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南充浩 オフィシャルブログ

「人を見て法を説かない(説けない)」迷コンサルタントには気を付けろ

2022年2月3日 未分類 3

離婚してから丸8年が経過して今9年目に突入している。再婚予定は一切ない。

元妻は割合にテレビが好きな人間で、家にいる時には常にテレビが点けられていた記憶しかない。当方も若い頃はテレビ番組が好きでよく観ていたが、2010年くらいからひな壇芸人のバラエティ番組ばかりになってアホらしくて観るのをやめた。

離婚してからは、日曜朝の仮面ライダーシリーズと戦隊シリーズ、年によって大河ドラマを観るくらいである。今は「鬼滅の刃 遊郭編」も観ているがあと3話くらいで終わる。

民放の連続ドラマは、多分「半沢直樹2」以来観ていない。そんな状態だが何の不便も無い。本当にテレビ局とテレビ番組はオワコンだと思う。

 

2020年のコロナ禍が始まってYouTubeを観る時間が増えた。

お気に入りは犬・猫動画、ガンプラ動画、歴史解説動画、プロ野球OB動画である。

プロ野球OB動画は自分が若い頃のベテラン選手だった人のものが面白いと感じる。自分は野球などやったことがないので、詳しくはないが、解説を聞いていると、個々の選手は筋肉の付き方・骨格・体型・関節の柔軟性など全て違うから「選手によって指導法・トレーニング法を変えている」という。当たり前といえば当たり前の話である。

ただ、個々の選手の個性ガーという前に、プロ水準の基礎体力づくり、体づくりがあることは言うまでもない。そこに到達した上での個性である。

数々のOB動画によると、往年の名選手だった松井秀喜氏は物凄く体が硬いという。これをそのままにしておいて「これが個性だ」というのでは間違いである。やはり一定の柔軟性を持たせるようにストレッチを繰り返して体を作った上での「個性」である。

ちょっと横道に逸れたが、プロ野球に限らず、スポーツ選手はその体に応じた指導・トレーニングが必要不可欠であることはどなたも疑問を持たないだろう。

一律に「腹筋1000回すれば誰でも上達する」というようなものでは決してない。

「人を見て法を説く」というのはまさに真理である。

 

さて、世の中にはコンサルタント、アドバイザーがあまたいて、繊維・アパレル業界にも数々のコンサルタント、アドバイザーがおられる。複数メディアに登場したり、複数の有名企業を手掛ける知名度の高いコンサルタント氏、アドバイザー氏(以下、コンサルタントに統一する)も多くおられるが、どうも「人を見て法を説く」というタイプの世間的著名コンサルは少ないように経験上感じている。

人を見て法を説くどころか、「俺の、俺の、俺の話を聴け~♪」とばかりに画一的な持論を押し付け、現実を持論に当てはめようとするタイプの人が跳梁跋扈しているようにしか見えない。

さて、友人のマサ佐藤氏がこんなブログをアップしておられた。

 

お客様の業績を急降下させることが簡単な仕事 | ファッションビジネス ・リテールMDアドバイス ・マサ佐藤 (msmd.jp)

その企業はコロナ禍で売上が下がったことで、焦ったトップは売上回復の切り札としてコンサルタントと契約したとのことでした。しかしながら、2021年の後半に感染が落ち着き、街に人が繰り出すようになっても、コロナ禍前の2019年の売上どころか、2020年のコロナ禍中の売上も獲得することができなかったとのことでした。

お話をした取締役の企業は、安価な商品を大量に品揃えすることで、客単価は低いけれども客数が多いことが特徴でした。お客様の視点で見れば、その企業のショップに足を運べば、何か欲しいものがあるかもしれない。しかも価格が安いから、本来は欲しいものでなかったものもついで買いしてしまう!という特徴ありました。

しかしながら、そのコンサルは的外れなマーケティングMAP。ポジショニングMAPをトップである社長に提示し、(知り合いの企業の)これから向かうべき方向性は、安価な商品を売ることではなく、高付加価値の商品を売ることだ!と言いくるめ、トップに信じ込ませました。元々、そのトップはこの企業に来るまで、百貨店ブランドで勤務していた!ということもあり、安価な商品を”薄利多売”で売ることが好きではなかったのでは?という節もあり、そのコンサルの”甘い誘い”に乗ってしまいました。

