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南充浩 オフィシャルブログ

30数年前~15年くらい前までの洋服の高品質さ

2021年12月20日 お買い得品 2

自分が住んでいるところは月に一度不燃物ゴミを出せる。

その月に一度の不燃物ゴミの日に、今年春から一念発起して、9年前に死んだ母親の洋服を全て出した。12月には昨年死んだ父親の洋服を半分だし、来年1月に残りの半分を出す。年末大掃除でもう袋詰めをは終えた。

死んだ母親は洋服をたくさん持っていたから、捨てるのに回数がかかったが、父親はクソダサい男で、ほとんど洋服を持っていなかったから、2回で済んだ。とはいっても、その父親でさえ、不燃物ゴミ袋(大)が4つだから、洋服というのはけっこうかさばる。

考え方はいろいろだが、当方は、死んだ人間の服なんて置いておいても本人が生き返るわけでもないし、父親の場合はサイズが違うし、母親の場合は性別が違うので、どちらも当方が再利用することはできない。父親の洋服はほとんどがイズミヤの平場で3000円で買って来た服なのでリフォームする方が高くつく。ということで手元に残す意味はまるでないので全て捨てた。

サステナブルとかそんなことは全く考えない。邪魔な物は捨てるしか解決策はない。古着で使われようと数年後には捨てることになる。今捨てるか5年後棄てるかの違いでしかない。

 

 

で、今回は、父親の洋服を整理して残した物をご紹介したい。

先に言っておくと、父親の洋服というのはほとんどない。残した物が4点あるが、1点は母方の祖父から父がもらった物、残り3点は当方が着なくなって父親にやった物である。

なぜ、父自体の買った物がないかというと、先にも述べたようにクソダサい男でイズミヤかジャスコの平場で3000円くらいのジジイ洋服しか買ったことがなかったからである。

洋服にはまるで興味がなかった。

まず、発見したのがフェンディのウールマフラーである。

 

 

 

これを巻いている姿を見たことがない。恐らく、32年前に死んだ母方の祖父の形見分けでもらった(正確に言うと、母が分捕ってきた)物だろうと思う。

父が入手したのは32年前だから、祖父が買ったのはそれよりも前ということになり、最低でも32年前の物、古ければ35年以上前の物ということになる。

このフェンディのマフラーは自分が使おうと思う。父の遺品というよりは母方の祖父の遺品である。(笑)

 

 

残り3点は、自分が「トレンドではなくなった」「飽きた」という理由で父親にあげた服だが、これも結局、着ているのを見たことがなかった。その結果、また自分の手元に戻ってきたが、今改めて見ると、過去の国内で販売されていた洋服の低価格の割に高品質だったことがわかり、なかなか興味深い。なのでわざわざ紹介しようと思った次第だ。

 

今回再び戻ってきた3点は

 

1、25年以上前の量販店テナントで買ったノーブランドのPコート

 

 

 

 

2、17年くらい前にスーツカンパニーで買った「エーボンハウス」のウールキルティングコート

 

 

 

 

 

 

3、15年くらい前にGAPで買ったヘリンボーンツイードの3つボタンテイラードジャケット

 

 

 

 

 

 

 

 

である。

いずれも手放した理由は「トレンドではないから」である。あと買った年代、買った価格は正確ではないのでその辺りはご了承いただきたい。

 

1だが、記憶では25歳くらいの時(1995年前後)に買った記憶がある。価格は定価5900円だった。ノーブランドだが、水甚の下げ札が付いていたと思う。もしかしたら他の岐阜メーカーだったかもしれない。

これは自分が店長として勤務していた量販店テナントで販売していた商品で、社員割引で買った。

この当時はビンテージジーンズブームでトップスは少しタイト目だったという記憶があるが、これはLサイズでややオーバーサイズ気味である。それでほとんど着用しないままに10年後rくらいに父親に渡した。

中国製で薄中綿入り。生地の組成はウール72%・レーヨン28%だが、今、5900円のPコートでウールがこれほど大量に使われてはいない。

久しぶりに試着してみると、少しオーバーサイズ気味なのでちょうど今のシルエットである。ついでだが、先日試着してみた今秋発売の+Jのウール混Pコートと非常にシルエットも素材の質感も似ている。向こうは2万円オーバーの定価だが。(笑)

色は少し薄めのチャコールグレーである。着丈はお尻が隠れるくらいで、一時期流行ったショート丈Pコートとは一線を画している。これからは+Jっぽいやろ?という顔をして着てみたいと思う。

 

