
消費者の購買理由が「販売員の良さ」になるのは価格と品質が同等である場合
2022年10月24日 売り場探訪 2
1品番か2品番、毎月、ガンダムシリーズのプラモデル(ガンプラ)の新製品が発売される。
さすがの当方も毎月発売される新製品を全て買うことはない。デザインがあまり好きではない機体や高額すぎる商品、あとデザインは好きだが立体物の出来があまり良くない物などは買わない。
しかしながら、平均すると毎月1つは必ず新製品を購入している。
2020年春頃までは、Amazonで買っていた。なにせ定価より25~40%くらいの安値で販売されている。これを買わない手はない。
しかし、2020年春以降、コロナ自粛による自宅ホビー需要の増加と、転売ヤーの跳梁跋扈による品薄&高額出品によって、当方はAmazonでガンプラを買わなくなった。代わって近所のジョーシンに発売日の開店直前から並ぶようになった。品薄はジョーシンも同様だが、価格は必ず20%オフである。
そうなるとすっかりジョーシンの玩具コーナーの人と顔見知りになり、発売当日に雑談をするくらいにまでなってしまっている。
発売日当日に今回の入荷数だとかそんな裏話も店内で聞けるようになった。
2022年夏ごろからバンダイの増産計画も目に見えて効果が出始めており、品薄はわずかながら緩和されつつある。転売ヤーのガンプラへの熱も少し冷めつつ(儲からないということが理解され始めた?)あるのか、Amazonでの値上がり幅も縮小しつつある。
仮に2~3年後にAmazonでのガンプラ販売価格が2019年末までのように25~40%オフが当たり前に戻ったとするなら、当方は間違いなく店員と顔見知りになったジョーシンからAmazonへと乗り換える。
ただ、ジョーシンで全く買わなくなることはない。総品番数で500品番くらいはあろうかというガンプラだからAmazonに並んでいない商品もあるだろうから、その際は20%オフのジョーシンで買う。2019年以前もそうしてきた。
要するに、当方がガンプラを買う際に重視するのは価格なのである。安ければ安いほど良い。定価以上では絶対に買わない。ガンプラなんてどこで買おうが物は同じである。
ガンプラに限らず、多くの商品やサービスは同じ原理で買われるのではないか。
価格メリット、もしくは商品メリットのどちらかが最優先されることがほとんどではないか。その中でこの記事の内容には違和感がある。
バロックジャパンリミテッドが現場責任者にSNS講習会 店頭でもSNSでも輝く | 繊研新聞 (senken.co.jp)
個の魅力で稼ぐ時代。店頭で輝ける人はSNSでも輝ける――バロックジャパンリミテッドは、この数カ月、全国のエリアマネージャーと店長を対象にSNS講習会を開いている。「SNSが当たり前な今、販売員が新しい流れを作る」ため、SNS活用におけるマインドや考え方などを現場責任者に共有。理解を深め、SNSへの取り組みを全社的に浸透させる狙いだ。
講習会の冒頭で「お客様の価値観の変化を本当の意味で理解してほしい」と講師の一人で営業・販売本部販売統括部トレーニンググループの村岡美里さんは参加者に訴えた。消費者は商品を購買する時、「何を」ではなく「誰から」買うかを重視するようになっていると説く。自分を選んで商品を購入してもらうために、従来の接客の基本である商品知識やホスピタリティー、身なりにSNS活用を加えて欲しいと話した。
とのことである。
たしかにSNSはそれなりに重要で(必須ではないと思っている)、商品やブランド、サービスによってはSNSから大きく拡散される場合もある。
また、実店舗への呼び込みや接客でもSNSやチャットツールを使う場合も増えている。だからそのことに対する講習会自体を否定する気は全くない。
今でも平日昼間に閑散としたファッションビルで販売員が手持無沙汰に洋服のおたたみを無限リピートしている姿をよく見かける。
こういう際にスマホやタブレットからSNSの発信をすれば良いのではないかと思って眺めているので、この手の講習会を開くことは大いに意義がある。
だが、いただけないのは赤文字の部分である。
そういう要素がゼロではない。例えば全国に多数出店しているチェーン店ならそういうことも起きうるだろう。しまむら、マクドナルド、ユニクロあたりならA店を利用せずとも近隣のB店を利用すれば済む。販売員が云々という理由でそういう利用をしたことはないが、狙っていた商品が無いとか異常に混雑しているとか、そういう理由で近隣店舗へ移動したことは多々ある。お気に入りの店員がいる近隣の店を使うという人もいるだろう。
しかし、価格差が異常にある場合や商品やサービスの出来に格差がある場合、いくら販売員が親切だろうが、美女だろうが、当方は高くて出来の悪い店では買わない。
不愛想な販売員がいる安くて出来の良い店で買う。
当方も含めたマス層の人間が店員や販売員を理由に「わざわざ」その店を利用する場合、価格がほぼ同等(多少高い程度)で扱っている商品やサービスがほぼ同等、という場合に限られるだろう。少なくとも当方はそうである。
同じ商品でも値段が大幅に異なる場合、衣料品で言うならリーバイスの同じ品番をA店は1万円で売っているがB店は4900円に値引きして売っている場合なんていうのは、販売員云々を理由として高い方で買う人はよほど変人かその販売員に何かしらの下心を持っている人だけだろう。
また、価格が同等でも、A店とB店の扱っている商品の出来(衣料品の場合だとダウンベストでもデザインやシルエット、機能性がブランドによって異なる場合)に差があれば、販売員云々を理由に掲げてわざわざ出来の悪い方を買う人はほとんどいない。
さらに言うなら「誰から買うかが重要」という思想はかつて、「俺なら石ころでも販売できる」と豪語したゴリ押し営業マンが持て囃された時代と同じだし、トヨタ商事や最近業務停止命令を受けたアムウェイなどのマルチ商法と同じであり、甚だ危険だといえる。
もちろん、個々の販売員のSNSスキルや接客スキルを高める取り組みは重要だし、個々の販売員にもそれくらいのやりがいを提示する必要はあるが、過度に販売員個人の魅力を強調するような思想は、マルチまがいの売り方を蔓延させかねないし、販売員自体にも過度のプレッシャーを与えかねないので、美談かのように採りあげるべきではないと当方は考えている。
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南ミツヒロ的合理主義者 より: 2022/10/24(月) 3:20 PM
ほいでもって、それっぽいことをいって
メディアに取り上げられてウハウハなこの村岡美里サンは・著名ボロガー
・著名ようつば~
・著名インスタグラマーでございます。個人名で検索してみて下さい
こういう人たちって、ホントいま流行っているキーワードを
上手く切り抜くのが上手ですよね「お客様の価値観が変化している」
「何をではなく誰から買うかを重視するようになっている」どーせ安手のビジネス書から抜いた言葉でしょう
あるいはtwitterで流れている流行語wwこのテの「うさん臭いことば」に対する感度は南サンも
トップレベルだと思います。それを自己宣伝の材料にしない
あたり、やっぱりねっからの服好きなんでしょう
さらに言うなら「誰から買うかが重要」という思想はかつて、~
ここの段は真理。
企業が自分都合に変換するとルールや理屈を取っ払ってしまうのは何故なのか