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南充浩 オフィシャルブログ

ワークマンは高機能・低価格を追求し続けてきた作業服業界から生まれたという話

2022年6月16日 トレンド 1

衣服に求める機能性というのは個人によって相違点があるが、当方が最重要視する機能性は2つある。

1、夏向けの吸水速乾性

2、雨の日用の防水性

である。

冬用の発熱性や蓄熱性は暑がり・汗っかきなので無くても構わない。逆にこの機能が無いと困るという人もおられるだろう。

 

で、本格的に梅雨らしく蒸し暑くなってきたのだが、即日に着用することを目的として半袖Tシャツを買おうとすると、吸水速乾性の有る無しが当方の購買を大きく左右する。

以前から書いているように高血圧気味なことも手伝って生来の汗っかきである。最近は加齢とともに華麗なる更年期障害もあるのかもしれない。

そんな当方は梅雨時から真夏に着用するTシャツには吸水速乾機能は不可欠になりつつある。

綿100%のヘビーオンスTシャツなんて6月~9月末までは絶対に着用したくない。理由は大量の汗を吸い込んだままなかなか乾かなくて不快だからである。

この何年間かで、ユニクロ、ジーユー、で真夏用の吸水速乾Tシャツを何枚も買いそろえたが、これに慣れてしまうと、それ以前に買いそろえた綿100%ヘビーオンスTシャツを真夏着ることが苦痛になってしまった。

蛇足ながら断っておくが、個人的には綿100%ヘビーオンスTシャツは大好きだが、真夏に苦痛を我慢するほどの根気はないということである。4月・5月・10月あたりに着用する物だと完全に認識している。

 

で、もう一つの防水性である。

ジャケット、リュック、靴にはこの機能が欲しい。これは梅雨時に限らず通年で揃えたいと願っている。雨が降るのは梅雨時に限らないからである。

 

で、この基準に照らし合わせると、真夏に当方が買えるブランドというのは、中価格・高価格帯だとガチアウトドアブランド、ガチスポーツウェアとなり、低価格帯だとジーユー、ユニクロ、ワークマンあたりということになる。

 

オープンしてから丸2カ月ぶりに久しぶりに、なんばシティにできたワークマンシューズを見に行った。目的は防水スニーカー1900円を買うためだ。

 

 

到着してみて驚いたことに、防水スニーカーは売り切れ。それどころか多くの品番で売り切れており、残っている靴の品番数は少ない。しかし棚を空けっぱなしにするわけにはいかないから、同じ品番を横に広げて棚を埋めているという有様。

要するに商品補充が追い付いていない状況で、中国を始めとする生産国の混乱という原因もあるのだろうが、その売れ行きの好調さが如実に分かった。

 

 

 

当方の今の嗜好にかなう真夏用商品が手に入るのは、ガチアウトドアブランド、ガチスポーツウェア、ユニクロ、ジーユー、ワークマンだと先ほど書いたが、衣料品不振の中でも業界的に好調と目されているところばかりである。

個々人が求める機能性というのは、その人の体質や嗜好性によって異なってしまうが、夏重視なのか冬重視なのか雨の日重視なのかはさておき、今の消費者の大多数が高機能性の服を求めているということになる。

もしかしたら、メンテナンスフリー、イージーケア性、ストレッチ性なども「機能性」に含めるとするなら、マスで売れている洋服のほとんどは何らかの機能性付加商品ではないかとさえ感じてしまう。

 

ガチアウトドアブランド、ガチスポーツブランドは誕生時から機能性が必須だった。

ユニクロとジーユーはカジュアルブランドが機能性を付加したという形態である。

ワークマンは作業服屋である。作業服というジャンルは一般消費者からはほとんどこれまで意識されていなかった。

しかし、例えば工事現場で働くため、例えば野外で清掃するため、などで着用する服だから、元来ガチアウトドア・ガチスポーツ並みかそれ以上に高機能性が求められる服だった。

おまけにデイリーカジュアルやビジネススーツと異なり損傷頻度が高く破損するスピードも速い。

となると、手軽に買い替え・買い足しができるように低価格でなくてはならない。

 

また作業服というのは服だけで完結するわけではない。安全靴に代表される靴類、軍手に代表される手袋類、帽子、バッグ、小物入れなどトータルコーディネイトも求められる。

もちろんトータルで低価格である必要がある。

 

作業服業界というのは必需品だからカジュアル以上に業界の歴史は長い。何十年という長い歴史の中で低価格・高機能を追求してきたわけで、ワークマンだけがそうだったわけではない。業界全てがそうだったということである。

以前から書いているように、作業服業界全てが「高機能・低価格」を追求してきたという背景を理解せずに、ワークマンだけを突然変異のように報道するメディアがおかしいといえる。

一般消費者は作業服業界なんて存在を知らなくて当然だからそういう報道で認識するわけなので、誤解が広まる。

 

ただ、ワークマンが優れていたのは、従来の作業服にデイリーカジュアル要素のあるデザインを取り入れた点、それとメディアを使ったプロモーションに積極的だったという点、の2点である。

これも以前にも書いたが、あまり知られていないが、実は作業服業界は過去何十年にも渡ってカジュアル業界へ進出しようとしてきた。ディッキーズなどのカジュアルブランドのライセンスを取得したこともある。

だが、いずれもデザイン性という点で消費者には受けれられなかった。もちろんプロモーションも下手くそだった。

2000年以前は、カジュアルデザインができるのはカジュアルブランドに限られており、作業服メーカーがデザインをすれば作業服テイストになってしまった。そのため、マスのカジュアル消費者には受け入れられなかった。

 

マス消費者は当方も含めて機能性服に完全に慣れきってしまった。今後は何らかの機能性が標準装備となるだろう。

2005年以前にはあった「手触りの良いだけの上質な生地」とか「風合いの良さだけが売りの高品質生地」なんていうのを使った伝統的な上質服は今後ますます見向きもされなくなるのではないかと思う。(一部の変態的愛好者を除いて)

 

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 comment
  • BOCONON より: 2022/06/17(金) 12:33 PM

    僕はその「風合い」が気になるたちで,昔は若気の至りで「アロハシャツなどを除けば化学繊維の服,あるいは服以外も化学繊維のものは身につけたくない」などと公言していましたが,今となってはもう純綿(て言い方も古いな)のシャツでもチノパンでもノーアイロンものでないとメンドくさくて着られなくなってしまいました。マァ初期のノーアイロンものは綿100%のものはなかったし,見た目もいかにもケミカルな感じのイヤな色艶をしていて,とてもじゃないが着る気になれなかったというのもありますが。

    そういうたぶん時代錯誤な人間としては(別にバカにしたいわけではないが)「ワークマンの商品ももうちょっと実用本位ってだけじゃなく上品な色艶とか良い感じの風合いにしてくれないとあまり買う気にはなれないね」と正直思います。ワークマンの経営側もその辺は考えてはいて,だからカイハラデニムを使ったりしているのでしょう。今後に期待したいところであります。

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