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南充浩 オフィシャルブログ

「快適性」「機能性」が無い商品は受け入れられない時代

2022年3月31日 トレンド 1

オーバーサイズ、ルーズシルエットの服が復活してかれこれもう6年くらいになる。

正しく見ると、2015年から復活が言われ始め、このときは先端層だけが取り入れていた。2016年になるともう少し増えた感じになったが、ジーユーはまだこの時はピチピチシルエットのTシャツを販売していたので、マス層には降りて来ていなかったと見るべきだろう。

2017年になるとマス層に降りてきたようで、ジーユーのTシャツのサイズ感が少し緩くなった。この年から当方も本格的にジーユーで買い始めた。

2018年以降はすっかりマスに定着し、ジーユーの服は年々サイズ感が大きくなり続けている。

先端層から考えると今年で7年、マス層から考えても5年が経過しているので、そろそろビッグシルエットが廃れるのではないかと考えるファッショニスタもいるがいまだに廃れる気配がない。

当方の個人的な感覚でいうと、ビッグシルエット、ルーズサイズはやはり着用していてラクである。ただ、問題点は、当方の顔が大きくて首が短く肩幅が広い体格にある。上下ともにダボダボの服を着ると、単に小太りのジジイに見えてしまうため、絶妙なサイズ感を探し当てねばならないし、工夫する部分が多々ある。

しかし、見た目を考慮しなければ上下ともにルーズシルエットの服を着るのはまことにラクである。

 

一応、当方もトレンドは意識するので、2017年よりも以前はトレンドに則ったピチピチ服を着ていた。2000年代半ばから2017年までの10何年間である。今でもその当時の服は大量に自宅に残っている。処分すべきか、逆にあと20年くらい保管しておいて資料にするか迷うところである。

今でもたまにシャツだったりズボンだったりをその当時のピチピチ服を着てみることがある。2000年代後半以降のピチピチ服はほとんどがストレッチ混素材もしくはニット素材なので、硬くて動きにくいというわけではないが、ルーズシルエットの服に慣れてしまった体にはやはり窮屈感・圧迫感がある。

ファッショニスタが指摘に反して、ルーズシルエット・ビッグサイズトレンドが5年を越えた今でも廃れない最大の理由は「ラク」だからということにあるのではないかと思う。

もちろん、今後はピチピチ服への揺り戻しもあるだろうが、長かったスキニージーンズブームが終わってからもスキニージーンズは依然としてユニクロやジーユーの売り場にも並んでいることから、完全に消滅するのではなくルーズシルエットとピチピチの併用ということになるのだろうと思う。

ルーズシルエット・ビッグサイズブームの長期化に加え、機能性服人気の高さ、などを考えると、今の消費者は「ラク」な物を好むといえる。

その昔、まだストレッチ素材が普及する以前にスリムジーンズが流行したことがあったが、あの当時は綿100%の硬いデニム生地なのに「見た目がカッコいいから」とか「トレンドだから」という理由でスリムジーンズを多くの若者が「我慢して」穿いていた。

そういえば、同年配の女性に最近あの当時の話を聞くと「かなり動きにくかったが何となく我慢して穿いていた。ストレッチ素材に慣れた今なら想像できない」との返事だった。

 

なぜこんなことを題材にしているのかというと、先日からSNSで安藤忠雄氏の建築に非難が集中しているのを見たからである。

ちなみに当方も安藤忠雄氏の建築物は嫌いである。外から見る分には嫌いではないが、内部に入って使うとなると使い勝手が悪すぎるからだ。建築家ではなく彫刻家とかオブジェ作家になられた方が良かったのではないかと思っている。

きっかけは氏が寄贈した図書館?図書館風ショールーム?へのダメ出しだったが、渋谷駅の不出来などが改めて掘り起こされていた。

 

【悲報】渋谷駅、完全に失敗する・・・ : 旅行行こうず!ー国内旅行まとめブログー (blog.jp)

とか

今更だけれど、渋谷駅を設計した安藤忠雄さん、建物の中に己の個性と発想を詰め込み“腕前“を披露する前に、往来する大勢の人々の“ゆとり“を優先してほしかったな。とにかくこの王蟲みたいなオブジェさえなければ、改札表示だけでも見えるのに…。 pic.twitter.com/QBvvHwzOMY

— 雨宿り (@kokoroyasumi) March 24, 2022

とかである。

 

まあ、たしかに意味不明の繭っぽいドームは不要だよなあと思うし、掃除もし辛いらしく現在はかなり薄汚れている。

 

当方が思い出に残っている安藤建築といえば、大阪南港にあったアパレル、ライカ(現在は倒産している)の本社ビルである。完成して間もなくのころ、2000年頃だったと記憶しているが、訪問してド肝を抜かれた。あまりの使い勝手の悪さに。

まず、玄関を入るとすぐに中庭があった。中庭に設置されたエレベータ―に乗って2階だったか3階だったかの受付に行った。そして、1階に用事がある場合はそこから中の通路で1階に降りるわけなのだが、たしかに一見するとカッコイイかもしれないが、訪問する側からすると使い勝手が悪いことこの上ない。恐らくは内部で働いている人にとっても同様だろう。

また、聞いた話では、芦屋に安藤忠雄氏の設計で自宅を建てた某ファッションデザイナーは、数カ月後に「あんな使いにくい家で暮らせるかいな」と言って別の業者に依頼してリフォームしたとのことである。

 

世の中には安藤建築を評価する人もおられるが、2000年代半ばまでに比べて現在の方が受け入れる人は大幅に減っているのではないかと当方は感じる。

その理由は、オーバーサイズ・ルーズシルエット人気が廃れないのと同様の理由ではないかと思っている。

安藤建築はたしかに外から見ている分にはカッコイイが、中に入って使うと快適さはゼロである。2000年代半ばまではカッコイイ物を我慢してでも使いたいという人が多かったのではないかと思う。綿100%スリムジーンズと同様に。

しかし、今、そんな人はいない。靴だって革靴やワークブーツの需要はどんどん減って、スニーカー一辺倒になっている。当方だって9割方はスニーカーを履いて過ごしている。

「我慢してでも使い勝手は悪いけどカッコイイ物を使いたい、服でも家でも靴でも」

という人が昔は相当数いたが、今は当方も含めて「ラクさ」が最優先で、次いで「カッコよさ」という価値観になっている。

その結果、服でも突出して変わったデザインというのはほとんど見なくなって、似たり寄ったりのデザインで快適さが最優先された結果、同質化が強まったということになっていると感じる。

それを嘆かわしいと感じる人もいるのだろうが、当方は必要以上に我慢する気はないし、今後も「我慢してでも」という思想は復活しないと思っている。

まあ、とりあえず、公的な建物で安藤忠雄氏を起用することは、今後ますます大衆からの支持を得られなくなっていくと思って眺めている。

 

 

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 comment
  • 横浜市民 より: 2022/03/31(木) 1:10 PM

    仰るとおりかと思います。地元の駅も隈研吾氏×佐藤可士和氏監修と言うことで再開発されていますが、車椅子用のスロープが急すぎて使用禁止になっていたり、階段の間隔も中途半端で大変歩き難かったり、、、公衆の建築物として機能性はお世辞にも高いとは言えません。

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