商業施設のフロアスペースが埋まらないから新しい取り組みも生まれているのではないか?
2022年11月1日 告知 6
東京の住人ではないから東京都心のファッションビルや商業施設、近郊ショッピングセンターの様子は知らないが、大阪では難波や梅田といった都心商業施設でも入店テナントが埋まらず、ユニクロ、ジーユー、100均大手、スリーコインズ、ラックラックなどの低価格店の出店が増えている。
前回のブログで言及した天王寺MIOの巨大ジーユーも、ジーユーとプラスワンがあれば事足りるという消費者ニーズを捉えたという要因以外に、ジーユーくらいしか出店する余力が無かったという要因もあるのではないだろうか。
コロナ禍直前の2019年11月にオープンした梅田の大型商業施設「ヨドバシリンクス」だって、コロナ禍以降はテナントが埋まらないのかABCマートがすでにあるのに、空いた広大なスペースにABCマートのセール品を並べるコーナーを展開して穴埋めしている。
難波マルイは、ユニクロとジーユーとセリアとラックラックの館になってしまっている。
さすがに百貨店はこんな低価格ブランドをあまり導入していないが、西武渋谷などが導入した「売らない店」というのは、穴埋めという要因がなければ百貨店内に登場することはなかっただろう。
これなんかも、一見するとホスピタリティ云々というように見えるが、実際のところはフロアスペースの穴埋めではないかと当方は見ている。
阪急メンズ大阪 地下1階に招待制キュレーションスペース | 繊研新聞 (senken.co.jp)
阪急メンズ大阪は10月26日、招待制の常設キュレーションスペースと位置付ける「密」を地下1階に開設した。一つひとつの企画を招待制で実施することで、各企画主体と参加顧客との密なコミュニケーションが可能になる場としている。
とのことである。埋まらないスペースにカッコよさげに見える物を持ってきたという感じがする。
今回はちょっと個人的な宣伝である。
2014年からお世話になってきた在庫処分店「ラックドゥ」が、障害者就労支援事業と協業して、某子供服メーカーの商品を取り扱った店舗を10月22日に西友の長岡店内にオープンした。
ドゥーラックが西友長岡店に新店 二次流通×福祉で社会課題を解決 | 繊研新聞 (senken.co.jp)
西友の店舗は、商品供給する子供服メーカーと、小売りを運営するドゥーラック、店頭及びバックオフィスの人員を供給する障害者就労支援事業のパララックスの3社協業。これまでも仕入れ商品の検品やウェブ用の写真加工や採寸などのバックオフィス業務を障害者に委ねてきたが、今回は販売も部分的に担ってもらう。
とある。
別バージョン店として10月にイズミヤ高野店、イズミヤ神戸玉津店内に、無人販売コーナーを出店した。西友・長岡店の新店もそうだが、これまでのラックドゥは路面店、テナントどちらも自前の販売スタッフを配置してきた。(路面店なら当たり前だが)しかし、このイズミヤの新店2店舗は、イズミヤの平場の一画に設け自前の販売員を置かない。支払いはイズミヤの集合レジで行い、ちょっとした接客はイズミヤの平場スタッフが行ってくれる。
この「無人コーナー」を11月には、イズミヤ堅田店、イズミヤ大久保店にもオープンするとのことである。
当方も30年前にイズミヤ内のテナント店で勤務をしたことがあるが、その当時はこういう「無人コーナー」の設置などは考えられなかった。
イズミヤに限らず、量販店でも平場は量販店の運営、テナントは出店企業の運営と完全に区別されていた。その後、当方は退職してしまって業界紙記者になった。その後は量販店の平場内にもメーカー直営コーナーが設置されるという流れになるが、そのコーナーのスタッフも原則は出店企業側の派遣によるものだった。もしかしたら当方が知らないだけで無人コーナーはゼロではなかったのかもしれないが、大々的に広まることはなかった。
