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南充浩 オフィシャルブログ

ファストファッションブームの果実を手にしたのはジーユーだったという話

2022年9月29日 トレンド 2

米国発の金融危機であるリーマンショックの発生による不況到来と、大挙して上陸した外資低価格ブランドによって2009年にファストファッションブームが起きたのは周知のとおりである。

メディアと業界人はH&M、ZARA、フォーエバー21などの外資ブランドに生来の舶来コンプレックスも手伝って過剰に持ち上げていたが、2015年ごろから各ブランドともに勢いが無くなり、オールドネイビーは売れ行き不振が原因で早々に撤退、トップショップは国内運営会社の不手際で撤退、そしてフォーエバー21は本国の経営破綻によって撤退、ベルシュカも売れ行き不振から撤退して行った。

残ったのはH&MとZARA、そして90年代後半からいる古株のGAPだけとなってしまった。

残った3ブランドも決して好調とはいえず、コロナ禍の前から売上高は低下しており、2022年現在も急速な回復は見られていない。

まあ、言ってみれば、日本人のマス消費者からすれば買い物先のワンノブゼムという存在だし、今残っているコアなファン層がこれ以上日本では拡大することはないだろう。好きな人はもうすでに愛用しているし、外資ブランド独特のバタ臭さが苦手な人は今後もずっと苦手なままということである。

 

そんなファストファッションブームの果実を最終的に受け取ったのは国内低価格ブランドだったということができるのではないかと思う。

規模感でいえば、しまむら。成長率でいうとジーユー、という2ブランドではないかと思う。

しまむらについて見てみると、2009年のこの頃から読者モデルなどが、低価格志向も相まってかしまむらに注目し始め「しまらー」と呼ばれて急速に「ファッションとしてのしまむら」が注目された。ただ、個人的な感想でいうなら「しまらーブーム」は長くは続かなかったと感じている。

個人的には、しまむらはあまり使いやすいとは思わない。売り場を見ても雑然とした街の在庫処分店とさほど変わりはない。極端に言えば、いまだに「おばちゃんが寝間着を買いに来る店」に見えている。

一方で、近年はアニメキャラやゲームとのコラボ服が好評なので、そういう需要を新たに取り込んだといえるのではないかと思う。

 

ジーユーだが、今の若い人たちは想像もできないかもしれないが、2009年までの売上高は数百億円規模でそれほど大きくなく鳴かず飛ばずの状態だった。

はっきりというとユニクロの劣化版としてスタートした。ユニクロとほぼ同じ商品を500~1500円安く売るというコンセプトだったが、デザインは同じでも定価が低い分品質も低かった。

当初のジーユーが何故売れなかったのかというと、ユニクロの廉価劣化版というコンセプト自体が失敗だったからだといえる。

日本におけるオールドネイビーも同様のGAPの廉価劣化版という理由で失敗している。

机上だけで考えたらそれなりに需要はあるという結論に至るが、実際はそうではない。ユニクロは頻繁に週末値下げを行う。また見切り時が速い場合も多く、入荷後早ければ3週間くらいで定価値下げがあることもある。

仮に定価では買いにくいと感じる商品があってもその時に買えばいいのである。週末値下げや定価値下げではだいたい500~1000円くらい値下げされる。

この時の価格は当時のジーユーの定価とほぼ同じである。

ジーユーの定価とほぼ同じで、品質が上の同デザインの商品が買えるなら、誰でもユニクロの値下げ品を買う。わざわざジーユーの定価品を買う人間は相当に頭の弱い人だけだろう。

だから鳴かず飛ばずで売れなかった。

 

そのジーユーが転機を迎えたのがこの2009年である。

外資ファストファッションと低価格志向に対抗するため「990円ジーンズ」を打ち出したのである。テイストは従来のジーユーのままだが、目玉商品として破格の990円ジーンズを設定した。これがメディアで大きく取り上げられ、にわかにジーユーへの注目が集まった。

そして2010年にジーユーは「脱・劣化ユニクロ」を行い、今の「トレンドカジュアル路線」へと大きくシフトする。

この「トレンドカジュアル路線」へのシフトからジーユーの急成長が始まった。あっと言う間に売上高が1000億に到達し、そこから2000億円に到達した。

2022年現在はやや踊り場気味だが、2000数百億円もの売上高ともなればそう易々と増えることはない。ある程度の国内客は獲得しきったのではないかと思う。

今の20代・10代後半の客からすれば「劣化版ユニクロ」時代に鳴かず飛ばずだったジーユーなど想像できないだろうと思うが、歴史の歩みはそうである。

 

ジーユーの柚木社長のインタビューを読むと「2009年の990円ジーンズは最後の賭けだった」とか「2010年の路線変更はかなりの博打だった」とか語られているが、運も実力のうちなので、その賭けが2009年のリーマンショック&ファストファッションブームに上手く合致したといえる。

一度軌道に乗れば、あとはファーストリテイリングという巨大資本で何でもできてしまう。

 

13年前を振り返ると、外資ファストファッションブームの最大の果実を受け取ったのは、ZARAでもH&Mでもなく、しまむらでもなく、個人的にはジーユーだったのではないかと強く感じているという回顧録である。

 

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 comment
  • とおりすがりの元・服売り より: 2022/09/30(金) 10:08 AM

    旧ロゴだったころのGUはもう見る影もないですね。
    あの頃は本当に安かろう悪かろうな質、デザインで「こりゃ売れんのか?」って思ってました。
    ※そのころ行った店舗は立地が悪かったこともあって、早々に撤退してしまいました。

    UNIQLOとデザインや方向性がカニバってない今の戦略は大正解だと思います。
    御徒町のUNIQLOとGUたまに行きますが、UNIQLOに行きつつGUにもちゃんと行きたくなりますからね。
    例えば、GapとOld Navyが両方並んでたとして、両方のお店に入ってそれぞれで買いたくなるか?っていうと、普通の人はNoだと思います。
    Gapはなんでそんな簡単なことが分からなかったのか…。

    余談ですが、アフィリエイトリンクが「安達としまむら」だったことにオタクの自分はクスッとしました。
    島村ちゃんの表記が「しまむら」なのは洋服屋のしまむら由来なので、ちゃんと記事の内容に関連があるのも笑えるポイントです。

  • 南ミツヒロ的合理主義者 より: 2022/11/10(木) 5:27 PM

    >ファストファッションブームの最大の果実を受け取ったのは、
    >ZARAでもH&Mでもなく、しまむらでもなく、ジーユー

    私見を加えるならば、ファストファッションという世界共通標語
    から一歩抜け出たのがGUだと思います

    本場物のファストファッションはワンシーズン使い捨てが基本
    いうなればドンキで売ってる仮装用の衣装みたいなもんです

    しまむらもそれに近い

    その点、GUは最初、上記のレベルつまり普通の日本人が想像する
    洋服とはまったく違う中身でスタートしたのに
    今では中身が日本人が想定する服に近いものになっている

    今のGUはワールドワイド用語でいう”ファストファッション”の
    水準の服ではありません

    ようするに日本の市場にちゃんと擦り合わせた企画生産宣伝が
    出来るようになった、という事なのでしょう

    シンプルにまとめましたが、これが一番むつかしく
    アパレル関係者でこれが出来る人はほとんどいないと思います

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