
ミッシュマッシュ売却で衣料品ブランドが無くなり雑貨ブランドだけになる玉屋
2022年9月30日 企業研究 3
あまり業界的に注目度が無さそうだが、個人的にはこのニュースが気になった。
ダブルエーが婦人服「ミッシュマッシュ」を取得 卑弥呼に続き再生へ (fashionsnap.com)
「オリエンタルトラフィック(ORiental TRaffic)」を運営するダブルエーが、婦人向けファッションブランド「ミッシュマッシュ(MISCH MASCH)」を取得すると発表した。同ブランドを展開してきた玉屋が12月1日付で新設分割する分割承継会社「株式会社ミッシュマッシュ」を消滅会社とする吸収合併を行う。効力発生日は2023年3月1日。合併交付金は1億円としているが、分割承継会社の最終損益によって変動する可能性がある。
ミッシュマッシュは「女性の柔らかさを感じさせるフェミニンスタイル」をブランドイメージに掲げ、全国の駅ビルや地下街を中心に20店舗、ECサイト5店舗を運営。ダブルエーとほぼ同じ21年の歴史があり、20代女性を主要顧客層に持つ。玉屋から新設分割する株式会社ミッシュマッシュの業績は売上高17億5300万円、経常損益3億6500万円の赤字の規模となる想定。
とある。
玉屋というのは大阪発祥の老舗のアパレルチェーン店だが、メディア的には今まであまり注目度が高くなかった。定期的な報道は恐らくは繊研新聞くらいでしか見たことがない。
いわゆる、流行りのイキったウェブ業界メディアではほとんど取り上げられたことがない。
会社沿革によると創業は昭和12年となっており、終戦前からなのでかなりの老舗だといえる。
で、じゃあ残された玉屋は何を売るつもりなのだろうと思って公式サイトを見てみた。
かくいう当方とて地元関西企業とはいうものの、玉屋とは全く接触が無く、注目もしていなかったので、今回初めて知ったのだが、このミッシュマッシュを売却してしまうと衣料品ブランドは残っていないということを。
残りは雑貨アクセサリーブランドのみになってしまう。
これには大いに驚かされた。当方の記憶ではミッシュマッシュ以外にもいくつかレディース衣料品ブランドがあったので、ミッシュマッシュ亡きあともその衣料品ブランド販売がメイン業務になるのだと思っていたら、雑貨販売に特化するつもりのようである。
当方が一応名前だけ知っていたLODISPOTTO、UNRELISH、MEW’Sの3ブランドはいずれも休止となっていて実質的には廃止されていた。まったくいつの間に廃止されていたのだろうか。
実は、ちょっと記憶が曖昧なのだが、2018年か2019年くらいからこの玉屋のミッシュマッシュを含む4ブランドが手伝っていた在庫処分店に定期的に大量に入荷するようになった。
ミッシュマッシュを除く3ブランドはこの頃に廃止されたか、廃止のための在庫整理が行われていたと考えるべきだろう。
またミッシュマッシュは継続していたものの、この当時に相当に不良在庫がたまっていたのだろうと考えられる。
在庫処分店が直接取引したというよりは、別の在庫処分業者から流れて仕入れたという感じだったのではないかと推測している。
いずれにせよ、この辺りの時点から急ピッチで不良在庫の整理が行われ始めたと考えられる。
で、3ブランドは廃止になり、残ったミッシュマッシュは売却されたというわけである。
ちなみにこの4ブランドは在庫処分店では2枚1500円というセット売りや1枚690~890円で売られていた。
さて記事では
ダブルエーは「婦人」「靴」をキーワードに成長し、2020年5月に買収した婦人靴の卑弥呼では初年度で黒字化を達成した実績がある。ミッシュマッシュでは「マーチャンダイズの再構成を図ることで事業拡大が可能になる」と判断し、事業譲受を決めたという。
とあり、まあ多分採算ベースには乗るのではないかと考えられ、あのマサ佐藤氏も「黒字化できるのではないか」とツイートしていたので、成算はあるだろう。
