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南充浩 オフィシャルブログ

サマンサタバサの苦戦はハンドバッグというアイテムそのものの需要が減っているから

2022年11月18日 決算 3

衣料品・服飾雑貨品ビジネスの場合、効率化とかDX導入、コスト削減とか、そういう経営努力だけでは改善しようがない要素が非常に大きい。

その最たる事例はサマンサタバサの経営再建問題ではないかと当方は見ている。

先月、第2四半期決算が発表された。それを受けてダイヤモンドオンラインにはこんな記事が掲載された。

倒産危険度ランキング2022【アパレル37社】7位サマンサタバサ、1位は? | 選別開始!倒産危険度ランキング2022 | ダイヤモンド・オンライン (diamond.jp)

まあ、見出しが全てを物語っている。

新型コロナウイルス感染拡大で経営が一層厳しくなったサマンサは、20年7月に紳士服コナカの子会社となった。同年10月には、メインバンクの三井住友銀行など4行から長期借入金で87億円を調達。返済期限は23年10月末で、一括返済の契約だった。

だが、サマンサの業況は一向に好転しない。「23年10月に87億円全額を返済するのは、経営計画上も資金繰り上も困難なことが早々に分かった」(同社の関係者)という。

同じ条件で23年10月以降も融資を継続してもらうため、サマンサは銀行側に構造改革案を示したが、思うように進捗していないもようだ。実際、足元の業績も引き続き苦しい状況である。

22年3~8月期の純損益は9億9800万円の赤字(前年同期は24億円の赤字)。自己資本比率は5.5%まで低下してしまった。

もはや、サマンサ単独では、いかんともしようがない。前出の関係者は、「生き残るためには親会社のコナカか、メインバンクの三井住友銀行による追加支援は必須だ」と強調する。ただし、コナカもコロナ禍で受けたダメージは大きく、経営的な余力は乏しい。サマンサの今後は、三井住友銀行の判断が鍵を握りそうだ。

 

とある。

サマンサタバサリミテッドジャパンの2023年2月期第2四半期連結は

 

売上高 122億7900万円(前年同期比3・6%増)

営業損失 10億8000万円

経常損失 8億9600万円

純損失  9億9800万円

 

と赤字決算に終わっているが、売上高は微増し、赤字幅も縮小されており、最悪期は脱したのではないかと思える。

 

だが、ここからV字回復、急回復できるかというと大幅な増収はあり得ないだろうと当方は見ている。営業利益を改善することは可能だろう。結論から言ってしまうと、サマンサタバサは売上高は現状水準を維持しつつ、利益率を高める方策を採ることが最も現実的な選択ではないだろうか。

 

今以上の大幅な増収が見込めないと当方が考える理由は、サマンサタバサの看板であるあのハンドバッグ類が今以上に当分の間売れる要素が見当たらないからである。

街行く女性の身なりを観察していればわかると思うのだが、ハンドバッグをぶら下げて歩いている女性の数は、サマンサタバサの人気がピークだった2000年代前半と比べて格段に減っている。

多いのはリュック、あとはミニショルダー、ミニメッセンジャーなどの肩掛け鞄、そして大型トートバッグ類である。

そして商品テイストから言っても、今のマストレンドファッションとは全く合致しておらず、出退勤時のキャバクラ嬢くらいしか持っていないのではないかと思われる。

 

1、ハンドバッグというアイテム自体の人気がない

2、商品テイストとブランドイメージが今のマストレンドに全く合致していない

 

この2点がサマンサタバサの抱える弱点といえる。

作業の効率化とか資本投下の在り方とかそういうことではこの2点は解決しようがない。

 

ファッショントレンドというのは、何十年に1度必ずリバイバルするものだが、ハンドバッグ人気が戻ってくるかと問われると、当方はNOと考えていると答える。

たしかに最近の訳の分からないオッサンブルゾンの復活を見てもわかるように、リバイバルはあり得るが、快適さ・便利さに劣るアイテムは復活しにくい。

リュックやショルダーバッグに比べてハンドバッグは格段に不便である。一度リュックやショルダーバッグの快適さに慣れた人間が、不便なハンドバッグに回帰することは少数を除いてないだろう。

同じ理屈はメンズのビジネスバッグにも言える。うるさ型の人々からは評判は悪いが、メンズビジネススタイルでリュックを愛用する人は今後も増え続けるだろう。手提げビジネスバッグ人気が復活するよりも先に、スーツスタイルに適したデザインのリュックが今以上に開発されることになるだろう。

 

当方の少し年長の知り合いが先日、数年前に買ったディーゼルの綿100%スリムジーンズを穿いて来たのだが、

「最近はユニクロのストレッチスリムジーンズに慣れているから、しんどくてたまらない。もったいないから時々、このディーゼルも穿いているが、捨ててしまいたいくらいだ」

と語っていた。

人間は快適さを覚えると不便なアイテムはいくら高額品だろうが、イケてるブランドだろうが、着用したいとは思わなくなる。ハンドバッグも同様である。

 

ではサマンサタバサの再建策として考えられることはハンドバッグ類を減らしてリュックを新たに開発すべきということになるが、それが上手く行く保証がないところがファッションビジネスのめんどくさいところである。

