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南充浩 オフィシャルブログ

ネット通販は実店舗と同じ状況になっているという話

2022年6月2日 ネット通販 0

めでたく一人暮らし歴も8年半を越え、この秋には順調に丸9年を迎え、その後、10年、20年と記録を伸ばし続けられることが容易に予想できるのだが、当たり前だが、自ら家計をやりくりすると、それぞれの分野で毎月最大何万円使えるかということを考えるようになる。

考えられない人は破産するのだろう。

衣料品への支出を考えても、自ずと上限は決まっているので、イレギュラーに上限突破する月があったとしてもそれを常態化させることは不可能である。

だから当方の場合はだいたい買うブランドが決まってしまう。恐らく、ほとんどの日本人はそういう買い方をしているだろうから、市場に衣料品ブランド店が増えれば増えるほど、客を奪い合うということになる。

客が奪えないブランドショップは市場から退場するのみである。

 

ネット通販も現在、実店舗と同じ状況になりつつあると感じる。

Yahoo!ショッピング、楽天、ZOZOTOWN、Amazonマーケットプレイスという大手モールが寡占状態となっているだけでなく、個々のブランドの自社通販サイトが乱立している。

新規参入するブランドは数多くあるが、自社通販サイトは最早標準装備である。

消費者個人が衣料品に支出する金額は個人差はあれど有限だから、数多くある通販サイトで客を奪い合うわけである。当然、ほとんど売れないサイトも多々あるし、上限が見えてきたサイトも珍しくない。

 

以上のことは考えてみれば当たり前のことなのだが、2019年頃まで何故だか衣料品業界では「ECだけは成長販路であるという信仰」がはびこっていた。しかも業界の年配のエライ人ほどこの信仰に取りつかれていた。

2020年春のコロナ禍によって、実店舗の長期休業が余儀なくされ、必然的にネット通販への流入が増えた。実店舗が休んでいるのだから、ネット通販を使わざるを得ない。極めて当たり前のことである。

しかし、急激な流入増加が却って衣料品ネット通販の上限到達を早めたのではないかと、そんな気もする。

ただ言えることは、ネット通販は2019年頃まで無邪気に信じられていたような無限成長販路ではないということである。

 

今回は、このまとめ記事をご紹介したいと思う。

大手アパレルのECは今どうなっている?

この記事は、アダストリア、パル、オンワード樫山、ユナイテッドアローズ、TSIの5社のEC業績をまとめてある。

詳細は全文をお読みいただきたいのだが、当方は抜粋して紹介したい。

簡潔にまとめてみると、パルが業績を伸ばしたほかはアダストリアとオンワードの微増、それ以外の大手2社は前年割れに終わっている。これについて当方は、微増のアダストリア、オンワードも含めてそれぞれのブランドの衣料品に対するネット需要は上限に達しているのではないかと考える。肌着や靴下のような消耗品でない衣料品の場合、無限成長はあり得ないと当方は昔から考えている。ましてや試着できず、生地を触って確かめることもできないネット通販は上限に達しやすい。

では、何故パルは大幅に伸ばせたかということになると、今のパルの基幹ブランドは雑貨の「スリーコインズ」である。ブランドトータルでも先の決算では大きく売上高を伸ばしており、当然実店舗とEC両方で伸ばしているということになる。

では何故「スリーコインズ」は売上高を伸ばし続けられているのかというと、扱っている商品が衣料品ではなく雑貨だからだろう。

着用感やら着心地やらサイズ感が重視される衣料品とは異なり、雑貨にはそんなものは必要ない。ネット通販で売買することに向いている。雑貨や家電、家具の方が衣料品よりもはるかに通販に適している。衣料品がメインの他の4社との取扱い商品の違いが顕著に表れているといえる。

 

まとめますと、パルを例外としてモールはやや成長鈍化の傾向。(モール内でのクーポン・タイムセールのような値引き販売を抑制しているから、という理由もありそう。)自社ECは好調ブランドがある、もしくは相応の投資をしている場合のみ売上が伸びている。

 

とある。

例外であるパルの主要ブランドは衣料品ではなく、雑貨であるというところが他の4社との差を生んだと当方は見ている。

そして、2019年頃まで業界内で信仰されていたものに「ネット通販は販管費を含めたコストが実店舗より安い」というものがあったが、これもすでに過去の遺物と化している。

 

販管費に関しては店舗が占める割合も大きいが、EC比率を高めたからといって大きく削減できる訳ではない。支援会社との契約内容(レベニューシェアなど)やテクノロジー・WEB広告への投資が嵩んでいる場合は逆に販管費が増える可能性も大いにある。という感じでしょうか。

 

とあり、ウェブ通販に注力すればするほど、そこへの投資額は増えざるを得ない。例えば一例を挙げると、ウェブでの広告出稿料は年々上昇し続けている。またウェブは広告に限らず専門的な技術や知見が必要なため、外注に頼らざるを得ない会社が多いが、その外注費も上昇し続けている。上昇する理由は、需要の方が供給を上回っているからである。はっきりと言えるのは、もうすでに「ウェブは安い」という状況ではなくなっているということであり、まだそう思っている経営者がいるなら認識を改める必要がある。

 

どの企業も取り組みが違いますし、ブランドによって方針も変わります。「EC」と一括りにしてしまいそうになりまずが、結局はブランド一つ一つを丁寧に育てていくしかないのだなぁと改めて感じる次第です。

 

とまとめてあるがその通りで、3年くらい前までのように一括りにしてEC、ウェブ通販とは呼べない状況になっており、成熟市場に突入しているゆえに、各企業、各ブランドで求められる集客施策、販促施策は全く異なっている。実店舗同様の個々の事象を一つずつ丁寧に対応していくほかなくなっている。それを認識できない企業は他社に客を奪われるだけである。

 

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