フリースと軽量ダウン
2014年2月6日 未分類 0
カジュアルアパレルの手掛けるなんちゃってアウトドアブランドの展示会を目にする機会は多いが、ごくたまに本格的なアウトドアブランドの展示会にお邪魔することもある。
ユニクロのフリースブームによって、フリースは安物・お手軽防寒具の代名詞のようになっていた。
そのため、長らくアウトドアブランドの高額フリースが苦戦していた。
一方、数年前から盛り上がったお手軽防寒具はインナーダウンジャケット、インナーダウンベストである。
筆者の知る限りではこれに手を付けたのがモンベルで、量的に拡大販売したのがユニクロだと認識している。
そこにさらに追随したのが、イトーヨーカドー、イオン、西友などの量販店である。
強者ユニクロに弱者量販店が追随するなんて「ランチェスターの法則」に照らし合わせてみても戦略、戦術的にまったく意味がないのだが、保温肌着以来、量販店にとってはそれが常態となっているので、量販店が衣料品においてユニクロの牙城を崩すことは長期的にありえないと考えられる。
それはさておき。
2~3年くらい前からの動きだが、アウトドアブランドの高額フリースは売れ行きが回復しつつある。
とくに毛足の長いフリース、レトロフリースとかボアフリースと呼ばれるアイテムが好調だという。
反対に2013年秋冬物で動きが鈍ったのは軽量の薄手インナーダウンだとのことだ。
あるアウトドアブランドはその理由についてこう解釈している。
ユニクロのフリースブームから15年が経過し、そのころを知らない若い消費者が増えた。
一方、ここ3年くらいのウルトラライトダウンブームは記憶に新しく、これと近い見え方をするインナーダウンが嫌われた。
この解釈はなるほどと感心させられた。
我々オッサン世代にとってユニクロのフリースブームはつい昨日のことのようだが、98年なのでたしかに15年以上が経過している。
今、25歳の若者は当時10歳だったということになる。
10歳当時の大人社会のブームなんて記憶にも残っていない。筆者だって10歳のころの大人社会のブームなんて知らないし、実感もない。
そういう若者からすればフリースに抵抗がなくても当然だろう。
ただし、通常のフリースは相変わらずユニクロにもイオンやイトーヨーカドー、西友などの量販店にも、安物チェーン店にも溢れかえっている。
それらの販路で見かけることが少ないのは毛足の長いボアフリース、レトロフリースの類だ。
だから毛足の長いフリースに購買意欲が向く。
一方、ウルトラライトダウンブームは文字通り昨日のことのようにどの世代も認識している。
横方向にステッチの走ったあの表情のインナーダウンは、食傷気味だし、ウルトラライトダウンのユニ被り率は異常に高い。
年配層も若年層も着用者を一日に何十人も見かける。
インナーダウンの購入を避ける心理は当然だといえる。
しかし、時間の経過は早い物であれから15年以上が過ぎた。
少年老い易く学成り難し
日暮れて道遠し
である。
今後しばらくはインナーダウンが低迷時期を過ごしそうだ。