本末転倒なお話
2014年4月8日 未分類 0
以前、某チェーン店の退職者からこんな話を聞いた。
「正規店よりアウトレットの方が売上高も大きいし、利益率も良いから、正規店を廃止してアウトレット店のみを展開していきたい」とそこの社長が宣言したそうである。
それは何とも本末転倒な話だと驚愕した次第なのだが、実際にこのチェーン店は正規店をその後廃止してしまった。
現在ではインターネット通販すら廃止されているようで、常識的に考えるなら、いくら売り上げ不振だろうと利益率が悪化しようと正規店あってのアウトレット店であり、インターネット通販であるのだから、正規店を廃止してしまえばそれらも不振に陥るというのは当たり前の話である。
そこの社長は超ベテラン経営者であるはずなに、なぜこんな判断を下してしまったのだろうかと、不思議でならない。
さて、昨今の衣料品のインターネット通販についても同じような事例がけっこうあると耳にする。
「インターネット通販は売り上げ拡大しており、人件費や家賃などの固定費も要らないから、当社はインターネット通販を重視する」と宣言した企業もあるとかないとか。
しかし、衣料品の場合、オープン価格である家電製品に比べると、極めて「ショールーミング」が起きにくいという性質もある。
また、サイズ感も試着してみないとわからない。
MとLの中間体系である筆者だが、同じブランドでも商品によっては合うサイズがMだったりLだったりする。
ユニクロの事例を挙げると、2012年末にラムウールカーディガンを990円で購入した。もちろん値下がりしての価格である。試着してみたところMサイズの方が合った。
2013年末にまたラムウールカーディガンを色違いで購入した。価格は値下がりした990円でだ。
ところがこれは試着してみるとLサイズだった。
ユニクロの無地ラムウールカーディガンはベーシック商品として何シーズンも継続されているロングセラーである。
そのロングセラーですらシーズンによってサイズ感が変わることがある。
となると、シーズンごとに切り替わる他社の製品だとどれほどサイズ感がその都度変わるか推して知るべしである。
だから筆者はなるべく基本的に衣料品、靴は試着してから購入する。
以前、店頭で試着してサイズ感がわかっているものを稀にネット通販で購入する。
そんな感じである。
どちらかというと、愛用しているブランド(低価格品ばかりだが)の新商品入荷をネットで見て、それを実際に店舗に行って試着してから買うという「逆ショールーミング」としてネット通販を利用する場合が多い。
当方は今年44歳になるオッサンなので、世の若者とはいささか消費行動がズレているのかもしれない。
ただ、筆者と同じような消費行動をする人は少なからず存在すると感じている。
昨今、ネット通販ブランドがリアル店舗を構えるケースが増えている。
レディースの「アイランド」、ウサギオンライン、夢展望などである。
ネット通販のみで成長が確実とするなら、なぜ彼らはわざわざブランド名がそれなりに確立した現在に至って、リアル店舗を持とうとするのだろうか。
彼らはネット通販とリアル店舗が補完関係にあると感じているからではないだろうか。
逆にリアル店舗がありながら、ネット通販も好調だというブランドは、経営陣や運用担当者が「補完関係にある」と理解しているところがほとんどである。
「リアル店舗は儲からないからネット通販だけやります」というようなブランドは、「正規店を廃止してアウトレット店のみに移行した」某ブランドチェーン店と同じ過ちを犯しているのではないだろうか。