それでもやってしまった方が良い
2013年12月26日 未分類 0
以前にデニム生地をソファーやクッションカバーとして使いたいというインテリア関係者が増えていると書いた。
それを実現する際に問題になるのが、デニム生地は摩擦によって色落ちが起こり、それが座った人の衣服に移染するということである。
極端にいえば、白いシャツや白いズボンで濃紺デニム生地のソファーに座れば、シャツやズボンがうっすらと青くなる可能性がありますよ、ということである。
濃紺のノンウォッシュやワンウォッシュデニムのソファーは見た目にかっこいい。
しかし、デニム生地をよく知る業者は、極度にブルーが薄くなるまで洗いこんだソファーやクッションカバーを提案する。移染する可能性が格段に下がるからである。
一方、見た目を最優先するブランドはノンウォッシュやワンウォッシュデニムを使ってソファーやクッションカバーを製作する。個人的にはどれほど移染するのか想像するのも恐ろしいのだが。
ならば、移染しにくい濃紺デニムを作れば良いという話になる。
その際考えられる手法は2つ。
1、濃紺デニムの上からコーティング的な加工を施してしまう
2、インディゴ染料ではなく、堅牢度の高いネイビーの染料で染めた糸を使ってデニム風生地を織る
の2つである。
デニム生地をよく知る業者は1、のコーティングという手法を使いたがるだろう。
触感がカサついたり、パサついたりするものの、これは間違いなくデニム生地だからだ。
問題は2、の手法である。
多くのデニム生地業者はこれについて「これをデニム生地と呼んで良いのか?」というためらいがある。
インディゴ染料で染めていない物をデニムと呼べるのかどうかである。
原則的にはデニムとは呼べない。
賛否両論あるだろうが筆者は、これもあえて使用しても良いのではないかと考える。
なぜなら、もしかすると、岡山・広島以外の厚地織物産地がこれを「デニム」として売り出す可能性が無きにしも非ずだからだ。
さらにいえば、中国、パキスタン、トルコあたりのデニム生地メーカーが「これもデニム」として売り出す可能性があるからである。
まったくデニムと関係のない国内生地産地やアジアのデニム生地メーカーに「これもデニム」として売られるくらいなら、本場である岡山・広島のデニム生地メーカーが先手を打った方が良いのではないかと考える。
ただ、これをやることで、「デニム」という範疇がさらにボケてしまう危険性はある。
そう考えるとデニム生地業者が躊躇する理由も納得できる。
まことに痛し痒しである。
それでもやってしまった方が良いというのが、個人的な結論である。