
しまむらの好調はバースデイとアベイルに因るところが大きいという指摘
2022年4月20日 企業研究 2
もうご存知の方も多いと思うが、当方は基本的にめんどくさがりであり怠け者である。
めんどくさいことはなるべくしたくないし、やらなくて済むことは極力やらない。
それでもめんどくさいのに仕事をしているじゃないかと言われそうだが、それは稼がないと生活ができないからで、5億円くらいの貯金があれば年間支出額を300万円くらいに抑えながら働かずに暮らす。
先日、某超大手アパレルの役員の年間報酬が2億円とか4億円という噂を聞き、もし自分がその立場だったら5年くらい働いたら退職して、その後は働かずに暮らすなあと思った次第である。
さて、そんなめんどくさがりの当方にとって、決算書に目を通して数字を見るのはすごくめんどくさい。記事執筆の依頼があれば自分でやるが、当方よりも深い分析があるなら、迷わずにそちらを活用させていただく。所詮は当方の分析なんてたかが知れている。
コロナ禍が始まって伸びたアパレルと苦戦に転じたアパレルとに明暗が分かれた。
しまむら、ユニクロは伸びたが、ユナイテッドアローズなどのファッションを打ち出す都心型アパレルは苦戦に転じた。
しかし、国内ユニクロも2021年度は停滞感が強まっている一方、2022年2月期連結決算でも、しまむらは相変わらず好調を維持している。
そのしまむらの好調さだが、メディアやウェブ上の解説ではイマイチよくわからない。たまに売り場に足を運んでみるが、売れる要因がまったくわからない。
有体にいえば、売り場はそこら辺にあるチープな安物売り場と変わらないし、商品だって「これはすごいコスパだ」という物もない。
じっくり探せばそういうコスパ品も混じっているという程度で、逆に陳列がチープすぎてそこそこの良品でさえ一見しただけではチープな売れ残り品にしか見えない。
当方からすると、しまむらは好みの売り場ではないし、しまむらで買いたいとも思わない。
しまむらの2022年2月期連結決算短信にはこうある。
ブランド力の強化として自社開発ブランド(Private Brand、以下PB)とサプライヤーとの共同開発ブランド(Joint Development Brand、以下JB)の展開を拡大し、売場・販促との連動が効果を発揮しました。また、旬のトレンド商品にインフルエンサー企画、キャラクター商品等の品揃えの幅を拡大し、コーディネート提案も強化して、毎週のチラシで打ち出したことで、来店客数が増加しました。
以前から、しまむら、アベイルに商品を納入している某量販店向けアパレルメーカーから話を聞いているが、有名ユーチューバーをキャラクター化したTシャツや、人気アニメとのコラボTシャツなんかは、初回投入2万枚が1日で完売するなんていうことも珍しくないとのことである。
恐らくは当方が足を運んだ時にそれらの商品は残っておらず、従来型のチープ服のみが残っているので、当方の体感がないのだろう。
ただ、それ以外の要因についての分析はあまり見かけたことがない。
販管費の引き下げがどうだ、とか、営業利益率が何ポイント向上した、とかそういうことばかりである。しかし、それらは根本的な原因でしかないし、アパレルビジネスというのは服なり雑貨なりという「物」を売ってナンボであり、「数字を操作して」完結するわけではない。販管費を引き下げようが売れない物は売れないし、営業利益率を向上させても売れない物は売れない。
そんな中、この分析記事はなるほどと感心したのでご紹介したい。
しまむら業績好調は「アベイル」と「バースデイ」が原因か? | StylePicks (style-picks.com)
まあ、見出しだけで内容はわかるのだが、(笑)以下に引用させていただく。
年商を押し上げたのはバースデイ・粗利の改善はアベイル
しまむら単体での売上がまだ戻ってきていないのに年商が上がった、ということは別のブランドが伸びたということですが、その要因となったのはどのブランドなのでしょうか。
2017年2月
アベイル売上:503億77百万円・粗利率34.2%(粗利益高 172億29百万円)
バースデイ売上:468億82百万円・粗利率 33.0%(粗利益高 154億71百万円)
2022年2月
アベイル
アベイル売上:544億46百万円・粗利率38.3%(粗利益高 208億52百万円)
バースデイ売上:695億5百万円・粗利率 34.6%(粗利益高 240億48百万円)
バースデイは売上で226億円増加。(粗利は85億円増加。)アベイルは粗利で36億円増加。アベイルは2017年から店舗数が301店舗→314店舗と、5年間で13店舗増加にとどまっており、2018年からほぼ店舗を増やしておりません。バースデイは240店舗→310店舗と70店舗増加。粗利率は維持している状況。1店舗あたりの売上も伸ばしてします。業績好調の要因はこちらですね。
とのことで、しまむらの中ではまだ売上高規模が小さいアベイル、バースデイだが、伸び率は大きい。本体のしまむらの売上高がさほど伸びていないのに、全社的には売上高が大きく伸びているというのはバースデイの成長が大きく、増益の原因はアベイルという分析は至極納得がいく。
2022年2月期連結では、しまむらの売上高は5836億円にまで拡大している。そして2023年2月期連結の見通しではついに売上高は6000億円に到達する。
これまでなかなか年商5000億円台を突破できなかったしまむらがついに6000億円台へと足を踏み入れることとなる。
あと何年間かは、しまむらへの追い風が続きそうなので、6000億円台からどこまで拡大できるのかを楽しみに眺めていたい。
仕事のご依頼はこちらからお願いします~
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ハマオ より: 2022/04/20(水) 10:42 PM
しまむらは身近なコラボが多いですね
下町ロケットのコラボパーカーを息子が買った事がありましたが
何処にでも有りそうな裏起毛のパーカーにロゴプリント下だけのものが
たしか2500円位したと思います。
原価考えたら自分なら790円なら買っても良いかなというレベルのものでした。
しまむらは今までGMSの平場で買っていた人たちが買場がしまむらになった感じですかね
アベイルの商品の価格帯はGUなどよりはいくらかお高めだけれど,確かにこんな風な若い子が好きな感じではある。
↓
https://twitter.com/yokuiru_yatu/status/870465818613522432/photo/1
さすがにしまむらやユニクロじゃイキった感じにはならないから,田舎のヤンキーはアベイルにでも行くしかないのでしょう。うちの辺北関東なんてヤンキーの産地みたいなものですが,僕にはあんまり縁のない世界だ。しかし見ているとこの “田舎のマイルドヤンキー向け商品” の市場は案外小さくないと思います。さすがに僕が若い頃みたいに暴走族に憧れる奴が珍しくない,という時代ではもうないにしても。