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南充浩 オフィシャルブログ

ボーダレス化する百貨店とファッションビルとショッピングセンター

2022年9月13日 売り場探訪 0

業界人やメディアがこだわっているほどには、一般消費者は百貨店とファッションビルとショッピングセンターを区別してない(できない)のが現実ではないだろうか。

ワークマン、百貨店に初出店 東急吉祥寺店に: 日本経済新聞 (nikkei.com)

作業服店大手のワークマンは10月、東急百貨店吉祥寺店(東京都武蔵野市)に出店する。同社が百貨店に店舗を出すのは初めてで、婦人向け衣料品店「#ワークマン女子」を5階フロアに構える。幅広い顧客層が来店する百貨店で営業することで、ブランドの認知度向上などにつなげる。

「#ワークマン女子」は首都圏を中心に約20店を展開し、主に商業施設内で営業している。東京・銀座の商業施設に出した店舗の売り上げは想定を上回っており、百貨店など出店コストが比較的高い施設内への多店舗化が可能と判断した。今後は都市部の商業施設に約30店舗を出店するほか、将来的には郊外での展開も視野に入れる。

 

とある。短い記事である。

これ以上の情報は何も書かれていない。

これは業界人やメディアからすると相当に衝撃が大きい。吉祥寺店という大都市旗艦店ではないにしろ、百貨店に低価格で名高いワークマンがついに出店するわけである。

しかし、ツイッターで見かけたが

「郊外型百貨店にワークマンが出店することの何が衝撃なのか。自分達からすると百貨店もファッションビルもショッピングセンターも変わらない」

とのことで、これは実際にはそうだろうなと感じられた。

実際の商業施設はすでにボーダレス化が進んでおり、「百貨店とは」「ファッションビルとは」にこだわっているのは業界人とメディアだけではないだろうか。

 

東急百貨店吉祥寺店のフロアガイドを見てみると、ワークマンが出店するのは5階で、以前は紳士服・紳士洋品・鞄・旅行用品だった。ここがまるまるワークマンになると考えられる。

百貨店にワークマンなんて嘆かわしい、という古い業界人もおられるのではないかと想像しているが、もうすでに2017年には7階にニトリがオープンしているので、ワークマンが入店したところで多くの人にとっては何の驚きもないだろう。

「ニトリがあるからワークマンも出店したんだな」程度にしか感じないだろう。

2017年にニトリが出店した時点で東急吉祥寺店は低価格テナントが入店する商業施設となっており、イオンモールと何ら変わらない存在になったといえる。

今後はジーユーの出店もあり得るのではないだろうか。

 

 

先日、久しぶりに近鉄百貨店あべのハルカス本店を見に行った。

あべのハルカス近鉄本店/ファッションフロア雑貨・フード・体験まぜて刷新

近鉄百貨店は9月3日、あべのハルカス近鉄本店ファッションフロアに新売り場「いろどりMarche(マルシェ)」、「Phare another closet(ファーレ アナザークローゼット)」をオープンする。

今回、改革第2弾として、アパレルだけでなく雑貨やフードを含めた「スクランブルMD」の売り場とし、アイテムやブランドの枠を超えたライフスタイルの価値を提案するもの。

「いろどりマルシェ」は、マツオインターナショナルと共同で企画し、ナチュラルな暮らしをテーマにウイング館5階の中央部に位置している。

 

とある。そして、これに先立って今年3月には自主編集ライフスタイル売り場をオープンさせており、

あべのハルカス近鉄本店/ファッション大改革第一弾でライフスタイル提案型売場

あべのハルカス近鉄本店は3月16日、あべのハルカス開業以来初となるファッションフロア大規模改装を実施し、第一弾として、タワー館4階に新規ブランド約30ブランドを含む約50のブランドからなる自主編集売場「Salon de GATE(サロンドゲート)」をオープンする。

とのことである。

 

これを両方まとめて見たわけである。

ウイング館5階の売り場の方は省略する。こちらは元来がファッションビル施設なので、どんな売り場を作ろうが自由度がもともと高い。今はキャンドゥ、エディオンなどもすでに入店している。

百貨店部分であるタワー館の2つの売り場を見たが、「ものすごく新しい」とか「新鮮だ」とは全く思わなかった。百貨店売り場にセレクトショップかブティックが入店したというイメージである。

雑貨コーナーやワークショップコーナー、各地の名産品コーナーがあるので、従来型の百貨店自主編集売り場とは違う印象があるが、ものすごく斬新で見たこともないわけではない。他のファッションビルでなら見たことがあるという感じである。例えば、大阪市内でいうと心斎橋パルコやルクアにはある。

 

今更、百貨店向けブランドで再構成すべきだと言ったところで、大手総合アパレル各社の経営悪化によって百貨店向けブランドは数自体が減っている。それを導入したところで他百貨店と同質化するだけだし、新鮮味もない。

とすると、セレクトショップを導入するという手しかなかったのだろう。あとは東急吉祥寺のようにニトリ、ワークマンという低価格店を導入するか、である。

 

何が言いたいのかというと、東急吉祥寺に限らず、近鉄あべの店もすでに、一般人の目から見ればセレクトショップが入店したファッションビルと何ら変わらないということである。

ファッションビルと唯一違う点は、百貨店は地下に食材売り場があるが、それとても例えば天王寺でいうと近隣には、あべのキューズモールがあり、地下にはイトーヨード―のほか、そこそこオシャレな店もあり成城石井も入店している。ショッピングセンターもある意味でファッション化しており、食品・食材も百貨店とあまり変わらないような商品も一部で扱っているため、ますます一般人からは区別ができにくくなっている。

 

根強い固定客のいる旗艦百貨店を除いては、今後、百貨店支店が生き残るためにはさらにボーダレス化するほかないと見ている。業界人とメディアのくだらない「括り」は捨ててしまった方が有効ではないかと思っている。

 

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