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南充浩 オフィシャルブログ

「男女兼用服」のニーズってそんなに多くないのでは?

2022年3月18日 トレンド 3

以前にも書いたが「男女兼用服」という物の多くに疑問を感じる。

もともとがそういうコンセプトのブランドなら話は別だ。また、もともとがダボダボを基準としていての男女兼用なら理解もできる。

だが、例えばユニクロの男女兼用服というのは全く意味がわからない。

サイズ感だけを切り取ってみてもジーユーとは異なり基本的にジャストサイズである。現在はオーバーサイズが増えているとはいえ、ジーユーのような極端なオーバーサイズではなく、リラックス感のあるサイズ取りにとどまっている。

このサイズ感で「男女兼用服」を推し進めるのは消費者のことを考えているとは言い難いと当方には映る。

単に男女別・サイズ別のSKUを減らして効率化したいがための「詭弁に近い建前」ではないのか。

Tシャツやトレーナーなどの製品で男女兼用アイテムが差し込まれるのはまだ理解できる。女性がダボっと着ていてもさまになるアイテムだし、男性がダボっと着ていてもそれなりにさまになる(ただし汚い中高年男は除く)。

最も理解に苦しむのは、ズボンの「男女兼用化」である。

ユニクロではなぜか、熱心にヴィンテージレギュラーフィットチノの男女兼用を推し進めている。当方が近くしたのは21年秋物からである。

ダボっとしたスエットパンツとかその手のパンツを男女兼用化することはわからないではない。だが、レギュラーフィットチノパンのような比較的ジャストサイズで穿く、しかも綿100%の伸縮性のない生地のパンツを男女兼用化する意味が全くわからない。

 

日本人男性の平均身長は170センチくらい、女性の平均身長は155センチくらいで、身長差は15センチくらいある。体型には個人差はあるが、身長の高低で最も差があるのは、股下の長さである。胴体の長さはあまり変わらない。高身長の人は股下が長く、低身長の人はその逆である。

ということは、単純に男女兼用にした場合、ズボン丈が全然合わないということになる。

さらにいうと、男女では体つきが異なる。女性のウエストは男性に比べて細いし、骨盤の形も異なる。そうなると、男女どちらかに寄せた型紙づくりにするか、男女どちらにも寄せない型紙づくりをするかしかない。

前者の場合は、男女どちらかの着用感が悪いということになり、後者の場合は男女両方の着用感が悪いということになる。

圧倒的にベネフィットを享受できる消費者は少なく、SKUの削減でユニクロだけがベネフィットを感じられる施策だともいえる。

 

MUJIラボも男女兼用のトップスは多いが、こちらは元々からダボダボシルエットであるため、そういうコンセプトであるため違和感はない。また通常ラインでは男女兼用服はほとんど存在しない。

なぜ、ユニクロが、しかもヴィンテージレギュラーフィットチノパンという定番アイテムでそれを推し進めているのか全く理解不能である。

 

その一方で、女性には女性向け商品を、という取り組みも増えているし、女性の側からそういうニーズも出ている。

以前から何度も書いているが、教習所の練習で怖くてたまらかった結果、中型自動二輪のペーパーライダーになった当方だが、やっぱりバイクは憧れである。

死ぬまで乗ることはないと思うが、バイクYouTubeなんかはちょくちょく見ている。

当方と同じような感覚の人は現在多いようで、バイク免許の取得者数が増え、教習所に入るのにさえ何か月か待ちの状態が続いているという。

教習所に生徒殺到 がぜん盛り上がるオートバイ 若者や女性、リターンライダーらが熱視線<まちビズ最前線>:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

 

都内の教習所では若者や女性を中心に二輪免許の取得希望者が殺到。販売店では人気車種の品薄が続き、納車に半年以上かかることも。

 

とのことである。

元阪神タイガースの藤川球児さんは自身のYouTubeで大型自動二輪の免許取得を報告したが、女性客が殺到していて何か月か待ったとのことだった。

また女性ライダーのYouTubeチャンネルも増えていると同時に、登録者数の伸び方がすごい。

数少ない友人である青野睦社長のYouTubeチャンネルの登録者数とはけた違いの伸び率があり、当方の趣味であるガンプラ系チャンネルも若い女性のチャンネルは登録者数の伸び率はすさまじい。

世の中の男性というのは、本当にアホでチョロい奴らが多いと思わずにはいられない。(笑)

 

ローリー青野のバイクライフch. – YouTube

 

で、本業の話に戻すと、そんな具合だから、バイクウェアというのがニッチ市場の中で比較的活発化しているように感じる。

これまでバイク=男性という構図だったので、男性用の衣料ももちろんのこと、女性用の衣料という物がニッチ市場でも今後伸びてくるのではないかと思えてならない。

これまで、ニッチ市場だったバイク衣料には、専門のメーカーが何社か存在しているが、価格勝負でワークマンが参入し、小規模企業ながら青野睦社長のブリッツワークスも新規参入している。

