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南充浩 オフィシャルブログ

カジュアル服・フォーマル服の価格差は機能性の差ではない

2022年6月3日 トレンド 1

当方はだいたいiPhoneを最低2年に1度機種変更している。バッテリーが如実に弱るためだ。しかし、昨年秋に変更した機種は4年間使っていた。これは自分史上最長記録である。

iPhoneSEにしたのだが、容量が64G、128G、256Gと三段階ある。当方は128Gを選んだ。

容量が大きくなるにつれて値段は高くなるが、64Gだと容量が小さすぎてすぐに動作が鈍くなる。ある意味で値段差はそのまま性能の差になっているため、使っている人間にとってわかりやすい。高い金を払う意味もわかりやすい。

 

一方、洋服の価格は製造や流通の構造を一通り知っている人間にとっては理解できるが、そういう知識の無い人間にとってはひどくわかりにくい。

価格が高い服が機能性が高いわけではない。

価格が高い服が耐久性が高いわけではない。

価格の高い服が快適性が高いわけではない。

もちろん、これがイコールになる服もあるが、それは例えばアウトドアウェアであったり、スポーツウェアであったり、そういう用途に限られている。

いわゆるカジュアルウェア、スーツ類、フォーマル類などにこの観点は一切当てはまらない。

アウトドアでワークマン使ってみたけど…

結構興味深い使用レポートで、ざっくりと結果から言ってしまうと、ワークマンのアウトドアウェア&アイテムはガチ山歩きだと耐久性が低く、機能性もイマイチだということが書かれてある。

一方、ガチアウトドアブランドの中では低価格に属するモンベルだが、価格はワークマンの5倍前後するが、ガチ山歩きでは機能性、耐久性に優れているということである。

価格差がそのまま機能性・耐久性の差となっている。

しかし、これがガチ山歩きという使用条件においてである。

 

ワークマンのこのアウトドアウェアやグッズをデイリーカジュアルで使えばどうか?ウェアにかかる負荷は山歩きに比べて著しく低いため、相当な耐久性があるだろうと考えられる。また機能性もデイリーカジュアルなら十分に満足できるだろう。

 

以前に比べるとだいぶと減ってきたがいまだに

 

「高い服と安い服の差がわからない」

 

というマス消費者の声が聞こえてくることがある。

高機能性・高耐久性・高快適性という観点で見るなら、デイリーカジュアル、フォーマルという分野において、それはまったくわからないだろう。

希少性の高いナンタラ綿を使おうが、ナンタラウールを使おうが、機能性も耐久性も快適性も上がらない。むしろ希少で繊細な生地を使えば耐久性は著しく低下してしまう。

縫製仕様にしてもそうだ。ナンタラ縫いだから高いと言われても、ナンタラ縫いじゃないと著しく快適性が落ちるかというとそんなこともない。ナンタラ縫いで耐久性が上がることもあるだろうが、生地が脆弱なら意味はない。

機能性は、希少性の高い天然素材よりは、機能性合繊生地や機能性加工を施した定番生地の方が高い。

なので、その観点で洋服の価格の高低を論じても意味がない。

 

当方は自動車には全く興味はないが、自動車にも似たような価格差はある。

概して国内メーカーの自動車は価格が高くなればその分、機能性・耐久性・快適性が向上しやすいと聞いている。だが外車となるとそうではないだろう。

ドイツ車は概して日本車と似たような価格差=性能差みたいになっていると聞いているが、例えばイタリア車はそうではないものが多い。

燃費が悪く、故障しやすいのに価格がべらぼうに高い車種がある。

 

当方の知人の外車好きからすると「高いがその癖に魅力がある」という。当方にはちょっと理解できない心境だが「バカな子ほどかわいい」というやつだろうか。

とはいえ、イタリア車には癖という魅力以外にも、ステイタス性もある。そして、それを手に入れたという満足感も多分あるのだろう。

スーパーウルトラペーパードライバーである自分には理解できないが、例えば、入手困難なガンプラを定価以下で転売ヤー以外の正規のルートで購入できた際に当方が感じる満足感と似たようなものだろうかとも思う。

 

で、話を戻すと、高いカジュアル、高いフォーマル、高いスーツというのはこの高いくせに性能の低いイタリア車と同じだろう。

その服にステイタス性を感じ、その服を所有しているという満足感、着用できているという満足感、そこに価値を感じるということになる。

機能性・耐久性・快適性などというスペック以外の部分の価値に高いお金を払っているわけである。

 

そしてスペック以外のそういう価値こそ「付加価値」「ブランド価値」と呼ばれるものであり、それをいかにして消費者に感じさせられるかが重要ということになってくる。それを感じさせられたものが「ブランド」である。

もちろん最低限度の機能性などは必要になってくるが、カジュアルブランド、フォーマルブランドはそこを追求するものではない。ステイタス性だったり、所有満足感、着用満足感を満たせる必要がある。

それができれば、高い価格で売れるだろう。

マスの消費者にはわかりにくいその価値をどのようにして伝えるかが国内アパレル産業の大きな課題といえる。そうではなくて製造方法や使用生地に過剰に焦点を当てすぎても、マス消費者にその価値は伝わりにくい。一方、機能性を謳いすぎると、ジーユーやワークマンなどの低価格機能商品と比較されてしまうため、現在のような消費動向を逆に促進してしまうことになってしまう。

まあ、言うは易く行うは難しなのだが。

ただ、そのあたりを説明していかないことにはカジュアル、フォーマルでの低価格競争から永遠に抜け出せないだろう。

 

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 comment
  • お気楽ニャンコ より: 2022/06/04(土) 6:31 AM

    フェラーリを
    こよなく愛する人にとって
    フェラーリはただの車(物)ではなく
    『ワガママな愛人だ』と
    ワガママな『恋人』でも
    ワガママな『妻』でもないのです
    かのエンツォ・フェラーリも
    フェラーリは
    美しく、速い、ただそれだけで良い
    とおっしゃっておりました
    洋服は、シャネルスーツだろうが
    ウエディングドレスだろうが
    所詮消耗品ですから…

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