時代の趨勢
2014年7月4日 未分類 0
先日、某インポートブランド専門商社の幹部の方と雑談する機会に恵まれた。
駆け出しの業界紙記者だった当時からいろいろとインポート業界について教えていただいた方である。
17年前に業界紙記者となった当時は、ラグジュアリーブランドをインポートしている大手専門商社がいくつもあった。その後、各ブランドがジャパン社を作るに及んで、大手専門商社は次々と名前を聴かなくなっていった。
経営手法のずさんさもあり、大手の一角を占めていたコロネット商会も倒産し、コロネットとして再出発した。
ブランドが育ってくると本国主導でジャパン社を設立されるという危険性は、何もライセンスブランドだけのことではないということである。
あの当時、大手として鳴り響いていた各社がほとんど逼塞してしまい、一度倒産したコロネットが今もまだそれなりの存在感を業界で発揮しているというのは何とも皮肉な巡り合わせだと感じてしまう。
さて、この方は10年以上前から「インポート業界は若い人材が入ってこなくなった」と嘆いておられた。
90年代後半くらいまでは毎年20代の新入社員が入社したそうだが、2000年を越えるころになると、新入社員の入社数が減り、社内の平均年齢が上昇し始めたという。
国内の繊維製造加工業で、従業員の平均年齢が高齢化しているという問題がよくクローズアップされる。
最年少の工員は60歳なんていう工場もザラにある。
それほどではないにせよ、インポート専門商社従業員の平均年齢も10数年前から高齢化してきたということになる。
久しぶりにインポートブランド業界の状況について尋ねると
「以前にも増して厳しいですよ」
との答え。
1つは、百貨店のラグジュアリーブランド売り場はそれなりに活況だが、壁面にショップを展開する有名ブランドはジャパン社の直営ばかりで、インポート商社が納入できる平場は減少し続けているからである。
もう1つは、個人経営の小規模高級ブティックの減少に歯止めがかからないからである。
幹部によると、レディース店も激減しているが、メンズ店は壊滅的だそうだ。
思い出してみると、街なかで小規模なメンズ主体の高級ブランド専門店なんてものは、最近ほとんど見かけたことがない。そういえば、バブル期やバブル崩壊直後はけっこうな数を見かけたし、90年代後半でもときどきは見かけた。
レディースの高級ブティックだって小規模店はずいぶんと減っている。
畏友である釼英雄さんもブログで書かれているように
もう大都市のショップの顔ぶれを見ると、「個店」をほとんど見かけない。だから、売場を見ても面白くないし、いくらバーゲンでも買う気がしない。先日、地元セレクトショップの社長も同じことを仰っていた。
という状況であり、郊外はイオンモール、アピタなどのショッピングセンターに集約されてしまっている。
大都市だけでなく郊外でも個人経営の高級ブティックが生き残れる要素はほぼなくなりつつある。
一見すると今も変わらず華やかなインポートブランド業界だが、それをかつてけん引してきたインポート専門商社は衰退しつつあるといえるだろう。
これも時代の趨勢というものだろう。