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南充浩 オフィシャルブログ

昨年夏に西友で買って重宝しているアシックスのスニーカーソックス

実現が難しそうなイオンとイトーヨーカドーの衣料品強化策

2022年6月7日 売り場探訪 4

個人的には、GMS(大手総合スーパー)も含めたスーパーマーケットは生活に不可欠だと考えている。今更、商店街の八百屋や魚屋で買いたいとも思わない。

45年前、地元にも小さな商店街があった。個人商店の八百屋や魚屋があったが、そこが魅力的だとも思ったことはないし、人情の温かさも感じたことがない。

そのうちに近隣に食品スーパーやイズミヤやジャスコができて商店街はさびれて八百屋や魚屋は姿を消したが、当方は寂しいとも何とも思わなかった。むしろスーパーの方が買い物がしやすくて喜ばしかった。

今でも食品はスーパーで買っている。間違っても商店街の個人商店で買いたいとは思わないし、人情とか温かさとやらに触れたいとも思わない。

 

しかし、衣料品をスーパーで買いたいとは思わない。

だが、実際は掘り出し物の衣料品がスーパーにあることも承知している。10年くらい前から時々、西友で衣料品、服飾雑貨を買うようになった。

西友で強力なのはアディダスとかアシックスのスポーツブランドの靴下の値下げ品である。定価だと3足1000円くらいだが、期末になると不人気品や廃版商品は3足590円とか790円に値下がりする。

3足590円だと1足200円弱だし、790円でも250円強である。昨年夏に買ったアシックスのショートソックスを履き続けているが、丈夫で長持ちしているし、スポーツブランドらしいデザイン性もある。

 

これは脅威のコスパである。なので、自分は靴下に関しては西友でスポーツブランドの値下がり品を気に入っている。

 

だが、衣料品となると微妙だ。

進んで買いたいとは思わない。もちろん、スポーツブランドなどの仕入れ品はある。それは値下がりしたら買ってもいいと思っているが、問題は自社ブランド(PB)である。

決して、30年前、40年前の量販店向けアパレルメーカーの商品ほどアレンジがダサくはないが、進んで買いたいとは思わない。

大手スーパー各社は何年も前から苦戦し続けており、バブル期に営業利益の稼ぎ頭だった衣料品への郷愁があるとともに、食料品・消耗品は品ぞろえも価格も他社と横並びにならざるを得ないから、衣料品で差別化・収益化したいという意図を持ち続けている。

大手GMSの衣料品売り場が年齢層を広げ顧客拡大へ イオンリテールは10代、ヨーカ堂は食品目的の30代を取り込む | 繊研新聞 (senken.co.jp)

 

GMS(総合小売業)の衣料品売り場は、旅行などの移動のほか、花火大会や夏祭りといった行事の再開で回復が見込まれている。好調だった食料品が価格の高騰もあって見通しにくくなっているだけに、期待は高い。

イオンリテールは22年春、ヤングカジュアル「ダブルフォーカス」を刷新し、強化に入った。同売り場はノンエージ化が進んでいたが、当初のターゲットであるヤング層を改めて追求し、Z世代と呼ばれる中高校生をはじめとした10代の取り込みを目指す。

 

とあるが、これはなかなか難しいだろうと思う。

ターゲット設定としてイオンは正解に近いが、ヨーカドーは全くダメだと思う。しかし、実現するとなるとイオンも相当難しいと考えられる。

 

〇まず、イオンから考えてみる。

10代(Z世代)を狙えというのはいかにも大手企業の好きそうな空疎なキャッチフレーズだと感じる。とはいえ、収入が少ない学生を相手にするなら、イオンの低価格商品群は価格帯としてはマッチする。だから当方は「正解に近い」と評価する。

しかし、競合は、しまむら、ジーユー、ハニーズ、ウィゴーあたりとかなり強力である。また2枚目を無料で投げ売りするネット専業中国ブランドのシーインも競合に入るだろう。

となると、決して評価の高くないイオンのPB服が、10代の若者に競合を押しのけてまで選ばれるだろうか?当方は選ばれにくいと思っている。

よほどに巧みな販促を何年間にも渡ってやり続ける必要がある。手間も暇も金もかかる中長期にわたる取り組みを堪え性のないイオンがやり切れるとは到底思えない。

そこに最大の懸念がある。要はイオンでは、競合に勝ち抜けないだろうと言う話しである。

 

 

〇次にヨーカドーだが、30代の食品目的に服を売ろうとしているということだが、ターゲット設定の根本から間違っているのではないかと思う。

まず、食品の買い方にはいろいろあるとは思う。30代なのでほとんどの男女が働いていることが想定されるが、来週1週間の食材を買いだめするのに7000円くらい使う人も珍しくないだろう。

だが、いくら7000円使うと言っても、そのついでに服を買おうとはほとんどの人は思わないだろう。買うとすると肌着、靴下、手袋くらいだろうか。

また、日々、数百円ずつ食品を買い足すという人もいるだろう。そうなった場合、所持金はせいぜい3000円くらいであり、ついでに服を買うという気すらない。

となると、一体どんな人にどんな服を売るつもりなのだろうかと疑問しかない。

そもそも、食材を買ったついでにヨーカドーで服を買おうという人がどれほどいるのだろうか?卵とか長ネギをぶら下げながらカジュアル服やビジネス服を買おうと思う30代がどれほどいるのだろうか?

