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南充浩 オフィシャルブログ

雑貨を強化した方が効率的では?

2014年1月10日 未分類 0

 先日、某代理店から「最近の国内クリスマス商戦の結果は?」と質問を受けた。
おそらく、彼が担当しているメンズブランドからの依頼ではないかと推測する。

ネットで検索すると欧米では相変わらずクリスマス商戦が活発で、記事が多数出てくる。
しかし、国内の場合は、12月度商戦として月間の記事は出てくるが、クリスマス商戦としての記事はほぼ出てこない。とくにアパレル関連に関する記事は皆無に等しい。

20年前のバブル崩壊までは、クリスマス商戦はもっと華々しかった。
当方は学生だったので体感にすぎないのだが、50代・60代の方がその辺りはお詳しいだろう。

昨年末にも何度かクリスマス前後の様子をブログに書いた。
クリスマス前の3連休は阪急百貨店うめだ本店1階の雑貨アクセフロアが男性客で満員だった。
男性はそれなりの価格の物を女性に贈ろうというのだろう。何とも涙ぐましい。
ちなみに5階から上はそれほどの混雑でもなかった。

クリスマスイブの当日、夕方5時前後に天王寺MIOというファッションビルの5階メンズフロアを見て回った。
正直なところガラガラである。ただ1店舗だけ、1990円の帽子やマフラー、バッグを売っている店舗(もちろん高額なバッグも販売している)だけが何故か女性客で混雑していた。
これから会う男性のために駆け込みでプレゼントを購入しているのだろう。
ただし、1900円とか2900円の物なのだが。
この辺りに女性のシビアさを感じてしまう。

2店舗のサンプリングでは正確さを欠くことは承知しているが、男女のプレゼント購入には大きな価格差があるものの、共通しているのは、雑貨・アクセサリー売り場はそれなりに賑わい、ブランド衣料品を主体とする店はあまり混雑していなかったという点である。

そういう体感から類推すると、バブル期に比べて単価も下落し、地味になったクリスマス商戦だが、雑貨・アクセサリーはそれなりの需要はあるが、衣料品にはほとんど需要がないということが言えるのではないか。

そもそも衣料品をプレゼントすることは難しい。
人それぞれ好みがあるし、サイズもある。
こちらが「彼女は赤が似合う」と思って、赤いセーターをプレゼントしても「私は青の方が好き」なんてことは日常茶飯事だし、サイズの大小もある。贈ったもののワンサイズ小さかったり大きかったりすることもある。

雑貨にも好みはある。
しかし、衣料品よりも好き嫌いは激しくないのではないか。
また、サイズ感はほとんどない。
180センチの長さのマフラーを買って「ちょっと短いなあ」なんてことはあっても、洋服のサイズほど深刻な問題ではない。そのまま着用することは可能だ。

なんてことを考えて行くと、某代理店やそのクライアントのメンズブランドが「クリスマス商戦」にこだわるあたりがちょっと時代とは逆行していると思うし、もし「クリスマス商戦」なるもので売上高を稼ぎたいのであるならば、高級衣料品ではなく、中価格・低価格雑貨を強化する方が効果的だろう。

ただ、クリスマス商戦という12月20日前後の時期を考えてみると、どうしても欲しい衣料品はプレセール開始直後に30%オフで購入しているだろうし、何も買っていない人からすると、あと1週間待てば冬のバーゲンが始まるわけだから、何もこの12月20日前後に駆け込みで買う必要はない。
となると、物を買うよりは、ちょっと高いレストランで食事をするとか、旅行に行くといったことの方にお金を使う人が多くなるのではないか。

となると、ますます衣料品は売れにくい。
そもそも衣料品を大量に売ることは低価格SPAブランド以外、最早不可能だろう。
かつてのような、高額なのにブームになってしまうDCブランドブームみたいな謎のムーブメントは起こらないだろうし、何万円もする古着ジーンズが飛ぶように売れたビンテージジーンズブームなんていうのも起こり得ないだろう。

何か特別な仕掛けとかプロモーションが必要なのだが、それは従来からある手法の延長線上にはなさそうだ。

そんなことを新年が明けてから代理店の依頼によってツラツラと考えてみた次第だ。

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