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南充浩 オフィシャルブログ

結論ありき?

2014年6月5日 未分類 0

 インターネット上でこんな記事を見つけた。

女子大生の「聖地」はイオン、「イオン女子」はファッションリーダー 日経の報道に「バカにしてるのか?」「女子大生を見たことない」と反発の声
http://www.j-cast.com/2014/06/04206738.html

「日経MJ」の2014年6月2日付けの記事によれば女子大生の居場所が変わっていて、人気のファッションビル渋谷109やラフォーレ原宿ではなく、都内近郊では埼玉県越谷市のイオンモール「レイクタウン」や「イオンモール北戸田」、和歌山市では「イオンモール和歌山」、山形県では「イオンモール天童」などで買い物をするようになった。東北の女子大生は仙台駅前の「パルコ」へ通う回数が減ったのだそうだ。「イオンモール和歌山」は14年3月にオープンし、一か月の来店者は10~20代が30代を上回ったという。

どうして女子大生の「聖地」になったのかといえば、イオンモールはテナント数が多く、都心のファッションビルに入店している人気ショップも入っている。

とのことだが、これに対して

こうした記事に対しネットでは反発が起こっている。イオンモールには行くけれども女子大生らしい客は見たことがないし、どちらかというと「マイルドヤンキー」層がほとんど、というものや、

「この記事ってイオンのステマなんじゃないのか?」
「しかしイオン女子って…プラズマでも放出しそうだな」
「買い物をした女子大生の写真が新聞に載ったけど、イオン女子と呼ばれてかわいそう」

などといった意見が出ている。

という。

これはちょっと日経MJ側が乱暴なまとめ方をしたと感じる。

たしかに大都市の都心にあるパルコも109も全盛期と比べると苦戦が続いている。
関西でいうならOPAだって苦戦気味だと耳にしている。

で、ここで例示されているのがイオンモールはいずれも最近新設されたところばかりである。
とくに和歌山と天童は今年3月にオープンしたばかりだ。

商業施設が新規オープンすると通常、多数の来場者がある。
現在不振店と言われている商業施設だってオープン当時は入場制限が出るほど来場者が訪れた。
その中に女子大生が一定数含まれていても当然である。

山形県の天童は訪れたことがないのでわからないが、和歌山は今までそれほど有力な商業施設や路面店が存在しなかった地域である。
和歌山の人は南海電車かJRで大阪に出ることが多かった。
トレンドファッションはこれまで大阪都心で購入していたと見るべきである。

金太郎飴よろしく、判で押したようなラインナップをそろえるイオンモールだが、廉価版トレンドファッションがそろっているのは事実である。

そういう施設ができたのなら、女子大生ならずとも当然一度は訪れてみるだろう。
それを今後も女子大生が愛用し続けるかどうかは別問題である。

イオンモールやイオンという企業への好き嫌いは置いておいて、通常、日用品を購入する場所として利用する人は多い女子大生だって日用品は何度か購入するだろう。
またそこに入店しているユニクロやハニーズなんかで1000円に値下がりしたカットソーを購入したことがある女子大生もそれなりに存在するだろう。

しかし、その女子大生がトレンドをイオンモールに求めているかというとそれは違うのではないだろうか。
筆者の住居の近隣にあるイオンモールの来場者を眺めていると20代後半から40代前半の子供連れ夫婦が圧倒的に多いと感じる。

低価格でそれなりのトレンドに即したブランドが多いから、子育て世代の夫婦にはちょうど良い。
その夫婦にしたってイオンモールに「トレンド最先端」を求めているかというとそんなことはないだろうと思う。

やはり、そういうものは東京都心や大阪、神戸、京都、名古屋、博多などの大都市都心の商業施設なり路面店で買いたいと考えているのではないか。

だからこの記事がいうところの、「109やパルコの売上高が低下している」ということと、「今春オープンしたばかりのイオンモール天童やイオンモール和歌山に女子大生も多数来場していた」ということと、「イオンモールにそれなりにトレンドっぽいブランドが多数入店していると」いうことは、それぞれ3つとも事実である。
でも、その3つの事実が「イオンモールが女子大生のトレンドをけん引している」という結論には至らない。

ちなみに、イオンモールに入店しているブランドがそれなりにトレンド対応しているのであって、イオンのプライベートブランド「トップバリュ」の衣料品がトレンド層に支持されているということではない。念のため。

それから、これはFB友達に教えていただいたのだが、イオンモール和歌山と和歌山大学は非常に近い距離に位置するという。それなら、和歌山大学に在籍する女子大生が日用品・食品を購入するためにイオンモール和歌山に来店することは多いだろうと推測される。他のイオンモールに比べて女子大生の来店比率が高くても不思議ではないし、イオンモール和歌山でアルバイトをする和歌山大学在籍の女子学生もそれなりの人数が存在するのではないか。

もろもろの事象を勘案すると、この記事は結論ありきで先走った感がある。

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