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南充浩 オフィシャルブログ

いつか見たアイテムとコーディネイトだけがリバイバルし続けている?

2022年11月17日 回顧 3

時々刻々と加齢というものを感じる今日この頃なのだが、自身の加齢のせいもあるのか、衣料品に関して目新しさを感じることが少なくなってきた。

最新トレンドとして取り上げられているものでも、多くの場合はリバイバルだったりする。

以前にY2Kについて触れたが、女性のヘソ出しルックスあたりを指しているのだが、これは西暦2000年頃のトレンドのリバイバルである。しかし、当方のような老人からすると、その西暦2000年頃のトレンドは実は1970年代のトレンドのリバイバルなので、目にすることは2度目となる。リバイバルのリバイバルなので新鮮味はゼロである。平たくいうと50年前のリバイバルである。

 

それでも気を取り直して、趣味と実益を兼ねて人気セレクトショップのアプリなどを定期的に眺めるようにしているのだが、ジジイにはなかなか理解不能な最新アイテムを多々見かけるようになったと感じる。理解できないことがジジイのジジイたる所以だろう。

もう数年前から毎年夏になると「グルカサンダル」というアイテムがそれなりにクローズアップされるようになった。

若い人たちにとってはもう定番化しているのだろうか?登場当時にはあれに新鮮さを感じたのだろうか?

 

だが、当方からするとはるか昔から見かけていたアイテムである。

40年前くらいには、近所のオジサンたちが日曜日になると夏のアイテムである。また当方は幼いころから病院に通うことが多かったが、その際、よく医者が履いていたサンダルである。

これの一体何がカッコいいのかわからない。(笑)

あ、あと当方も30年前の大学生時代に自宅で着用していたことも覚えている。たしかに便利さと涼しさはあるが、全く目新しさはなく、40年以上前から存在しているオッサン向けアイテムだといえる。

 

今秋の街行く若い女性の服層を見ていると、やや股上の深いジーンズにセーターをインして着用していることが多いが、これも80年代後半によく見かけた着こなしで、35年前と同じであり、何の目新しさもない。

景況感は今とその当時とでは全く異なるが、服装だけを見ると、「いつぞや見たあれ」でしかない。

 

先日、ベイクルーズストアのアプリで新着アイテムをチェックしていたところ、こんなブルゾンを見かけた。

単品置き撮りだと、ちょっと面白味のある柄だと思って眺めていたが、着用写真を見ると驚いてしまった。まるで40年前・45年前の日曜日のお父さんではないか。

今では廃れてしまった個人経営の街の紳士服店の店頭に飾られていたマネキンのようである。

 

 

若者にはこれが新鮮に映るのだろうか?

だが、いくら新鮮に映ったからといっても、これを着こなせるには相当の容姿の良さが求められる。オッサンが着たらそのままオッサンになってしまうが、例え若い人であっても容姿が悪ければかなり見映えは悪くなるだろう。相当に難易度が高い。

 

古着人気がトレンドとなっているが、現在の古着店に並んでいる古着は、だいたいが80年代後半から90年代前後の商品である。それを購入して着用すると必然的に80年代後半から90年代半ばの服装となる。

古着に詳しい業界人に教えてもらったが、もう60年代・70年代の古着はほとんど入手できないそうだ。

だから、古着を着用する若者は80年代後半から90年代半ば調にならざるを得ないのだろう。

それに合わせたアイテムを提案するとなると、新品アイテムも40年前~35年前のテイストになってしまうのではないかと思う。

 

それにしても、2008年のスキニージーンズ以降、目新しいアイテムというものがほとんど開発されなくなった。スキニーの次に来たものは、ワイドシルエット、ルーズシルエットのリバイバルだった。

今秋は、わずかに目新しいアイテムとしては一部でバラクラバ(目出し帽)が挙げられているものの、年代を越えてマスに広がる様にはとても思えない。

 

年配のご婦人が着用すると防空頭巾を彷彿とさせてしまうし、なかなか着こなせる人もいないだろう。

 

一時期、科学技術を取り入れて機能性を持たせた「ウェアラブル」に大きな注目が集まっていたが、結局のところあまり報道では見かけなくなった。

開発自体はジワジワと進んではいるのだろうが、いまだに実用化には至っていない。

最も普及したウェアラブルというとアップルウォッチなのではないかと思う。あとは電動ファン付きブルゾンとか電熱線入りブルゾンとかその程度だろう。

 

