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南充浩 オフィシャルブログ

コーエンの不振は当然の結果ではないかという話

2022年5月12日 売り場探訪 2

低価格品はマス層に売れやすく、大規模に成長することが可能だが、だからこそ、マス向け低価格帯には競合がひしめいている。そこは超レッドオーシャンで、企業規模が業績に如実に反映されやすい。

衣料品の低価格帯でいうと、ユニクロ、しまむら、ジーユーという3巨頭の他、GAP、H&Mなどの外資や無印良品、ウィゴー、ストライプ、アダストリア、ハニーズ、センスオブプレイスなどなど、枚挙にいとまがない。

そんな中にあって、存在感が薄いのがユナイテッドアローズの子会社であるコーエンと言わざるを得ない。

当方の買い場の一つにあべのキューズモールがあるのだが、ここにもコーエンはあるが、当方の見回り店からは外れている。どうしようもなく暇なときにふと思い出して覗いてみる程度だが、買ったことがない。

当方の目から見てそれほどにどうでもいい存在がコーエンである。

赤字続くコーエンが経営体制を一新 値下げした商品価格はマーケットに適した設定に見直し (fashionsnap.com)

 

ここ数年は営業赤字が続いているという。2022年1月期(2021年2月〜2022年1月)の売上高は前期比3.7%減、前々期比23.8%減の104億円(収益認識基準の変更による影響を含む)で、営業利益は非公開だが前年に続き赤字となり減収減益だった。

 

とある。店頭を断続的に観測していると、さもありなんという結果としか言いようがない。決して好調な結果が生まれるようには見えない。

新体制の下、今期(2023年1月期)は「ブランディングの明確化」「MD改革」「DX推進」の3つを大きな柱に施策を進める

が3つの課題だという。

まず最初のブランディングの明確化については次のように語られている。

 

ブランディングに関しては当初アメカジテイストを軸していたが、後にトレンドを反映しフェミニン要素を取り入れたほか、売り上げ増を目指し団塊ジュニアから若年層までターゲットを拡大するなど、ブランドの軸にぶれが生じていたことから内容を見直す。

 

この一文を読んだだけで、いかに目先の売上高獲得のためにブランドの軸がブレ続けたかがわかるだろう。当方のコーエンというブランドに対する感想もこの一文と全く同じで「見るたびにテイストが異なっているのでどんなテイストのブランドなのかさっぱりわからない」である。

もちろん、ZARAのように季節トレンドに応じて素早く新型を投入するというスタイルもあるが、そこまで素早さも感じさせないし、シーズン当初に投入された商品がシーズン終わりのバーゲンまで残っているということも珍しくないから、ZARAのような高回転であるはずがない。

メンズはアメカジっぽい物が多いシーズンが多々あるが、これにしてもユニクロ、ジーユーとさほど変わり映えがしないだけでなく、価格的にも少し高い。グローバルワークと似ているアイテムも多いが、グローバルワークの方が機能的だったり、価格が安かったりするので、グローバルワークがあればコーエンは要らないんじゃないかと当方の目には映る。

また記事中にあるように若年層から団塊ジュニアまでを狙うというのは、ファミリー向けブランドとか大規模マスブランドなら必要なことだが、たかだか売上高100億円すれすれの低価格ブランドが採って効果が出る施策ではない。若年層というと20歳前後であり、団塊ジュニアというと40代後半から50歳である。

いわば親子ほど離れた年の差の消費者を全部取り込むことなど、100億円規模のブランドでは不可能であることは少し考えれば普通はわかるはずなのだが・・・。

これができているブランドは、ユニクロだろう。コーエンごときがユニクロと正面から競争して勝てるはずもない。大学生から後期高齢者までがレジに並んでいるユニクロに勝てると思っていたのだろうか。

コーエンが採るべきは、後期高齢者も買っているユニクロには満足のできない若年層か若いファミリー層にターゲットを絞るべきだったのではないかと思う。たしかに団塊ジュニアは人口は多いが、最早中高年なので若者層とは嗜好や体型が異なる。

 

 

MD改革においては、前年秋冬シーズンにボリュームマーケットを意識して商品単価の値下げに着手したが、支持を得ることはできなかったという。

これについては、コーエンに期待しているのは単に低価格なファッションを提供することではない」とし、ニュートレンドマーケットに適した価格設定に戻す考えだ。と分析しているが、正しいとは当方は思えない。

そもそも、コーエンが値下げをしたこと自体知られていなかったのではないだろうか。当方は知らなかった。もちろん、当方基準がすべて正しい見方でないことは重々承知しているが、それを割り引いても周知が足りなかったのではないかと考えられる。何度も言うが「知られていないのは存在しないのも同然」なのである。いくら値下げしても知られていなければ意味はない。

 

一口に低価格帯ブランドと言っても、3巨頭を別格としても、様々なテイストのブランドが乱立しており、それぞれに顧客を獲得している。コーエンが目指すべきターゲットはどこなのか、そのターゲットが喜ぶ商品構成はどういうものなのか、をすでに持っている顧客情報を基に真摯に考えてみる必要がある。通り一遍のアパレルコンサルやマーケティングコンサルの概念論や浮ついた施策に頼ったところで意味は無くこれまでの失敗を繰り返すだけだろう。

いわゆるSPA型企業として、消費者情報をすでに所有しているのだから、地に足を付けてそれを丹念に解析してみてはどうか。

 

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 comment
  • BOCONON より: 2022/05/12(木) 7:18 PM

    世の中ほとんどの人間にとって「テレビが言わない事はないのと同じ」といったようなもののようである。洋服の場合は YouTube か WEAR か・・・いや,どっちも南さんのおっしゃる通り「見るけど買わない」って人の方が多そうである。まとめサイトなど見ていると「手っ取り早くオシャレになるのはどうしたらいい?」といったトピックでその手の「ネット上のサイトが参考になる」なんて言う奴はほぼ一人もいませんしね。と言って紙媒体も影響力は知れている気がする。

    一方「ユニクロでマネキン買いしたらええ」と言う奴は結構いる。僕はユニクロのマネキンが着せられている服はたいていの場合コーディネイトがダサいからやめた方がいいと思うけれど,確かにマネキンは何しろ実物とその合わせ方が見られるのだからセンスに自信のない人にとっては有難かろう。近頃百貨店などではあまり見かけないけれど,コーエンに限らずあれを活用しない手はない・・・と思ったのですが,画像検索してみるとコーエンや無印良品,むかしあった field dream の場合逆効果になっている気もするな。これもおっしゃる通りで「こんなもの誰に着てもらいたいんだか」見ても分からない感じがするので。

    結局僕には「コーエンもTVコマーシャルでもやればいいのに」と云ったつまらぬ感想しか思い浮かばないし,それ以前に「無印良品とかスーパーの衣料品売り場とかコーエンとか,最近 “誰にどう着てもらいたい服なのかよくわからず,デザイナーも何をどうデザインしたら良いのかわからなくて困っているんだろうな…” と思う事が多いな」と改めて思ったことでした。

  • 通りすがり より: 2022/05/18(水) 5:53 AM

    本文と関係ないですが、広告でめちゃくちゃ読みづらくなりましたね。

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