一方、残された玉屋だが、会社概要によると2001年の売上高は52億円となっており、今回のミッシュマッシュ売却で35億円に縮小することになる。(52億円という数字が本当であると仮定して)
残りは雑貨アクセサリーブランドばかりなのと、店舗数が意外と多いことから商品単価は低いと考えられる。
近年、洋服は本当に売れにくく、特に低価格ゾーンでいうと、ユニクロ、しまむら、ジーユーの3強の壁が強固なことに加え、業績好調なワークマン、ハニーズ、などの各大手も犇めきあっており、玉屋の洋服ブランドに限らず中途半端なブランドでは浮上することが難しくなっている。これはメンズの方がもっと顕著である。
玉屋の経営陣は、恐らくはそういう状況を考慮して、衣料品ブランドを全てやめてしまうという結論に達し、スリーコインズの好調に見られるように雑貨ならまだ方策はあるという考えに至ったのではないだろうか。
まあ、合理的といえば合理的だが、ただ、雑貨アクセサリー業界の中で成功できるかどうかというのはまた別問題だろう。衣料品に比べて購入頻度は高いだろうから、その辺りをどう利用するかである。
ただ、これまでメイン業態だった衣料品のスタッフ(店頭と本社含めて)のことを考えるとなかなかに気の毒な結末だと言わざるを得ない。配置転換されても商品と業務に慣れるまでに一定期間は必要だろうし、場合によっては人員が過剰になり解雇ということもあっただろう。
毎日続々と訳の分からない新ブランドデビューが業界メディアで報じられているが、そのうち生き残れるブランドは極めて少ないといえる。
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comment
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南ミツヒロ的合理主義者 より: 2022/10/05(水) 10:24 AM
今どきの若者って親に「服かってあげようか?」
といわれても、嬉しく感じない若者が9割だと思いますその理由は
1.服なんて安いから、自分で買ってもたかが知れてる
(それより新しいスマホ買ってくれorアマギフくれ
データプランのギガ追加の金くれ)2.そもそも服なんて別にほしくない
そして、仕事着だデート用だといっても、ウニクロで・GUで
ちょっと頑張る時用でもハニーズで1万使えば上から下から
カバンまで全部そろうご時世ですから・・・モノよりコト消費もとい情報を得るための端末と通話料に
カネを取られる時代ですね・・・ -
南ミツヒロ的合理主義者 より: 2022/10/14(金) 9:16 AM
21世紀初頭~2005年頃までわりかし知名度があった
LODISPOTTOやMISCHMASCHを
やってたのが玉屋さんとは知らなんだ・・・玉屋さんからすれば本業回帰なので
回帰できる本業があって良かったなぁ聞き及ぶ範囲では、小物・アクセサリー・コスメは
利益が取れる分野だけれども、アパレルとは
段違いの仕込み、販売計画が必要とか母体がアパレルだとやはり無理でしょうし
成功例を聞いた事がありませんにしても、若者アパレルはイメージが華やかな割には
ホント利益に貢献してないんですねCanCam常連だったMISCHMASCHが抜けても
50億の売上が30億に縮む程度ですから裏かえすと、ネームは知られてないけど
30億しっかり稼いでる玉屋さんのアクセサリー・小物
部門はなかなか凄いと思います
娘と買い物に行き「仕事着買ってあげる」
といっても、もっぱらユニクロですからね。
それでいいんですって。
今回の話題の服って、心斎橋の会社ですよね
OL向けという感じでしたが
そういう服を着用しなくなっているんでしょうね
まぁ本人ポチャリ気味なんで
そういう服が入らないのが主原因でしょうが
しかし シティヒルといい
ちょっと良い感じの会社がダメになっていきますね
Mプルミエとかどうなるのかなぁ