第二次大戦後から世界的に既製服ビジネスが始まり、大いに衣料品の需要は伸びた。また、次々と新たな着こなしやシルエットが数年おきに提唱され、それによってビッグトレンドが生まれ、そのたびに買い替え需要が生まれた。もちろん我が国でも同様だった。

80年代にビッグシルエットが提唱され、それまでのジャストサイズは見かけなくなった。90年代に入るとビンテージブームが起き、2000年頃からローライズボトムに切り替わった。

われわれはこの度に手持ちの洋服を総入れ替えしていた。しかし、2015年以降はそういう目新しいアイテムが生まれにくくなった。生まれたとしても微妙なテイストの「バラクラバ」程度である。いつぞや見たことがある物がリバイバルするようになったのと同時に、それぞれのテイストが共存するようになってしまった。これでは劇的な買い替え需要というのは起こらない。買い替える必要がないからだ。

ある意味で「エコ」だといえるが、衣料品ビジネスとしては世界的に売上高を伸ばしにくい状況にもあるといえる。(もちろん例外はあるが)

 

今後、劇的に目新しい衣料品が生み出されることは、よほど科学技術が発達してウェアラブルが完全普及するまではないのではないかと思う。

 

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 comment
  • BOCONON より: 2022/11/17(木) 4:33 PM

    はやりものに疎いので,どうも今回の画像はどこから持ってきたものやらわからないです。
    まぁしかし,いづれグレンチェックなんて――美輪明宏風に言えば ”渋派手” な――柄は,お若い人たちにはあんまり似合わないなものではある。スーツでもジャケットでも。まして大柄で多色使いのグレンチェックのブルゾンなんてねえ…およそェックはなるべく地味なものを選んでも存外悪目立ちするもののだし。
    その分お若い人たちには新鮮に映るのかも知れませんし「流行り物なんてそんなもの」という気もするが,南さんのおっしゃる通り「どうもちょっと無理がありゃせんかい?」という気もする。

    はやりと言えば,紺のブレザー,それも金6つボタン下一個掛けけのものを釦かけずに羽織ってズボンはカーキ色,と言うよりミドリ色のもの,あるいはジーンズを合わせるというのも最近婦人服のショップの店頭やTVやネットでも時々見ますが,紺ブレザー愛好歴30年の僕には「よしねえな,フツーに着る事も出来ねえくせにw」ですね。特に「洗いざらしのジーパンを合わせると,ジーパンがひじょうに汚く見えるしな」。
    或いは最近アーガイル柄,百姓英語で言えば “ダイヤ柄” を復活させようとしてセーターやカーディガンをTV番組で芸人たちが着てたりするけど「なんでああいうエレガントな感じの人でなきゃ似合わないもを…」と思います。

    そもそもここ数年思うのは,何だかもう「エレガントでもそうでなくともキレイな色柄ははやらない,どころかおt子が鮮やかな色の服着ていたら反感を持たれたりしかねない気がする」ということですね。お若い人たちは “真っ黒パンツに真っ白パーカ” なんて,葬式みた様な服着て得意そうな顔ている始末ですからね。
    僕は「紺のブレザーに襟の白いブルーのシャツに黄色いペイズリーのネクタイ…なんて格好していると,東京の百貨店などではうるさいくらいよく販売員
    さんたちにホメられるけど,地方じゃヘンな目で見られかねないから,もうよそうかな。こんな田舎の民度の低い連中の目を惹いたって何もいい事なんてないしなあ…」と近頃思っています。

  • とおりすがりのオッサン より: 2022/11/18(金) 10:00 AM

    南さんのツイートによると、このブルゾンはジャーナルスタンダードの新作で44,000円だそうですw
    3年後には売れ残りが3,000円でバッタ屋さんで売られていそう。で、オバちゃんがお父ちゃんに買っていって、うまい具合に収まるんじゃ?(・∀・)

  • 南ミツヒロ的合理主義者 より: 2022/11/21(月) 8:59 AM

    オッサン>上代44,000円、数年後はバッタ屋で3,000円w

    ホントですか?セレクト扱いとは・・・

    オールジャンル・オールスタイルが
    80年代のトラッドの図式になってきましたなぁ・・・

    「どういつ円周内で回転してるだけなので
     商品の内容はほぼ不変。したがって売上はジリ貧w」

    80年代はまだ良かった。バブルが来たので単価を
    上げられましたから

    けど今は人口は減るわ、単価は半額ではなく
    最低1/3という時代です

    しろはた上げて降参するのが得策かもですねぇ・・・

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