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南充浩 オフィシャルブログ

日本で急速に縮小しているZARA

2022年6月15日 企業研究 1

2009年から我が国で起きたのが外資ファストファッションブームだった。

その台風の目となったのがH&M、フォーエバー21、ZARAなどだったが、グローバル外資ファストファッションブランドも多くが日本撤退や経営破綻となり、現在残っているのは主だったブランドはベルシュカを除くとZARA、H&M、GAPの3つしかない。

フォーエバー21は本国の経営破綻による日本撤退、オールドネイビーは日本撤退、トップショップも日本撤退、ストラディヴァリウスも日本撤退、ウィークデイとモンキも日本撤退に追い込まれている。

「コロナ禍によるダメージ」と今となっては報道されそうだが、これらの日本撤退は全てコロナ禍以前に起きており、いかに外資ファストファッションの商品が日本市場とマッチしないかということの証明だとと感じる。

 

そして、残ったZARA、H&M、GAPも日本国内での存在感は極度に薄くなっている。

外資ファストファッションブームは結局のところ10年も持たず、だいたい5年くらいで衰退期に入ったといえる。

外資ファストファッションが日本で拡大しない理由は

1、サイズ感が日本人に合わない

2、縫製仕様・使用素材の品質が国内低価格ブランドに比べて悪すぎる

この2点に尽きるのではないだろうか。

今後、この3大ブランドも国内の規模はもっと縮小し、撤退する可能性も決して低くはないと個人的には見ている。

 

2010年代半ばに「ZARA無双」と一部の浮ついた業界人から持ち上げられていたZARAだが、コロナ禍以前から国内の展開店舗数を徐々に減らしてきており、コロナ禍で一層の拍車がかかっている。

ZARAの日本上陸は意外に古く1997年のことで、この時はビギとの合弁会社だった。2000年前後には今は亡き心斎橋ビブレに3層くらいぶち抜きで出店していたが、商品はイタリアンモードの劣化廉価版みたいなクソダサい商品だった。

売れている気配は全くなかったし定価としてはそんなに安さは感じなかったので普段は買わなかったが期末になると投げ売りをするのでその際、990円に値下がりしたカラーワイシャツを何枚か買っていた。たまに投げ売りされた夏物カジュアルなんかも買った。

それが2008年頃に合弁を解消し、単独出店し始めると、一転してファッション性の高いブランドとなって業界人と業界メディア人と一部業界コンサルに持て囃された。

心斎橋ビブレ店を熟知している当方としては当時その変貌が信じられなかった。

 

先日、久しぶりにお会いした業界人にこんな驚くべき愚痴を聞かされた。

「ZARAでズボンを買ったところ、左右の脚の筒の太さが異なっており、片方は狭くてピチピチだった」

と。無事返金されたそうなのだが、

「それ以来ZARAのネット通販なんて怖くて買えない。必ず試着をして確かめるようになった」

とのことで、当方がZARAを買わなくなった理由も同様の縫製不良である。

心斎橋ビブレで買った半袖カジュアルシャツだが、左右の袖で折り返しの幅が異なっているばかりでなく、前立ての生地がねじれて縫製されていたのである。

購入後すぐに捨てた。

あれから約20年が経過しているが、ZARAの縫製クオリティの低さは全く変わっていないようである。縫製工場を祖業として発展してきたZARAなのに縫製仕様が悪いというのは何とも皮肉な話である。

また、大阪府内の郊外ショッピングセンター内でZARAの閉店が続いているという声もあり、調べてみると、ZARAの国内店舗数は現時点で70店舗にまで減少している。大阪府内の店舗数は7店舗しかなくなっている。

これはもちろんコロナ禍による売り上げ不振も手伝ったのだろうが、急ピッチで店舗数が日本から減っている。ネット通販で売上高の補填は幾ばくかはできているのだろうが、恐らく全盛時の売上高には程遠いだろう。

コロナ禍も何となく過ぎ去ろうとしており、このままアフターコロナとなってもZARAの国内店舗数・国内売上高は旧来に復することは無いと考えられる。

 

業界関係者の煽りに反して、結局のところ日本国内ではマスに広がらなかった理由はなにかというと、先に挙げた2点(サイズ感が合わない、縫製・素材の悪さ)に加えて、欧米のコレクションブランドからパクったコピーしたインスバイアされ尖ったデザインの面白さはあるものの、それが大多数のマス層には受け入れられにくいという点と、テイストがセクシー系・モード系に偏り過ぎていて通常のマスの日本人の好みに合わないということも挙げられるのではないかと思う。

 

外資ファストファッションの多くが撤退し、残ったブランドも縮小傾向にある理由は、品質が高くて日本人の好みに合った商品を展開する国内低価格ブランド各社との競争に負けたからだといえる。

世界出羽守がまたぞろ現れそうだが、ZARA、H&Mが売れている国というのは、低価格でまともな品質の現地ブランドが存在していないため、ZARAあたりが低価格ブランドの中ではマシと捉えられるからではないかと思う。

というのは、当方のフェイスブック友達の中には南米在住という日本人がおられるのだが、その方によると「低価格でまともな現地ブランドが無いから、こっちではZARAがかなりマシと認識されて売れている」とのことである。

 

長年、見てきたが残った3ブランド(ベルシュカを含むと4ブランド)が日本国内でまた拡大路線に転じる可能性はほとんどゼロだと思っている。

一方、何型かしか実物の商品を見ていないが、SHEIN(シーイン)の方が日本人には受け入れられ定着するのではないかと思う。生産システムが優れているとかそんな訳の分からない理由ではなく、商品が国内低価格ブランドと近しいからである。縫製・素材の品質は国内低価格ブランド並みだし、商品テイストもセクシー系・モード系に偏重するのではなく国内ブランドっぽさがある。そして2枚目無料に代表されるくらいの投げ売り低価格であるため買いやすい。買って失敗しても諦められる価格である。

 

2009年当時から欧米ファストファッションは国内では定着しないと思っていたし、たびたびこのブログでも書いてきたし、今も脅威とは全く感じていないが、商品面から見るとシーインはかなりの警戒をする必要があると思っている。

 

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 comment
  • BOCONON より: 2022/06/17(金) 1:00 PM

    ファッションまとめサイトのたぐいを見ていると,今のお若い人たちの中には「ユニクロも最近高い」って感じを持っているムキが少なからずいるようですね。「ユニクロですら高いと言うなら一体どこで洋服買うんだ? まだワークマンで買うというのはそこまで一般的じゃないようだし,GU とかか?」とオッサンとしては首をひねってしまいますが。

    それはともかく,先日のイオンやIY堂の洋服強化方針の話,ZARA はともかく SHEIN 的な方向ならアリかも知れませんね。まさか SHEIN 並みに目を疑うほど安くはできないとしても「明らかにユニクロよりずっと安い」ってすぐ分かるくらいのインパクトがないと「”若い人向きに洋服強化する” ったって一体何を強化するのやら,強化宣言しても単なる打ち上げ花火で終わりだろう」と思います。ユニクロに近いくらいの品質でユニクロより安いなんて商品をスーパーが供給できるのか,は僕には詳らかでないですが。

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