなあ・・・本当にそれでいいのか,は少なからずもんだいな気がが僕はする。
    最近 “若者のクルマ離れ” なんてことがマスゴミで盛んに言われていたりするけれど,僕にはいっこうにそんな気はしない。だって東京23区内に住んでいるならまだしも,こんな田舎でクルマに乗らなかったら普通生活できませんからね。クルマはだから買う人は買うに決まっているが,洋服その他に関してもそんな「すっぱい葡萄の論理」みたいな話で安物でない服へのあこがれすらなくしてしまったらもう悪循環に嵌るしかあるまい。ものごと何でも「まず何より安いもの」って考えが先に来たら,商品の良し悪しをフラットに判断するなんて出来ませんからね。「これはいいけど,似たようなものでもっと安いものを…」なんて,若い頃の僕みたいにな考えをしたら結果ろくな事にはならない。

    でも確かにそれがフツーの一般大衆ってものですからね。
    僕なんぞは昼間っから自転車乗ってコンビニやスーパーに行ったりするので(下校時間だと)小学生に変な目で見られたりします。結構目立つ服装をしていたりするから尚更だ。

    ・・・何が言いたいのかと言うと,あんまり冴えない服装して,でもそれでいいと思ってしまったら,もう日本人の服装なんて落ちる一方だろうということであります。
    現代美術なんてものは僕にはただのガラクタにしか見えず,そんなものより(今上陛下のような)日本人体型を立派に見せるようなスーツを伝承していく事の方がはるかに重要なことだ、と思うような人間にとってはこれは重大な問題のように思えてなりませぬ。

  • 南ミツヒロ的合理主義者 より: 2023/01/13(金) 5:20 PM

    今回の投稿は、実に示唆のある内容です

    属性から整理しましょう

    南サンが調査対象としたのは

    ・高齢者:公的年金20万以上
    ・ミドル:手取35万以上
    ・若年層:Cランク以上の大学出身者

    といった感じでしょうか

    そして全員がウニクロGUを愛用中
    ミドル以下はセレクト利用者がいるものの
    中位グレードのネームのみ

    高齢者は恐らくタンスにレナウン・三洋系の服が
    あるはずです。しかし実用的ではない上
    人間やはり新しくて清潔感のある服が着たいものです

    そしてミドル以下がウニクロGUなのはあたりまえ
    それ以上に驚くのは、UAもBEAMSも登場しない点

    私が思うに、彼ら彼女らは「アダストリアだから
    服を買っている」訳ではないはずです
    価格と欲しいデザインの折り合いがつくのが
    セレクト中位という、ただそれだけです

    業界人が騒いだネームは要するにネーム代を商品に
    上乗せしている会社だから、今回の調査対象者のような
    人たちにとっては、まず購買対象に入らないでしょう

    ・高齢者には旧来の販売チャネル
    ・ミドル以下には価格比の内容

    が大切なのですね

    当然といえば当然ですが、こうして結果を整理すると
    服好き向けやライフスタイル発信型のブランドは
    要するに割高だから、消費者からさほど相手に
    されていないのがよく解ります

    従業員の自己マン度wは高いんでしょうけどねぇ・・・

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