
当たり前のことが低評価レビューになってしまうことの弊害
2022年8月1日 ネット通販 1
超高価格帯のラグジュアリーブランドを除いて、その一歩手前にある百貨店向けブランドやファッションビルブランドがイマイチ振るわなくなった理由の一つとして、これらの中級上位から高価格帯下位にあるブランドの商品がベーシック化して同質化してしまったことも挙げられると考えている。
2000年前半くらいまでのファッションビルブランド、百貨店向けブランド、DCブランドの商品と、ジャスコやイズミヤに売られていた量販店向け低価格衣料品は明らかに異なっていた。
この話は何度も書いたので繰り返しになってしまう。
今の40歳未満の方々には全く想像できないだろうが、「ブランド物」の代替品は、同じジャンルのブランドしかなかった。今のようにユニクロ、ZARA、アダストリアあたりの低価格ブランドで探すということは不可能だった。なぜなら、低価格ブランドの商品はデザインソースこそ同じだが、使用している素材も色合いも素材の質感もシルエットやディテールも全くブランド品とは異なっていた。
例えば、現在、MA-1ブルゾンを探すと、アルファンダストリーやアヴィレックスなどの2万~3万円する商品もあれば、ユニクロやジーユーなどの2990円~4990円まで幅広くある。
つぶさに横に並べて比べれば、なるほど多少の違いは見えるが、単に着用して歩いている姿だけを見比べるとユニクロやジーユーのMA-1 ブルゾンが酷く不格好ではない。それなりにスタイリッシュに見えている。
こうなると、2990~4990円でも構わないという人が増えるのは当然だろう。
これが2000年前半までだとアルファインダストリーのMA-1とイズミヤの平場に並んでいるどこぞのメーカーの2900円のMA-1 ブルゾンでは全く異なっていた。値段相応に安っぽくいろいろな部分がおかしかった。だからあの当時は当方のようなケチ男でさえ、最低でもアルファインダストリーのMA-1ブルゾンを買っていた。
ジーンズやTシャツ、セーターなど他のアイテムも同様である。
そのため、現在では百貨店向けブランドやファッションビルブランドの代替品を低価格ブランドで探すことは2000年代前半までよりも容易になっていると当方は感じる。
百貨店向けブランドなどがベーシック同質化した理由は様々ある。
1、OEM・ODMへの丸投げの増加
2、売れ残りを極度に恐れすぎて無難な商品企画をまとめる
などが挙げられる。
もちろん、当方もそのように考えているが、もう一つとして
クレームを恐れすぎて無難な素材採用に終始している
という理由もあるのではないかと思う。
というのも2000年前半までの時代、実際に当方も「ブランド品」を買っていたが、中には物凄く変わった素材、珍しい素材を使用した物があった。
だから、値段が高いんだろうなと納得していたが、変わった風合いの素材や珍しい表面感の素材は高額ではあるが、必ずしも利便性に優れているわけではない。逆だ。むしろ、利便性には劣っている場合が多い。機能的ではない。
洗濯が難しかったり、汚れやすい・変色しやすかったりする。また、重ね着するのが難しいから、暑さ・寒さにも対応しづらい、とか、シワになりやすいとか、繊維クズが付着しやすいとか、壊れやすい・破れやすいとか、そういう性質がある。
洋服や素材に興味の無い人からすると、そんな不便な物がどうして高価なのか不思議だろうと思うが、それが洋服や素材が機械や家電とは異なる点で、価格の高さと便利さ・機能性はほとんど比例しない。
さて、衣料品のネット通販のレビューを見ていると、参考になる意見と全く参考にならない意見と半々に二分されていると感じる。
「思ったよりも生地が薄かった」とか「生地が意外に分厚い」とか、そんな参考になるレビューもあれば、「配送されたときの段ボールの角が少しへこんでいた」とかそんなどうでもいいレビューもある。
中にはびっくりするようなレビューもあって、6月に麻混のシャツかジャケットかの商品を通販画面で見ていたのだが、買おうかどうしようかと迷いながらレビューを覗いてみた。すると
「着るとすぐにシワができる」
と書かれて低評価が付けられていたので驚いた。素材組成には麻〇〇%と表記されている。麻混素材がシワになりやすいのは醤油が辛いのと同じくらいに当たり前である。それくらいのことは当方は衣料品業界に入る前から知っていた。
消費者を守る法が強すぎて、ちょっと攻めた企画がしづらい世の中になってきた気がしなくもない。いつぞや見かけた某大手の太番手ウールローゲージニットの商品ページに書き込まれたクチコミは「毛玉ができる粗悪品」などあり、これはもう、どうしたらいいのだろうと勝手に悩んで繊維製品試験機関のOBに電話相談したくらいだ。
麻はシワになりやすい、ウールは必ず毛玉ができる。こんなことは当たり前の知識だったはずだ。毛玉ができるのがいやならアンチピリング加工を施したウール素材を探すしかない。
もちろん、人それぞれ育ってきた家庭環境は異なるが、当方の育った家庭環境ではそんなことは当たり前だとして教えられた。
もしかすると、昔からこの手の人たちはいたのかもしれないが、インターネットが存在していなかったから可視化されなかっただけなのかもしれない。
しかし、この手の当たり前に対するクレームによって、珍しい素材を使うということがやりにくくなっている側面は大いにあるのではないかと、最近は感じている。
ではどうすれば良いのか。
実行は難しいが、販売担当者やネット通販担当者に素材の知識をつけさせるほかないだろう。特殊な素材に関しては答えられなくても、麻やウールの基本的なことを説明できれば、麻はシワができる、ウールに毛玉ができた、などという珍妙なクレームはだいぶと軽減されるのではないかと思う。
加えて、川上業者というよりは消費者と接点を持ちやすいブランドやショップ、インフルエンサーが啓蒙活動を広く長く行うほかない。そうしないと、山本晴邦氏がいう「攻めた企画をする」どころか、当たり前の商品さえ不良品だと認定されて返品されるということが増加の一途をたどることになってしまう。
素材のことになるとブランドやショップ、インフルエンサーは無関係だと思いがちだが、クレーム返品率が高まることは自分たちの営業利益を削ることにつながるから、実は他人事ではないということを認識してもらいたいと思う。
仕事のご依頼はこちらからお願いします~↓
メンドクサイから、糸の原料はポリ・ナイロン・ウレタンのみを
90%以上にして綿なりシルクは最大でも5%以下とするのを
庶民用制服的アパレルの業界基準としたらどうでしょう?
あ、これって機能下着の構成そのものだった…
パターン・服地・縫製の3者は不可分な関係だから
いっその事、化繊オンリーにして服地の物性を固定すれば
パターン・縫製もすべて簡略化されますよ
周りを見ても、夏だからリネンのシャツを着ているのは
60代以上だけです
私?もちろんミナミさんと同じく機能下着に綿ニットを
重ねておしまい
15年前に買ったボレリの麻シャツはどこへいったのやら・・・
数万はしたのにねww