今回、ラックドゥが無人コーナーを出店したこと、また、ラックドゥという小規模業者にそのような新規性の高い出店をイズミヤという近畿地区での有力量販店が許したということに、時代の変化を感じるとともに、コロナ禍以降に如実に顕在化した「商業施設のフロアスペースが埋まらない」という現状の深刻さが垣間見えるようにも感じる。
百貨店内に「売らない店」が出店され始めたのも同様である。新規性を取り入れたいという思いはあっただろうが、スペースが埋まらないなら郊外ショッピングセンターのような「休憩スペース」にするよりも、1円でも物販につながる可能性がある「売らない店」を導入した方が収益に幾何かは役立つだろうという判断があったと考えられる。そして「休憩スペース」の設置よりも見栄えがマシである。カッコつけの百貨店にはいかにも似合っている。
コロナ禍による売上高急減と、大手アパレルの不振によるテナント直営店の削減によって、商業施設のフロアスペースが埋まらないという問題が大幅な前倒しで発生してしまったが、「売らない店」(運営のやり方とか空疎な打ち出しには課題も多いが)や小規模業者のラックドゥの無人コーナー出店など、新たな取り組みも生まれたことはメリットがあったといえるだろう。物事にはすべてメリットとデメリットが必ず共存する。
単なる個人的な宣伝だけでは、読者にとっては読む価値もないので、ラックドゥの新たな取り組みも「商業施設のテナントが埋まらないという問題」の一面ではないかという話としてまとめさせていただいた。
ちなみに、ラックドゥでは西友・長岡店タイプ、イズミヤタイプを今後広げていきたいそうなので、興味のあるメーカーやブランド、ショップの連絡をお待ちしているとのことである。
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BOCONON より: 2022/11/01(火) 1:19 PM
大きなお世話な気もするけれど「無人レジや無人コーナーが増えると万引きも増えたりしないのか?」と思うのは杞憂でしょうか?
大学生の頃,ある教授が「アメリカで流行るものは,だいたい10~30年遅れで日本でもはやる」と言っていたのは至言で,僕は「カルト宗教の暴走や連続殺人/快楽殺人のたぐい,原発の大事故も近い将来日本でも起こりそうな気がするな」と思っていたので,いざ起きると僕は「やっぱり…」としか思いませんでした。
今後起こり得る,と言うより日本でも既に起き始めているのは薬物依存や万引きのようだから,どうもいやな気がする。こんな田舎でも,たとえば覚醒剤で捕まる人間はびっくりするくらい多いですからね。ユニクロや GU について言えば僕は「なんでこんなあちこちに出店しまくっているのだろう? 皆採算が採れているのかね?」「なんでこう無闇と店舗移転ばかりするのだっろう?」と思っていました。新宿の “ビックロ” からもあっさり移転したし,僕の住む地方都市でももう3回くらい移転している。「街外れ → いくらか中心地に近い街外れ → 駅近くのショッピング・モール → クルマでないと行けないような街はずれ」…といったふうに。
東京では新宿だの渋谷だの「駅前再開発」と称して NeWoman とか名前からして意味不明な巨大なビルを建てまくっていますが,ショッピングのフロアはどこもあんまり客が入っていない。いづれユニクロでも招致するしかなくなるに違いあるまい。もしかしてユニクロはパチンコ屋みたくほかの店を潰しまくってユニクロ一強にし,最終的には一部を除いて実店舗は廃止,ネット通販主力にするつもりなのではないのかしらん。もしそうなら「百貨店やショッピングビルもユニクロや GU に出店してもらえているうちはまだましだった・・・」という結果になる気がしないでもないですね。
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南ミツヒロ的合理主義者 より: 2022/11/01(火) 1:31 PM
ビル・デパートの行く末を立地で分類すると
1.超優良立地の旗艦店
