可能性はゼロではないが
2014年1月20日 未分類 0
日本製のデニム生地は欧米ブランドでも高く評価されている。
例えばラルフローレンの「デニム&サプライ」にはコインチャームが付いている品番があるが、それは日本製デニム生地を使用した品番であり、だいたい2万円前後の価格で販売されている。
付いていない品番は中国製かトルコ製か、パキスタン製か、アセアン製かということになる。
生地は評価されているが、製品ブランドは評価されていないというのが日本のジーンズということになる。
評価されていないことはないが、プロモーションが足りなくて知名度が低いという方が適切だろう。
クールジャパンの関連において、国内ブランドのジーンズを輸出しようという機運が盛り上がって(?)いるが、それでも価格の問題は重要である。
取り組みを外野から眺めていると、国内販売価格が2万円で、輸出した場合、現地価格が5万円になるような商品を必死で売り込もうとしているように見える。
まあ、何事もやってみなければわからないから「可能性はゼロではない」のだが、欧米といえども極めて市場は小さいだろう。
アメリカの西海岸は常に高額ジーンズ市場が一定の動きがあると言われているが、それを総称して200ドルジーンズと呼んでいる。
1ドル=100円内外とすると、200ドルジーンズは日本円にして2万円前後ということになる。
いくら高額なジーンズがある程度動くとはいえ、その市場のボリュームゾーンは2万円前後ということになる。
もちろん、アメリカにもヨーロッパにも愛好家は存在するから5万円のジーンズでも7万円のジーンズでも販売量がゼロということにはならない。
ただし、そういう愛好家は極めて少ないから、その層に売れたとしても販売本数は知れているだろうと推測する。
現地価格を2万円前後にするなら、国内販売価格は9000~12000円くらいの商品となる。
その場合、本当にふさわしいのはジーンズナショナルブランド、ナショナルブランドには届かないものの、伝統ある専業メーカーの商品ということになる。
例えばエドウイン、ドミンゴ、ブルーウェイあたりは国内自家工場生産比率が高く、店頭価格10000円くらいの商品を量産できる。
ベティスミスは中国の張家港工場がメインだが、国内工場も小規模残っている。ベティスミスの国内工場製品は店頭価格も安く、某SPAブランドのOEM製品で8000~9800円のGジャンを生産していたこともある。
あとはトータルブランド化したジョンブルだが、ジーンズやカジュアルパンツに関しては自家工場も含めた国内生産を行っており、価格も9800円~となっている。
生産数量が少なく、価格も高額な「こだわり」ジーンズブランドを輸出するよりもこれらの国内専業メーカーの商品を輸出する方が、200ドル前後という価格帯にもはまりやすいし、量産メーカーなので製品の品質も安定しているから欧米でも売れる可能性が高いのではないか。
あとはプロモーション、告知の問題である。
どこぞの自治体がやったようにニューヨークでド派手なセレブパーティーなんぞをやる必要もない。あんなものは金の無駄使いであって、その後、その自治体の知名度がニューヨークで高まったとは耳にしたことがない。
なぜ、「知名度の低い小規模メーカーの高額ブランド」というもっとも高いハードルからチャレンジしようとするのか、筆者には理解できない。
まあ、お偉い方々なので我々下々には思いもよらない勝算がおありなのだろうけども。