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南充浩 オフィシャルブログ

メンズもジーンズ離れが深刻

2011年2月14日 未分類 0

 先日、2月7日発行「週刊東洋経済」のジーンズカジュアル動向についてたった一言だが、コメントを掲載していただいた。自分の名前の漢字が少し違っていたのはご愛嬌ということで。(笑)

記事は、ジーンズメイトの昨年末の株価急騰事件から始まるのだが、昨今のジーンズカジュアルショップ苦戦の原因を取材している。さまざまな要因があると思うのだが、2Pということで、あれもこれも盛り込むことはできなかったのだろうと思う。

まず、どれくらいジーンズというアイテム(カラージーンズやショートパンツも含む)がここ3年間苦戦しているのかという具体的根拠として、ジーンズ生産統計が挙げられている。誌面のP21に棒グラフがあるので、そちらをご紹介すると、

プレミアムジーンズブームのピークだった05年の生産統計は約7000万本
06年は少し7000万本を割る
07年は6500万本を割る
08年は5500万本まで減る
09年は約5000万本

という推移である。

これは毎年、日本ジーンズ協議会が発表しているジーンズ生産統計による数字である。
繊維流通研究会のHPには98年から09年までの生産統計が掲載されてあるので、こちらも参照いただきたい。
http://www.apparel-mag.com/pdf/papers/p005_jeanstokei_2010.pdf

しかし、この統計には大きな落とし穴がある。
東洋経済にも注釈があるのだが、ユニクロやスーパーなどの生産数量は含まれていない。もっと正確に言えば日本ジーンズ協議会に加盟していない企業、例えばポイントやしまむらなどの生産数量も含まれていない。
もし、ここにユニクロが含まれていれば1000万本前後は増えることになる。
逆に日本ジーンズ協議会の加盟各社の生産数量が激減している証拠にもなる。

それにしても、このジーンズ生産数量の低下の原因はなんだろうか?
文中には「レディースでレギンスがトレンドになり、ジーンズ需要が減った」と書かれてあるが、それだけではないだろう。トレンドに関して言えばメンズでもジーンズ離れが顕著である。

2010年はメンズ、レディースともにカジュアルテイストがトレンドとなった。とくにアウトドアテイストのカジュアルは好調だった。従来であれば、カジュアルがトレンドに浮上するとき、必ずジーンズの需要も増えた。
しかし、今回のカジュアルトレンドではジーンズは浮上せず、チノパンやカーゴパンツが浮上した。この傾向は2011年も続いている。

3階・チノクロップド

(アーバンリサーチのクロップド丈チノカーゴパンツ)

トレンドというと兎角レディースに目が向きがちだが、メンズカジュアルでもジーンズがトレンドではなくなったことはかなりの痛手だ。なぜなら、レディースはパンツ類を穿かなくてもスカートもあればレギンスもある。ワンピースもある。ボトムスの種類が豊富だ。
しかし、メンズはよほどの特殊な嗜好を除いて、ボトムスはパンツしかない。そのパンツも種類が少なく、ジーンズかチノパンかカーゴパンツかワークパンツ、あとウールのトラウザーくらいだろう。
この少ない選択肢の中からジーンズが漏れてしまったという事実はかなり衝撃的ではないだろうか。

オーソドックスなジーンズに魅力を感じる方も多いとは思うが、それ以上に新しいジーンズの打ち出しがないと、見向きもしない消費者層も相当にいるのではないだろうか。ジーンズの企画担当者はビンテージマニアになるのではなく、新しいデザインやスタイリングを開発しなくては、次のジーンズブームは5年先になるだろう。

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