低層階は今まで通り。中層階はウニクロGU
上層階は賃借マンション2.優良立地系
低層~中層はウニクロGU
上層階は常時祭事化3.近郊都市(勝ち組)
低層~中層はウニクロGU
上層は役所の出張所4.近郊都市(負け組)
潰して分譲マンションてな感じか?ウニクロGUはワークマンか
ニトリなら代替可。無印はムリ。
ホームセンターも入り得るかもしれませんどのセグメントでも、ウニクロGUが入るから
オーバーストア状態と思いきや
全年齢を対象にした商売だし、
服は手に取ってみたいのが人情したがって、これでいいのでしょう
南サンが投稿した形態は市民会館の祭事販売と
同じやり方なので、特に新味はありませんただ低コストで売場を回そうとすると
他に方法がないのも事実祭事は出し物がしょっちゅう変わるのがミソ
にも関わらず、同じ売り物が年中続く
祭事売場がどうなるか?要観察ですな
宝探し系だから来客数はあると思います
問題は売上だよな・・・ -
南ミツヒロ的合理主義者 より: 2022/11/01(火) 5:39 PM
「オシャレな服を買いにオシャレな街にいく」
という行動が死滅して早20年ぐらい。かといって
「住宅地最寄りのモールでふだん着を買う」
というのが盛んだとは思えない。さらに・しかし
「服でも何でもスマホで買うもんね~」
というのも明らかにウソの山盛りです
南サンは業界人だからタンスいっぱい服を
持っていても、未だに服を買うけどふつうの人はそうではないのかも
しれません生きていくのに必要な服だけなら、
誰もがむこう3年は何も買わないで平気な筈です今後「服を買うサイクル」「服を買いに行く場所」
にこれまで以上の大きな変化が起きるかもしれません2022年産の化繊ニットは薄手の肌着類でも
余裕で3年は持ちそうです -
キムゴンウ より: 2022/11/02(水) 10:30 AM
寒くなってきたので スウェットでもと
取り出した パーリーゲイツのそれは
以前プレゼントされたもので
胸には1997とありました
どんだけ長持ちしてるねん
というか どんだけ服を買わへんねん
と 自分につっこんでしまいました
トキオクマガイにバイト代突っ込んでた自分がねぇ -
南ミツヒロ的合理主義者 より: 2022/11/02(水) 10:44 AM
年へ経ると、
・新しい服ほしぃ~カッコよくしたい
・いまふうでオサレな物喰いたい~みたいな基礎的物欲?が激減します
最後まで残るのは
・モテたい~
というあたりなんだろうけど、
今どきの若者はハナからモテたいとすら
思わないそうなので、こうした欲望の電車に
基づく産業は衰退するわな・・・最後に残る欲望というか欲求は
・安定した仕事につきたい~
・老後ちゃんと年金もらいたい~という産業ベースでは解決がつかない欲求
なのでしょう。個人ができる解決策は
貯金だけなので、したがって消費は減ってあたり前
「いろんな店が物だけ並べまくってお支払は集合レジで~」
もしくは
「障がい者雇用と引き換えに役所から金出してもらう」
ぐらいですかねぇ・・・空きスペースの活用法は
50年前、堤さんがやらかした美術館を作るとか自分が読みたい
本を並べた本屋を作るみたいな奇策を思いつく人は
いるわけねーよな・・・
民業ベースの助成金はいずれも期限付きです
その点障がい者雇用がらみは永続的にお金が出るからオイシイ
でも、なんだかんだで、最終的には役所の出張所か
区民センターになると思います
近郊都市のSCがそうなってますから
物販につながる事をするのが商業ビル、
それがダメなら教室事業か飲食
でも人口が減ってるからそれもダメ
となると、涙金でも継続的に借りてくれて
払いがしっかりしている所に貸す以外
方策がないと思います
30年前、無印は西友の売場から脱出してテナントに
移行できましたが、当初はどーしょもなく導線が悪くて
系列に安く貸す以外ない場所で商売してました
いわばアングラが30年を経てメジャーになった訳です
今後、こういう会社は・・・もう出ないと思います