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南充浩 オフィシャルブログ

同質化だからこそ関係性の強化を

2014年5月22日 未分類 0

 先日、某メーカーの方と雑談をした。
「商業施設のテナントをあちこち見ましたが、どこも同質化していますね~」との感想を述べておられた。
ちなみに、彼の会社が企画製造した商品もそれらのテナントのいくつかには陳列されているのだから、ちょっと笑えない部分もある。(笑)

それはさておき。

各ショップが同質化することは避けられない。
なぜなら商品企画の大元となるトレンド情報、売れ筋情報は同じだからだ。
その同じトレンド情報、売れ筋情報をもとにして商品を企画製造するわけだから同質化は避けられない。

もっと明け透けに言うと、他社の売れ筋商品をそのままパクったり、特定のOEM/ODM企業や商社が何ブランドもの商品企画を担当したりするのが日常茶飯事だから、同質化しない方がおかしい。

そんな同質化を起こした各ブランドで、消費者が選択する基準はなんだろうかと考えてみた。

①、価格
②、ショップ名・ブランド名
③、オーナー、店長、スタッフへの愛着
④、試着し比べた上でのフィット感・機能性

のどれか、もしくは複合した要因ではないかと思う。

①は言わずもがなであろう。
人は同じ物なら安い方の店で買う。
定価9800円のAブランドのジーンズが、Bという店が5900円に値下げしたなら、その情報を知っている人はB店で購入する。

また、似たような商品なら安い方で買うという場合もある。
ユニクロの3990円ジーンズが支持された理由もそこにある。

②はそのブランドやショップのファンということになる。
とりあえず〇〇ブランドの××という商品が欲しいという状態だ。

④はあちこち、いろいろ試着し比べた結果、一番体に馴染んだ商品を買うという場合である。
もしくは試着してみた際に機能性を確認して買う。

10年くらい前から商品の同質化が激しくなっているが、意外に店長や販売員の力は大きいのではないかと思うようになってきた。

同じような商品なのに、特定の店で買うという消費者がいるということは、その店の販売員、店長、オーナーを贔屓にしているからということだろう。これが③である。

マーケティングコンサルタントの藤村正宏さん、彼のセミナーを受けた短パン社長、丸安毛糸の岡崎社長らは、「顧客との関係性を強めましょう」ということを主張する。
各店舗ががっちりと「お得意様」を作っていれば、同質化した商品でもその店を選んでもらえるということである。

同質化が叫ばれるようになって、アパレルやSPAは他社との「差別化」をはかるために、価格戦略を強める方針を採ってきた。
どれだけユニクロに価格を近づけるかを競っていた時期がある。
ようやく各社が「無駄な努力だ」と感じ始めたのは、つい数年くらい前のことである。
それまでは血道をあげて100円、10円の価格を削っていた。

そういえば思い出したことがある。

98年か99年ごろだったと思う。
ユニクロが1900円フリースで大ブームだったころである。
最近あまり話題を耳にしなくなったがフランドルという会社がある。
そのフランドルの「イネドオム」で2900円の裏フリース、表ナイロンのリバーシブルジャケットが販売されていた。
店頭で見た印象だと、枚数限定生産の目玉商品という感じだった。

ユニクロが1900円フリースで売れているから、うちも極限までその価格に近付けようということだったのだろう。
百貨店ブランドであるにもかかわらず。

こういう不毛な競争をつい数年前まで各社が行っていた。

次に差別化を図ろうとするなら、商品を独創的なデザインにする。

これも失敗する場合が多い。独創的なデザインの洋服というのは変なクセがあるので、マスに受け入れられにくい。
ファッション大好きという人がどこかに一点取り入れるのが関の山である。
ジャケットのみか、ジャケットの下のカットソーのみか、パンツのみか、という具合である。

しかし、往々にして独創的デザインブランドは、全アイテムを独創的デザインにしてしまう。
そうなるとトータルで購入してもらうことは不可能である。
どれか1点を着こなしのアクセントとして購入されるパターンがほとんどとなり、そういうブランドはなかなか小規模・零細から飛躍することができない。

そういうことよりも、販売員や店長のスキルをアップさせる方が効率的ではないかと思う。

残念なことに販売員の待遇があまり良くない場合が多い。
販売員の志望者も減少傾向にある。
また、販売員のスキルアップは文書化・マニュアル化しにくいように感じる。
「お辞儀の角度は〇度」とか「お客様の後方、〇度の位置に立ちましょう」とか「口角を上げた表情で接客しましょう」とかそういうことに終始してしまうことがある。

重要なことだがそれは接客の本質ではないとも感じる。

なんだかまとまらないが、商品の同質化が避けられない状況での活路の一つは、販売員の力だと感じられてならない。

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