次のキルティングコートである。

これは2004年頃にスーツカンパニーで買った。5000円に値下げされていたので買った次第だ。

これの表地の生地組成はウール100%である。胴裏地はポリエステルだが、袖裏地だけはキュプラである。これもオーバーサイズなのだが、当時はピチピチタイトシルエットが大ブームだったので、買ったもののほとんど着ることなくハンガーにぶら下がっていた。今、5000円に値下げされた商品でこの生地クオリティの商品は無い。

黒の襟とパイピングは、コーデュロイではなくベッチンである。

生地がグレーと黒のハウンドトゥース柄で襟・パイピングが黒。軽くて暖かいから「着ないんなら、お父さんの葬儀用のコートにするから」と母親に言われて渡した。

言うまでもないが、父が冬の葬儀でこのコートを着ているのを見たことがない。

 

3つ目はGAPのテイラードジャケットである。これも2007年ごろに買った。

定価は1万円前後だったと思うが、1900円か2900円に値下がりしていた。手放した理由は3つボタンだったからだろうと思う。3つボタン全盛時が過ぎ、ほとんど見かけなくなっていた時期である。

薄茶色のヘリンボーンツイードだが、生地組成はポリエステル50%・ウール42%・レーヨン6%・その他2%である。

これにも言えることだが、今のGAPでこれほどウール混率の高いアウターは売ってないだろう。シルエットはピチピチ全盛時なので腕回りはタイトだが、テイラードジャケットのダボダボは嫌いなので、今改めて着用してみようと思う。ポリエステルのおかげでツイードだが軽量だし、硬くもない。

父が死ぬまでこれを着ているのを見たことがない。再び手元に戻ってきた。

この3つが出戻りである。

 

あと、全くの付けたしだが、面白い服があったので、ご紹介したい。

もちろん、こんな服を自分は着用しないので写真だけ撮ってゴミ袋に入れた。

これも母方の祖父の服で、袖口のボタンが取れて少しシミがあるので何回か着用したことがあると思われるが、ジャケットの両脇のポケットは仕付け糸で閉じられていたので回数は少ないと思われる。恐らく祖父が死ぬ少し前に買ったのだろうと思われるので、33年前か34年前の物だろう。

生地は梳毛ウール100%・裏地はキュプラ100%で日本製。ブランド名は昔のオッサン服にはよく見られた「ZEN JAC」である。なにぶん自分が学生時代のブランドで今は残っていないので詳細はわからない。このブランドの詳細をご存知の方がいたら教えてもらいたい。

 

 

 

 

左胸と右肩に透かしがあって赤い裏地が覗いている。そして金の1つボタンのダブルスーツで、ジャケットはノーベンツである。

 

 

まあ、はっきり言ってヤ〇ザ向けにしか見えない。

とはいえ、日本製でウール100%にキュプラ100%だから結構値段は高かったのではないかと思うが、いかにもバブルの頃らしいデザインである。

 

 

以前、当時懇意にしていた製造系の方に言われたが、生地の品質は2005年以降低下し続けていると言われたが、2021年の店頭と見比べるとたしかにその通りだと感じる。

15年くらい前まではGAP製品・スーツカンパニー製品といえどもこんな素材を使用していた。今なら、この当時の定価の2倍くらいはするだろう。

ある意味で、洋服の価格は適正に戻っているのかもしれない。安い物はそれなりに悪く、良い物は高いという元の世界に。

 

 

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 comment
  • kimgonw より: 2021/12/20(月) 11:27 AM

    ZENJAC 懐かしい! 我が家ではそれをしこたま縫っておりました
    一時はそれで生活をまかなっておりました
    ただ そんなに ヤー様風だったかなと思います
    アンコンJKが多かったように思いますが
    GAの影響だったのでしょうね 
    ただ 写真の服を拝見すると ソファーにどっかりすわって
    「民法~~条 ~~でこの契約は無効や ♪大阪の町 欲望の町♪」
    と言いたくなりますね

  • 南ミツヒロ的合理主義者 より: 2022/08/29(月) 2:13 PM

    最後の1行が効いてますねぇ

    南サン:>安い物はそれなりに悪く、良い物は高いという元の世界に

    そしてお客さんは2022年現在、こうなりました

    「安い物にはソコソコしか期待しない」
    「安くてチョイ良いなら満足」

    とても適切な時代になったと思います

    裏かえすと、

    ・期待しないお客さん:対応:大規模安物供給業

    というような最適化された組合せが完成したから
    ここから1歩抜け出るのはまず無理だと思います

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