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南充浩 オフィシャルブログ

外野席からの印象

2014年2月5日 未分類 0

 4年ほど前からスポーツウエアブランドの展示会にお邪魔する機会がときどきある。
あくまでも1シーズンに1,2度あるかないかの頻度なのだが。

今回はそんな外野席の立場で話を進める。

そのたびにスポーツウエアブランドの雰囲気は硬く、実績や技術の高さに反して知名度は一様に低いと感じさせられる。

ダイヤモンドオンラインにアシックスの記事が掲載された。

【企業特集】アシックス 
世界3位を射程内に捉える
日の丸スポーツブランドの野望

http://diamond.jp/articles/-/47733

2013年3月期の連結売上高は過去最高の2602億円で、2014年3月期の売上高は21・2%増の3150億円となる見通しで、この業績は全世界でナイキ、アディダス、プーマに次ぐ4位である。

しかし、記事から引用すると、

そのアシックスが現在、売上高で世界4位のスポーツ用品メーカーに位置していることを知る人はそう多くない。

という。筆者もまことにその通りだと思う。

通常のアパレル企業でいうと、売上高3000億円を突破している企業は超大手である。
オンワードやワールドクラスになる。
その場合、業界外での知名度もそれなりに高い。
ところが、記事でも書かれてあるようにアシックスに限らず国内スポーツメーカーの知名度はすべからく低いと感じる。

国内2位のミズノは連結売上高が1637億円であるが、これとて国内ではそう知られていないのではないかと感じる。

地味で実直なところが国内メーカーの良いところだと常々考えているが、それにしても少し地味過ぎないか。

展示会にお邪魔して感じるのは、迎える側も来場者もスーツのオジサマ比率が高いなあということである。
いかにもビジネス然としており、極端に言えば、工業製品の商談とも変わらないのではないかと感じる。
普段親しんでいるカジュアル業界の服装が緩すぎる側面があり、趣味の会合のようになってしまっている場合もある。

いかにも「ビジネス然」と感じてしまう理由は、スポーツの展示会で「試着」をするオジサマが少ないということである。

カジュアルの展示会ではアメカジ親父が気に入ったサンプル製品を何度も試着する。
横で見ていると「オッサン、自分の買い物に来てるんとちゃうで~」と突っ込みたくなることもしばしばだ。
けれども洋服を販売するのだからそれくらいのほれ込みようがあっても良いと思う。

数年間、ゴルフウェアのディレクションを行ったベテランがいるのだが、
「某セレクトショップのバイヤーを展示会に連れて行ったら、試着室がないことに驚いていた。そこでメーカー側に試着室はないですか?と尋ねたら、メーカー側が『試着なんてするんですか?』と逆に驚いていた」と話してくれたことがある。

それほど製品自体への興味は売る方も買う方も薄いということではないのか。

これと同じ印象を婦人肌着で感じる。
婦人肌着メーカーの展示会もスーツのオジサマ比率は異様に高くて、雰囲気が硬い。
その気になれば試着できるスポーツウエアと異なり、婦人肌着なんてオジサマは絶対に試着できない。
それでも迎える側も来場者もオジサマ比率は高い。
不思議である。

それはさておき。

国内スポーツメーカーは、もう少し知名度を高める努力をしても良いのではないかと感じる。
もちろん彼らが努力をしていることはよく知っている。
10年前と比べると露出は増えたと思う。
しかし、その告知は外野からするといまだに競技寄りに傾きすぎているように見える。

一般人が親しみやすいカジュアル分野での告知は上手くないというのが筆者の受ける印象である。
アシックスにせよミズノにせよ、ゴールドウィン、デサントにせよこれだけの技術力の高さと業績を誇っているのに、自国民にあまり知られていないのは何とももったいない話ではないか。

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