
100均と低価格店の集積が進む都心商業施設
2022年3月24日 売り場探訪 3
春になり、ファッションビル、商業施設への新規出店の話題が報道されているが、そのほとんどは、大手低価格ブランドである。
逆に従来型の百貨店ブランドやファッションビルブランドは撤退・閉店の話題の方が多く、ますます大手低価格ブランドによる寡占化が強まっていると感じずにはいられない。
先日も銀座の商業施設にダイソーとワークマンの出店が伝えられた。
銀座の低価格化ガーという声も一部にはあったが、銀座にはすでにユニクロ、ジーユー、無印良品などが以前から出店しており、とっくの昔に低価格化は済んでいるのである。
地元関西だと「なんばマルイ」からはアダストリアホールディングスの全ブランドが2月末で撤退している。
道路を挟んだ向かいのなんばシティに昨年12月に、総合ブランド店「ドットエスティ」をオープンしたのだから、全撤退は当然だろうと思う。
おまけにコロナ禍が始まってからは、なんばマルイの来店者数は顕著に減っているように感じられ、客がいるのはいつも6階のジーユーと7階のユニクロぐらいだった。
で、そんなアダストリア撤退の空き地には、どんどんと低価格の常設店や催事店が出店している。
すでに4階に100均のセリアが出店して久しいが、この度3月19日にゲオホールディングスのオフプライスストア「ラックラック」が2階にオープンした。あと、4階に買い取り専門店の「なんぼや」も出店している。
今の「なんばマルイ」はユニクロ、ジーユー、セリアを筆頭に安売り店、低価格雑貨店の集積ビルとなっており、逆にいまだに5階メンズフロアに残っているコムサコミューン、カスタムカルチャー、サマンサキングス、ヴィヴィアンウエストウッドマン、ニコルクラブフォーメンなどの各ブランド店はよく正気を保って営業を続けられるものだと感心してしまう。
なんばマルイには低価格服か低価格雑貨以外の客は来ないだろうから、従来型ブランドは撤退した方が効率的ではないかと思える。
さて、今回は初めて「ラックラック」を覗いてきたのでその感想をまとめてみたい。
2階にこのたびオープンしたのだが、なんばマルイのサイトのフロアガイドを見てもらえばわかるように、2階フロアのほぼ半分の広大な面積がラックラックで占められている。しかもエスカレーター上り口正面という好立地である。
おまけにまだテナントが埋まっていないスペースがフロアの3分の1くらいを占めているという悲惨な状況である。
ざっとラックラックの売り場を見た限りではレディースが7割、メンズが3割強という感じの構成に見えた。
あと、今流行りのキャンプコーナーもある。キャンプには当方は全く興味がないので華麗にスルーしておく。
メンズコーナーを見てみると、ノーブランドからチャンピオンやノースフェイス、リーバイスと言った有名ブランドまでそろっている。
ノーブランド服はだいたい990~2000円くらい、ブランド服は値札の30%オフか、定価の半額くらいになっている。一例でいうと、チャンピオンのスエットパーカは品番によって3990~6990円の値札が付けられており、そこからさらに30%オフとなっていた。
天神橋筋商店街に軒を連ねている在庫処分店では、1点物みたいなのがズラリとハンガーラックにかかっていて、ごちゃごちゃした中から自分で探さねばならなかったが、ラックラックは流石にゲオという大企業の店なので、ブランドごとにコーナーが分かれており、その中でも同類商品ずつに固められていたので通常の洋服店と同じような見え方で並べられていた。当方にとってはこちらの方が見やすいと感じた。
値段は先述した通りなので、驚くほど安いということはない。
また展開商品の品番数にも限界があるので、チャンピオンやリーバイスでも限られた商品しか並んでいない。個々のブランドでもっと品番数が見たい人は単独店かアウトレット単独店、公式ネット通販で探した方が賢明だろう。
そこにある物の中に気に入った物があれば儲けものという買い方が適している。
4月1日には、なんばシティにワークマンの靴専門店がオープンする。
場所はワークマン女子の向かい側ということで、ここは以前はカフェだったスペースである。昨年カフェが撤退して空いていた跡地にワークマンが出店するわけである。
