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南充浩 オフィシャルブログ

今のままなら存在意義がない

2014年1月24日 未分類 0

 20年前より以前のこの業界のことは知らない。
なぜなら、大学を卒業する手前まで衣料品には興味がなかったからだ。
いつも母親が購入してきたイズミヤだかジャスコだかのノーブランドの1900円くらいの洋服を着ていた。

ズボンが数枚とトップスが数枚、あと防寒用のジャンバー2,3枚。

そんな手持ちの洋服で年間を暮らしていた。
だから20年以上前の衣料品業界や衣料品のトレンドは体感としてはほとんど持っていない。
せいぜい、イズミヤとジャスコの平場くらいしか記憶にない。

と前置きをしておく。

昨今、取材をしていて、一部を除いては「あの個人経営の専門店すごく好調だよ」という評判を耳にしない。
筆者が取材を始めた17年前は、まだ少しはそんな評判を耳にした記憶がある。
その後、名前が挙がっていた専門店は多店舗化したり、大手の子会社化してりして、業態としては一応成功と呼べるまでに育っている。

80年代、90年代前半はもっとそういう事例が多かったと先輩から聞かされることがある。

前置きしたように筆者にはその当時にそういう専門店に通った体験がないから、真偽のほどはわからないが、17年前でもいくらかはそういう評判を耳にしたのだから、バブル期やバブル前夜はそういう風潮だった可能性は大いにあっただろう。

今、新店オープンはほとんどが都心ファッションビル、都心百貨店、郊外型ショッピングセンター、アウトレットモールの4つである。
ここに入店するテナントは、全国チェーン店ばかりでごくまれに地域密着型の有力専門店という構成である。
個人経営の専門店が入店することなどほとんどない。

メーカーやブランドの展示会を巡っていても、商談に来ている個人経営専門店の多くは、景気の悪い話ばかりしている。まあ、同じ会場にいるのだから嫌でも耳に飛び込んでくる。

で、そのたびに思うことは、「漫然と洋服や雑貨を並べるだけの小規模専門店が復活することはありえないだろうな」ということである。

バブル期やバブル前夜なら、人気があると言われているブランドや、季節の新作を並べていれば黙っていても小規模専門店で売れたのだろう。
けれども今では「人気ブランド入荷」とか「新作入荷」「セール開始」なんてことだけをアピールしていても衣料品や雑貨は売れない。
それで売れるなら百貨店の業績は回復しているだろうし、ファッションビルも活性化しているだろう。
そんなことしかアピールできないのであれば、ネット通販の方が便利が良いし、安い商品も探しやすい。

で、品ぞろえの豊富さなんてことはファッションビルや百貨店、ショッピングセンターとは比べ物にならないから、アピールしても無駄である。

となると、小型専門店は何かしらお客が集まるための理由を作ってやる必要がある。

例えば定期的なお茶会だとか、新作の試着会だとか、特定の層に熱狂的なファンがいる人のトークショーだったりとか、そういうイベントが必要になる。

こんなことを言うと、「そんな非効率的なことをしても売上にはすぐにつながらないでしょ」と言う人がいる。
まことにその通りで、すぐに売上高は増えない。効果が出るまでには時間がかかる。
無名の一般人がブログを開始してもすぐには閲覧者が増えないのと同じである。

それでもこの手のイベントをしないとますます大手チェーン店やインターネット通販に顧客は流出してしまう。

逆に大手チェーン店がこういうイベントを店頭で仕掛けている。
滋賀の有力チェーン店のボーンフリーは店舗内でライブを開いている。
期間限定ではあったが、ユナイテッドアローズはトータルコーディネイトで試着した姿を写真撮影しサイトにアップしてくれるという無料サービスを行っていたことがある。

もっともその撮影された写真がコピーされて悪用される可能性があるというデメリットもあったのだが、個人的には面白い企画だったと思う。

大手がこの手の「非効率的」なイベントを打ち出しているのに、物量でも値引き率でも品ぞろえでも劣る小規模専門店が何にもしないのでは、その差は広がるばかりであろう。

試着大会なんていうのも良いのではないか。
ネット通販では試着はできない。
じゃあ、高額ブランドの洋服を実際に着てもらって、素材を触ってもらって低価格SPAブランド商品との違いや、ネットで体験できないことをしてもらうというのは、高額専門店ならではである。

非効率的な作業ばかりでは疲弊してしまうが、小規模専門店は今こそ「非効率的」なことに取り組む必要があるのではないか。そうでなくては生き残れないし存在意義もない。

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