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南充浩 オフィシャルブログ

見た目の差はなくなった

2014年6月13日 未分類 0

 リバーシブルとかウォッシャブルとか、ライナー取り外しとか2ウェイ・3ウェイ・4ウェイなど、そういう「機能性商品」が多い。
展示会で説明を聞いても「おおー、なんだかお得感がある」と一瞬感じてしまう。
実際のところ、そういう「機能性商品」は通常の商品に比べて売れ行きは好調であるし、販売員からも「売りやすい、売れやすい」という声を聴く。

ライトオンが初めてウォッシャブルダウンジャケットを大々的に打ち出したのは3年くらい前だったと記憶しているが、その時はすごく好調だった。
(実際、普通のダウンジャケットでも水洗いが可能なことは内緒である)

なぜ、ダウンジャケットが水洗い可能かというと、元来鳥の羽は水に強い。
ダウンジャケットの外側の素材もナイロンやポリエステルであり、これらも洗濯には強い。
強い物同士が合わさっているのだから、水洗いができるのは当然なのである。

ただし、昨今増えている外側の生地がウールやレザー、などの変わり種ダウンは水洗いはやめた方が良い。

それはさておき。

先日、ある週刊誌からなぜ売れるのかという質問を受けた。

理由はさまざまあるだろう。

不景気なので、機能性が高い商品が琴線に響くということもあるだろう。
バブル期や高度経済成長期のように、デザインや色柄はすごく素敵だけど、素材がデリケートで取り扱いがめんどくさい高額な商品なんていうのを、わざわざ購入する物好きな人が少なくなっている。
金銭的にも精神的にも余裕がない。

世知辛い世の中だから機能性商品が受けるという側面もあるだろう。

筆者は、高額ブランドと低価格ブランドの「見た目の差」が無くなったことも影響していると考えている。

95年ごろまでは、まだバブルの香りも残っていたし、DCブランド系もそれなりに活況を呈していた。
その当時、トレンドデザインの商品を買おうと思ったら、ブランドショップに行くほかはなかった。
まちがってもジャスコやイズミヤの平場に同じような商品は売っていなかった。

これは以前にも書いたことがあるが、筆者は94年に黒のスーツを買おうと思った。
買い物は安いに越したことはないので、青山やはるやまをくまなく探した。
当時、ツープライススーツショップはまだこの世に存在していない。
しかし、青山やはるやまにある黒いスーツは略礼服しかなかった。
別に冠婚葬祭に出席するわけではないので略礼服は欲しくない。
結局、ブランドショップで5万円くらいに値下がりした黒いスーツを買った。

今はモードテイストの黒いスーツはツープライススーツショップで1万9000円で売っている。
探せばもっと安くで売っている店も見つかる。

裾幅18センチの細身チノパンが西友で1900円で販売されているのが現代である。

となると、洋服にさほどのこだわりがある人以外は、1万9000円の黒いスーツや1900円の細身チノパンで十分ということになってしまう。

人は同じ物なら安い方で買うし、似たような物も安い方で買う。

そこそこトレンドで安い商品は世の中にあふれている。
別にユニクロだけが悪いわけでもなく、H&M,ZARA、フォーエバー21、ウィゴー、などなど。
消費者は選び放題である。
仮にユニクロが消滅したところで、状況は何も変わらない。

そういう商品と差別化し、単価のある程度高い物を売ろうとすると、機能性をアピールすることがてっとり早い。
消費者側からすると1枚で2通り・3通り使えるという設定は「お得感」「割安感」がある。

今後も機能性商品というのはなくならないだろう。
それは、各ファッションブランドが色柄・デザインだけでは差別化することができなくなったことの裏返しであろう。

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