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南充浩 オフィシャルブログ

ワークマンはカジュアル店を増やせば増やすほど売れ残り品の値下げを容認せざるを得なくなる

2022年11月10日 お買い得品 1

先日から、心を入れ替えてワークマンの店頭も定期的に見るようにしている。

「買う気」になって店頭を定点観測すると、現在のカジュアル用途向けのワークマンは、人気品番は2週間くらいで完売してしまい、その後、滅多に補充されないという状況にあることがわかる。

これには3つの理由があると考えられる。

1、人気品番だから飛ぶように売れている

2、フランチャイズだからスムーズな追加発注が難しい(補足:仕入れはFC店が負担するため、資金的に安易に追加しにくい)

3、1店舗当たりの入荷枚数(仕入れ枚数)がユニクロやジーユーあたりに比べると少ない

という3点である。

 

元来、ワークマンは作業服店で、大量に仕入れた商品をフランチャイズ店に卸しながら2~3年かけて売り減らすという形態で成立してきた。

これは「商品力があったから」とか「ベーシックデザインで飽きがこない商品だから」とかそんな理由よりも「作業服店だったから」という理由が圧倒的だろう。

作業服店なのだから、当然客は作業用の服を買いに来る。オシャレであるにこしたことはないが、別段オシャレ要素というのは無くても構わない。もっというと、あればありがたいが無くても全く問題無い。なぜなら、客はその服を着て作業をする、仕事として作業をすることが目的であり、着飾ってアピールすることは目的ではないからだ。

となると、耐久性が高いとか定価が安いとか、そういうことが買う理由になるし、破損して買いなおすときの理由になる。また2年間か3年間くらい同じ商品が並んでいても、気にすることはなく、むしろその方がありがたいくらいである。

ワークマンのシステムは、作業服店には非常に適していたと思う。適していたからこそ大規模に成長することができた。

 

スポーツウェアもそうだが、作業服というのも機能性が高い。そうなるとその機能性を活かしてパイの大きいカジュアル分野への参入を考えるのは、ワークマンに限らず当たり前のことといえる。

ナイキやアディダスのカジュアル参入成功もモデルケースの一つにはなっただろう。

しかし、カジュアル分野というのは、嗜好性で商品が買われるため、毎年同じ商品では飽きられてしまう。これを身を持って体感させてくれたのが2020年のユニクロだし、近年の無印良品だといえる。

そして、当然売れ残りも発生する。

ユニクロの店頭とネット通販を見ればわかるようにだいたい大きすぎるサイズや小さすぎるサイズは売れ残りが発生している。

また、デザインやテイストが自ブランドの顧客が求めるものでない場合は驚くほど売れ残ってしまう。

そういう危険性がカジュアル市場には多分に潜んでいる。というか、カジュアルブランドはどんなにお高く止まっているブランドでもこの問題に常にさらされている。

 

現在、国内アパレル業界には「値引きセール絶対悪」教の宣教師のような輩が跳梁跋扈している。たしかに粗利益高を高めようとすると値引きセールをしないにこしたことはないのだが、売れ残った服をそのまま抱えていたところで値上がりすることはないので、売れ残った服は叩き売って現金化する方が賢明である。

そしてこれまでワークマンは値下げせずに数年かけて売り切るというビジネスモデルがこの宣教師たちには非常に好評だった。

 

だが、カジュアル向けのワークマン女子やワークマンプラスではそろそろその値下げしないモデルは崩れつつあるといえる。

当方が定点観測するのは、なんばシティのワークマン女子だが、昨日、初めてワークマンの値下げ品を発見した。もしかしたら以前から少しずつあったのかもしれないが、当方が発見したのは初めてである。

エクストラファインメリノクルーネックセーターと、ワークスーツのジャケットの2品番である。

エクストラファインメリノクルーネックセーターはミディアムグレーが10数枚残っていて1280円に値下げされていた。あとワークスーツのジャケットは数枚が残って値下げしましたPOPが付けられていた。

エクストラファインメリノセーターはこれは昨年秋冬に店頭で見た記憶があり、今秋冬にはまだ入荷していない(もしかするとウールの値上がりで今秋冬は入荷しないかもしれない)ので、明らかに昨年秋冬物の売れ残り在庫であることがわかる。

ワークスーツも今期物が店頭に現在も並んでいるので、昨年物になるのだろう。

 

そこで当方はこのハイゲージウールセーターを1280円で買った。ウール70%・アクリル30%の組成である。

無地のミディアムグレーのハイゲージウールセーターは手持ちになかったので1280円で入手できたことは望外の収穫だった。

 

これまで「値下げしないで複数年かけて売り切ること」が優良なビジネスモデルとして喧伝されてきたワークマンだが、カジュアル市場においては全品番をその売り方で売り切ることは不可能である。不可能でないならなぜこの数十年間そのモデルを確立できたブランドが現れなかったのか。

10年ぐらい前までコンビニでの値引き品販売はほとんど見られなかった。しかし、現在では値引き品をちょくちょくと見かける。食品なんかは賞味期限切れ近くなるといくらか値引きされるし、整髪料とか雑貨も商品入れ替えに際して値引き販売されている。

ご存知のようにコンビニもワークマンと同様にほとんどがフランチャイズ店で、コンビニ本部はブランドイメージを保つために値引き販売を厳しく禁止してきた。

しかし、他に大型ドラッグストアや百均、業務スーパーなどの低価格販売店が多数現れると、いつまでも禁止しておくわけにはいかなくなり、部分的には容認された形となっている。

当方は、カジュアル向けワークマンもこのコンビニと同様に今後は、昨年物とか一昨年物の売れ残り在庫は値引き販売が大々的に容認されるようになるのではないかと見ている。

 

人気品番が2週間で完売し、ある意味で品薄状態が続いている大人気のカジュアル向けワークマンでさえ、昨年の売れ残り品は発生するのである。そして売れ残り在庫が現金化できなくて困るのはフランチャイズ店のオーナーである。カジュアル客が増えれば増えるほど売れ残り品は必ず発生する。カジュアル向けのフランチャイズ店オーナーからはいずれ「今期物より以前の売れ残り品を何とか処分したい」という要望が出てくることは火を見るより明らかである。

いずれ、現在のコンビニ同様に売れ残り品の値下げセールを解禁せざるを得なくなるだろう。

 

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 comment
  • 南ミツヒロ的合理主義者 より: 2022/11/10(木) 1:58 PM

    これ良いですねぇ>アクリル30%杢調グレーセーター
    しかもお値段1280円!(税込)

    ニットの正統派なスメドレーは
    ワークマンのコピー品の30倍のオネダンですが
    物としての出来は、そんなに変わりません

    オネダン30倍でも出来の良さはせいぜい1.5倍

    しかも耐久性=良い状態を保てる期間は逆転します

    ワークマンのほうが1.5倍は長持ちします
    しかもクリーニングに出さなくていいし
    エマールで優しく手洗いwすらしなくてもいい

    にしてもワークマンで化繊アウター・インナーを
    買わないで、天然繊維モノを掘り出すのが
    さすが南サンですな

    にしてもウニクロ以降、低価格ブランドは
    色だしが本当に巧くなりました

    今回はウール70%という難しい素材なのに
    きちんとペールっぽいグレーを再現出来ている

    良い仕事です
    価格はファストファッションでも
    この内容の商品だと
    とうていファストファッションとは言えません

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