それこそその年代だとユニクロ、しまむら、無印良品あたりと競合することになるが、ヨーカドーはそれらを差し置いて服を買ってもらえるような企業だろうか。こちらも中長期にわたる販促戦略が必要となるが、そごう西武の売却を検討するほど余力の無いヨーカドーグループが何年間も取り組み続けられるとは到底思えない。

 

既存の食品・消耗品のニーズは取り切って、同業他社との差別化が果たせない今、新たな市場を開拓する必要に迫られていることは十二分に理解できるが、この10何年間か、定期的に衣料品強化を掲げながら未だに果たせていない大手GMSが今回容易く果たせるとは全く思えない。短期ではなしえないということを理解しているのかどうか。

 

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 comment
  • とおりすがりのオッサン より: 2022/06/07(火) 1:31 PM

    衣料品業界と関係ない一般人から見ると、スーパーで衣料品が「バブル期に営業利益の稼ぎ頭だった」というのが、南さんの過去のブログで知るまで全く予想外でした。
    うちの戦後生まれの母親はデパートでも値切るケチくさいババアなんで、普段はイトーヨーカドーとかで安売りになった服とか買ってましたが、衣料品売り場はそんなにお客さんも居ないし利益出てるようには見えませんでした。
    近所にあったイトーヨーカドーは1階が食料品で2階が衣料品他でしたが、ああいう構造のお店だと、食料品のついでに衣料品ってのはなかなか無いでしょう。イオンとかなら、最初から衣料品も見ていくかな?ってこともあるかもしれませんが。

    経営者さんも過去の成功体験から抜けられない人が多いんでしょうが、もう衣料品でスーパーが専門店に対抗できる未来は見えないじゃないですかね?他のことに力を入れたほうが良いだろうに・・・

  • 大阪のオバチャン より: 2022/06/08(水) 12:34 AM

    昔、ダイエーに愛着仕様というプライベートブランドがありました。
    無印のような感じでしたが、食品買う前に洋服買ったりした記憶がありますよ!

  • 浮浪人 より: 2022/06/08(水) 1:27 PM

    GMSで衣料品が売れたのは、70年代、80年代までで、その頃はユニクロもしまむらも西松屋もなかった(全国展開ではなかった)。
    現在は、ティーンからシニアまで、各世代ごとに強いプレーヤーがいるレッドオーシャンだろう。
    イトーヨーカドーなどは、駅前の立地などが多いので、むしろそういったプレーヤーをテナントに迎えたほうが、利益が稼げるのではないだろうか。

    イオンもモール形式で成功しているのだから、閑散としたイオンスタイルの面積を減らしたほうが儲かるのではないだろうか。

    それよりも強い食品などで、立地にもよるが成城石井やカルディ、北野エースのようなカテゴリーを
    強化したほうが、顧客ニーズには合うかと思う。

    売れない服をたくさん余らせて、業者に返品するようなことはSDG’sやESGにもふさわしくないだろう。

  • BOCONON より: 2022/06/08(水) 5:16 PM

    僕ももう手遅れな気がしますね。
    赤羽で言えば西友はリニューアル後食品しか売らなくなったし,ダイエーも事実上洋服売り場は廃止状態になっている。イトーヨーカ堂も掘り出し物はもうほとんどないようなものです。巣鴨の西友も(僕はスポーツものやアウトドア系には暗いのでそっちはよく知りませんが) “ただ安いだけのどーでもいい服ばかり” としか言いようもない。デザインのみならずシャツなど,品質はユニクロには到底かなわない,と云った按配だし,PBもコラボ企画も過去に失敗済みだ。客も客で今や大方はブルックス・ブラザーズも無印良品もユニクロも区別つかないような有様だから何を打ち出しても勝てる理由がありませんね。よくてせいぜいユニクロみたいに有名デザイナーやブランドとのコラボ商品なら物好きな人が買うかも知れない,といった程度(日本のスーパーとコラボしたがる世界的有名ブランドなんてものがあるのか,というのは僕はブランド物には関心がないので知りませんが)。あるいは「20代までは流行り物しか着て来なかったから30歳過ぎたらどんな服着ればいいのか分からない」という人は少なくないようだからそういう層を狙うとか。具体的には・・・まああんまり思いつかないけどw ZARAやH&Mみたいな「モード系の1シーズン着たら捨てる流行り物の服をいち早くパクって売る」なんて商法も日本人には「刺さらない」でしょうしね。

    最近無印良品はテレビ番組のいわゆる「企業案件」=実質ぜんぶCMのコーナーで食品の宣伝ばかりしている。僕は無印良品は(婦人服はまだしも)紳士服部門は将来的には廃止する方向に行っている気がしています。「そんな気はない」と言っても男女兼用服なんて誰も相手にしていない服いまだに売っているようじゃどうしようもあるまい。スーパーもいわゆるスクラップ&ビルドを考えた方がまだしも前向きのような気がする。
    さもなきゃじっと腰を据えて地道に洋服売り続けて,無駄に長生きしてお金を使わない/使えない割に金を食うジーサンバーサンが減って行く時代が来ればあるいは・・・

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