そもそも、今残っているサマンサタバサの顧客がサマンサタバサのリュックを求めているのか?という問題に行き当たる。

求めているかもしれないし、求めていない可能性も低くはない。この辺りはサマンサタバサが顧客データを使って自前でマーケティングすべきだろう。当方はカネをもらっているわけではない。

またハンドバッグは継続してテイストを変えてみるというアイデアもあるが、恐らくは既存客が離れてしまうだけで、新規客は取り込めないだろう。

 

個人的には、即効性は皆無だが、確実性が高いと考えるのは、サマンサタバサの現状の客層にマッチし続ける商品を提案し続け、強固なファン化させること、である。

ただし、売上高は伸びない。なぜなら新規客は取り込めないからだ。規模を縮小均衡させ利益率を高める。ブランド規模は小さくなるが、黒字体質になる。

ちょうど「パパス」みたいなブランドを目指してはどうか。商品テイストもほとんど変えず、トレンドに左右されないから売上高は伸びない代わりに大きく減りもしない。そして息長く細々と続いている。

どうせ、あと何十年経っても中級価格帯では不便なハンドバッグなんて人気の回復は望めないのだから、それくらい割り切った施策をしてみてはどうか。ただ、上場企業であるサマンサタバサリミテッドジャパンでは難しいだろうが。

 

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 comment
  • 南ミツヒロ的合理主義者 より: 2022/11/18(金) 2:19 PM

    すでに懐かしブランドですなぁ>サマンサ
    エビちゃん、山田優など、20年以上前の話でしたっけ??

    >「快適さ・便利さ」に劣るからハンドバックが廃れた

    廃れた理由としては50%程度だと思います

    もう半分は服飾スタイルの変せん
    もとい、若い女の子の生き方の変化では?

    赤文字雑誌の「彼ウケ」「彼ママウケ」「自分アゲアゲ」
    路線がすべてダメになったのも大きな要因だと思います

    ストッキングもヒールもブラもバックもいらねー
    (彼氏もついでにw)

    という女子比率が劇的に増え、今では進化して

    くつしたにコンバースですらないスニーカー、
    カップつきインナーで年中どこでもエコバック
    (愛読マンガはボーイズラブものw)

    みたいな若い子が冗談ぬきで増えてます

    男はスカンピン化するいっぽうで
    女はありのままな生き方をするようになった

    要するに、異性をふくめ、よその人間の眼を
    気にしなくなったという事につきると思います

    なお、アパレル業界よりもこの変化を
    身にもって感じているのはサニタリー業界だそうな

    「こいつら、洗濯しない(柔軟剤うれない)」
    「こいつら、フロに入らない(入浴剤うれない)」
    「こいつら、部屋掃除しない(アロマ関係うれない)」

    ライオンマークな会社の人がのたもうてましたよ

    よその眼を気する必要がないなら
    物入れは、バックである必要すらない

    いずれは「おされなズタ袋やガラ袋」が
    登場すると思います

  • 大阪のオバチャン より: 2022/11/19(土) 12:02 PM

    ハンドバッグはアクセサリーと同じような存在だと思います。
    コーディネートのアクセントに選びます。
    今でもハイブランドのハンドバッグは人気で、シャネルなんてすごい値上げで100万超える商品もあるようです。

    私もちょうど、ハンドバッグが欲しいと思っていたところです。
    でもサマンサタバサは選びません。
    若いこ達からも選ばれなくなりましたね~
    やっぱりハイブランドのブランディングはすごいんだと感じます。

    今、私が買うんだったら、ロエベかな。。。
    大きなロゴが入っていなくて、高品質でオシャレなバッグがほしいです。

  • 南ミツヒロ的合理主義者 より: 2022/11/25(金) 9:46 AM

    失敗から学ぶ事はとても多いのですが
    サマンサ=ハンドバックのケースも学ぶ点が多い

    501とサマンサが再ブームにならず
    何故MA-1が再ブームになり得たのか?

    南サンがさんざん考察しているポイントですが
    決め手はやはり「実用性」でしょう

    原反デニムや物がロクに入らないハンドバックは
    若者ですら実生活で使用するには
    とても厳しいアイテムでした

    メインターゲットはアホとはいえ学生です
    しかし、学生さんといえば教科書とノート
    いずれもハンドバックには収まりません

    原反デニムの501も実は同様だったのでは?
    でも当時はファッション>快適性だったので…

    その点MA-1なら風よけにもセーター代わりにも
    温暖化した21世紀ならコート代わりにもなる

    アネロなら、たくさん入って両手塞がらず
    棒屋根だから物の出し入れがカンタン

    スタイル優先で実用性を度外視した物は
    どのクラス、どのジャンルに関わらず
    売れづらいという事ですなぁ・・・

    実用衣料のデニムですらそうなんですから・・・

    裏かえすとヌメ革不使用のダミエの
    新型投入を繰り返すヴィトンはさすがだよな

    けど、一時は「物がいっぱい入るあの型番」
    しか買わない人が増えてかぶり続出でしたが・・・

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