銀座のダイソー、ワークマンもそうだが、この手の商業施設、ファッションビル内の空き地に、現在出店できるほど体力がある企業というのは、衣料品・雑貨ともに大手低価格ブランドだけということである。
一昔前なら百貨店ブランドやファッションビルブランドがこぞって好条件で出店したのだろうと思うが、コロナ禍の営業時短、人出の減少とインバウンド需要消滅で企業体力を削られており、新規出店どころか、閉店・撤退とリストラを繰り返している。
銀座にせよ、大阪・難波にせよ、跡地に出店できる企業体力があったのは100均かゲオ、ワークマンくらいしか残っていなかったというのが実状である。
コロナ禍が完全収束するまではこの状況は続くだろうし、今後、商業施設・ファッションビルのテナント撤退跡地の穴埋めは、ますます難航し、100均か低価格ブランドの新規出店に頼らざるを得ないことが増えるだろう。
百貨店は多少なりともイキりたいのか「D2Cによる売らない売り場」を増やして跡地穴埋めを目論んでいるが、導入されたD2Cブランドはマイナーな存在に過ぎず、百貨店が目指すようなメジャーな存在にはなり得ないから、百貨店の苦戦はまだまだ続くのではないかと考えられる。
マルイ違いの東京マルイのモデルガンエアガンをどうぞ~
comment
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南ミツヒロ的合理主義者 より: 2022/08/29(月) 9:59 AM
ぎょーかい人らしく、先の先を読んでみます(笑)
南さんご指摘の通り、この手の店は安くない
せいぜい上代の半額程度です出店側は別に丸井に店出すのがステイタスではない
丸井側もバッタ屋に出店されてもステイタスにならない
そして既存業態と比較して大きく売上が取れるわけがないしたがって、数年持たないんじゃないでしょうか?
バッタ業界は賃借料の安さに支えられたビジネスモデルですから
この手の所に出店して大きく儲かる訳がないのです行き着く先は・・・空きスペースにするのもアレだから
自治体の出張所とか若者なんちゃらスペースになって終わりかといなかの潰れる直前なデパートでよくあった光景です
それが大都市でも繰り広げられるという訳です -
南ミツヒロ的合理主義者 より: 2022/11/07(月) 9:30 AM
「あの安物屋が流行の最先端の地にしんしつ~!」
系のネタがここ10年以上続きますが
低価格アパレルや低価格ショップが未だに
高賃料ゾーンにこぞって進出する理由は何ですかね?各社「うちは実用品屋じゃなくてファッション屋だ~」
と思われたい、それだけではないかもしれません先行事例は、82年?だったかな、無印の青山店ですが
堤さんは反対だったそうです。理由はもちろん賃料です
高賃料店は青山のみで、その後は西友・西武のすみっこで
地味に商売していた期間が15年以上続きました住宅街で出来の悪いトレーナー類を売ってたウニクロが
イメージ向上のためにやったのが近年の代表例ですが
全国ほうぼうで未だにやっているのが不思議です対経費で一番儲かるのは、20年以上前に開発された
モールでしょうが、でっかくワンフロアぜんぶ取れる
所はまずありませんいっぽう新開発の大規模モールはテナントスペースを
細分化したがりますとなると、まとめて大きな広さが取れるのは
思いのほか高賃料ゾーンだけなのかもしれませんDCブランドの手先だった丸井は全国的に
フロアを既にウニクロGUに明け渡し済です次はGMSです
ただ肌着からアウターそして寝具類まで
ひと通り扱うのがGMSの2F/3Fだから
ウニクロがもうひと回りラインナップを
広げる必要がありますこの繊維製品フルラインナップを持つのは
無印ですがGMS各社好きじゃないんですよね・・現実問題、GMSの3割は高いから
繊維製品はたいして売れません2F3Fの売上改善で、イオン・セブンと
繊維製品のPB化・ブランド化を進めていますが
売上はナム~ですサテサテ、どうなりますことやら・・・
ヴィヴィアンウェストウッドって男モノもあるんすね←ファッション素人w
ちなみに、ガンマニア視点ですと「モデルガン」というのは実物の銃の構造を模した弾が出ない模型のことなんで、リンクの東京マルイの銃はモデルガンでは無く「エアガン」ですね←小うるさいマニアw