 

とのことである。

小売店頭時代を含めると業界歴30年の当方からすると、まさに業界あるある、30年前から何度も見てきた光景である。

売上高は売れた個数×客単価でしかないから、売上高を回復させるには売れた個数か客単価をアップさせるしかない。もしくは両方をアップさせるかである。

だから、業界には「低価格商品から脱却して高価格を扱うべきだ」というコンサルが掃いて捨てるほどいる。だが、これは理屈としては正しいかもしれないが、その企業の顧客層にとってはどうか。

低価格店で買う客層が高価格商品を買うようになることはほとんど難しい。消費者個人の嗜好性もさることながら、収入が増えなくては買うようにはならない。そしてコロナ禍の今、収入は増えにくい。

一方、高価格マーケットとて競合他社はひしめきあっている。すでにステイタス性を確立したブランドやショップも数多くある。そこに安物売り出身の新参者が飛び込んで、すぐさまその客層を獲得できる可能性は極めて低い。客側からしてみれば、昨日まで安物を売っていた得体の知れない新参者の商品を買わねばならない理由はどこにもない。

極端にいえば、ユニクロが10万円のダウンジャケットを発売して売れるのかということである。10万円のダウンジャケットの市場にはすでにモンクレールやカナダグースなどが君臨している。わざわざ、ユニクロの新製品を買いたいという人はこの層にはいないだろう。

 

にもかかわらず、「高価格品ヲ~」というコンサルタントはあまりにも多い。

値上げをするなということではなく、極端な値上げは今までの顧客をすべて手放してしまう危険性が高いということで、値上げを説くにせよ、その企業の特性を見た上でそれに見合った値上げ法を説かねばならない。

業界には「高価格訴求」以外にもさまざまな画一的手法を説く迷コンサルタントが多々いる。

在庫高は〇〇%が適切とか、ネット通販比率30%以下は落第企業とか、ネット通販比率50%を目指せとか、である。

しかし、適正在庫高もネット通販比率も個々の企業や店の特徴や客層、扱っている商品によって異なる。それこそ、個々の人間の体格・体型・関節・筋肉がそれぞれ異なっているのと同じである。何をもって「〇〇%以下はダメ」とか「〇〇%が適切」と言っているのか理解不能である。

持論に合うように現実認識を変えてしまう人間こそ、企画立案、戦略計画、現場指揮には最も不向きである。

残念ながらコンサルタントにはこの手の不向きな人が多いし、それを信じてしまう経営者も多い。世間的著名コンサルタントを起用しても経営が改善するどころか悪化したり倒産してしまったりする企業が多いのは、この2つが渾然一体となって見事なハーモニーを奏でてしまうからに他ならない。

 

 

例えば・・・・・

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 comment
  • とおりすがりのオッサン より: 2022/02/03(木) 1:03 PM

    例え、ヤバw
    私みたいに訴えられますよ(^_^;)
    しかし、世の中、シコシコとモノを一生懸命作るより、口八丁で適当なこと言って稼ぐ方が儲かるのが嫌ですねぇ。うちの会社のナンバー2は、自社がぜんぜん儲かってないのに、偉そうに他社に行ってセミナーとか講演とかやってたんですが、自社が買収されて経営陣が変わって自分の立場が危ないと見たのか、とっとと会社を辞めてコンサルタントとして独立するようです。なんだか知らないですが、結構講師としての人気はあるようで、なんで口の上手い人に騙されちゃう経営者さんが多いんだろうと不思議に思いますw

  • 恥じ入る乞食 より: 2022/02/04(金) 7:29 AM

    倒産したラ〇リークイーンの若社長が小山昇氏の心酔者だったような…W

    • とおりすがりのオッサン より: 2022/02/04(金) 10:50 AM

      父親の代からの小山昇信者ですね。
      調子に乗って社屋とかも建て替えていましたが、だいたい綺麗な本社ビル建てる中小企業は傾く気がしますw
      母親は、リッツ・カールトンホテルLLC公認親善大使なんてのもやってて、相当浪費してたんじゃないかと思われます。

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