そんな中、ブリッツワークスでは現在レディース向け、バイク用ジーンズの開発を進めている。これは補正肌着メーカーとのコラボ商品で現在サンプルを修正している段階にあるという。

 

これまで、バイクに乗る女性は少ないとはいえ、ゼロではなかったからどうしていたのかと思うと、普通のカジュアルパンツで乗ったり、メンズ用の小さいサイズのバイク用ズボンを穿いたりしていたそうだ。

しかし、話は戻るが、男性と女性では例え身長体重が同じだったとしても骨格や体つきが異なる。先述したように特にズボンは深刻である。そしてバイク服というのは、機能性も求められるから、ただのカジュアル服よりも合うか合わないかは大きな問題になる。

 

まあ、そんなわけで、やっつけっぽい建前上の男女兼用服より、実際のところは、実用性を除いたカジュアル服でさえ、男女ともに体型に合った服が求められているのではないかと思っている次第である。

 

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 comment
  • BOCONON より: 2022/03/19(土) 9:03 PM

    実用性やニーズがあるか否か,という事なら僕も南さんにまったく同意します。けれども男女兼用服をユニクロ,に限らずアパレル業界がいささかゴリ推し気味に打ち出して来ているのは別の理由があると思われる。それはつまり「世界的にそちらの方向に向かっているんだから日本も乗り遅れるな」という動機。
    最近NYではジェンダーレス服の専門店がオープンするなどしているようです。局所的な流行で終わるか今後もずっと続くかはとも角,オシャレ高感度人間や一部業界人の間で話題になっている事は確かである。たとえばこんな感じ。
             ↓
    https://front-row.jp/_ct/17271878

    さらには日本の高校も「女子がズボン穿いて何が悪い? LGBT を差別するのか!」といった声に媚びたような制服を採用する学校も出て来ている模様であります。さすがに男子がスカートという画像は見つからなかったけどw
             ↓
    https://dime.jp/genre/978329/

    まあしかしスコットランド男が穿くスカート様のもの=キルトを思いおこせば,この先高校の男子生徒たちもタータン(でなくてもいいか)のキルト穿いて通学するというのもあり得なくはない気はする。実は僕はむかしイギリスびいきだったのでキルトは1枚日暮里の某店で買って持ってはいるのだけれど,穿いて外出する勇気はありませぬ。スコットランド舞踊でも習うのでなきゃ無理(吾ながら何で買ったんだかw)。

    ・・・そんな事はともかく,上記のような現象については正直その良しあしについてどうこう言う気にもなれませんので「注意深く見守ってまいりたいと存じます」と岸田総理のようなテキトウ過ぎるコメントでお茶を濁しておきましょう。

  • BOCONON より: 2022/03/20(日) 5:48 PM

    ニーズや実用性があるか否か,という事なら僕も南さんに全く同意します。けれども昨今ユニクロ等に限らずアパレル業界全体が男女兼用服をいささかゴリ推し気味に打ち出して来るのには別の理由があると思われる。要は「海外ではこれが流行ってきているんだから乗り遅れるな」という話。
    たとえばこんな風に。
        ↓
    https://front-row.jp/_ct/17271878

    ニューヨークなどではジェンダーレス服の専門店がオープンするなどしていて,こういうのが一部の流行で終わるか,これからもずっと続くかは不明ですが,確かに一部の高感度人間や業界人の話題にはなっているようです。
    いや,日本でもジェンダーレス制服を採用する高校も既に出てきている様子だ(さすがに男子生徒のスカート姿の画像は見当たらなかったけどw)。

    https://dime.jp/genre/978329/

    ユニクロや無印良品の男女兼用服がこういう流れに掉さすものかは不明だけれど,まったく無関係という訳でもなさそうな気がします。
    と言っても僕個人としては指輪やネックレスは好きだけど,スコットランドの男が穿くスカート様のもの=キルトは日暮里の某店で買ったのを1枚持っているがさすがに穿いて外出したことはない。スコットランド舞踊習うのでもなきゃ穿く機会はありそうもない(吾乍らなんで買ったんだかw)。そしてこういう流れが好ましいか,良いかいけないか,については正直あまりどうこう言う気も起きない。ここはひとつ「注意深く見守っていきたいと存じます」と岸田総理並みにテキトウすぎる結語でお茶を濁しておきましょう。

  • BOCONON より: 2022/03/20(日) 8:50 PM

    最近の妙な男女兼用服推しの元になっていると思われる海外のジェンダーレス服の流行や日本の高校のジェンダーフリー制服とかの流れについて書いて送ったら,どうやらはじかれたようで画面に反映されませんでした。それも2回。
    このブログの運営はどうやらその手の書き込みは予め排除するように作っておいたようで。
    別に差別的な事を書いたわけでもないのにやれやれ,ですね。

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