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南充浩 オフィシャルブログ

ミスリードを誘うようなメンズスーツに関するメディアの報道姿勢に疑問しか感じない

2021年9月22日 お買い得品 4

業界メディアを含めて、メディアというのは、味噌もクソも同等に比較するという悪癖が昔からある。

最近、違和感があるのは、ワークマンやAOKIの格安カジュアルセットアップと、通常のメンズスーツを比べて「メンズスーツ市場は大丈夫か?」という論調である。

ワークマンやAOKIのセットアップは5000円前後、通常のメンズスーツだとツープライスの既製品だと19000円くらい、格安オーダーだと20000円台後半くらいが底値だろう。

通り一遍の外見は似たような範疇のものとして、価格は3倍強~4倍。

似たような見え方の商品なのに3倍強の価格差で大丈夫なのだろうか?

というのが主旨で、その気持ちは分からないではないが、一般消費者は果たして同じように感じているのだろうか?大いに疑問である。

当方は、一般消費者に比較的に感覚が近いと自負しているが、(そんなことないやんけという人はご指摘ください)明らかに使い分けをするものだと捉えている。

もちろん、カジュアルセットアップが通常のスーツの代替品として使えるということは前提として、それでもある程度は使い分ける物ではないのかと思う。

通常のスーツ、特にウール素材もしくはウール主体素材の物は、肉体作業や長時間の座り仕事などでシワがついてしまうことに対して、当方は強い抵抗を感じる。

また摩擦によって素材そのものが毛羽だったり擦り切れたりすることにも強い抵抗がある。

 

新型コロナ禍でリモートワークの導入が始まり、ある程度は経営者も従業員もリモートすること自体に慣れてきた。

リモートワークの際、自宅でやるなら、リビングデスクにパソコンを乗せて作業をすることが多いだろう。

椅子にかけてする人もいれば、YouTubeでは椅子がなく低いテーブルで床に座って作業している人もいた。どちらにせよ、通常のウール系素材のスーツで行うには不適切である。特に床に座っているなら、スーツはさらにシワになりやすいし、何よりも窮屈である。

会社から姿が見えないならパジャマのままでも良いが、それでは切り替えができないという人もいるから、着替えるとすると通常のスーツではなく、カジュアルセットアップが最も理にかなっている。

またZOOMなどのビデオ会議なら上半身だけでも「ある程度キチンとした」服装をしていることが社会人としては望ましい。

となると、リビングで襟の硬いワイシャツにネクタイを結んでスーツの上着を羽織っているのもおかしいので、それこそカジュアルセットアップのジャケットを羽織っているくらいの方がTPOにもマッチする。

 

一方、スーツが基準の会社に出社する際には、カジュアルデーとかクールビズ期間でなければ、カジュアルセットアップよりは通常のビジネススーツを選ぶ。

また、対面での重要な商談の際もビジネススーツの方が適切だろう。

さらに冠婚葬祭なら、通常のスーツを着るべきである。

 

そう考えると、値段差によって、客層が分かれているというよりも一人のビジネスマンが使い分けていると考えた方が適切な消費者像ではないかと思う。

特に30代~50代のサラリーマンは用途によって使い分けている人がほとんどではないか。

 

ワークマンも新規参入するスーツ市場で新規上場タンゴヤの未来は? | SEVENTIE TWOは、世界各地のファッション&ビューティ情報を多言語で毎日配信するインターナショナル・メディアです。

 

当方はこの記事の論調に甚だ疑問を感じる。

またダイヤモンドオンラインの

 

ワークマンがスーツ事業に殴り込み!ZOZOも大失敗の衰退市場に異業種殺到の理由 | スーツ 消滅と混沌 | ダイヤモンド・オンライン (diamond.jp)

 

の論調にも疑問を感じる。

 

たしかにメンズのスーツは着たくて着る人はあまりいない。服装が完全自由化になれば、わざわざ着る人はいないだろう。また定年退職してから好んでスーツを着る人はいないだろう。冠婚葬祭以外は。

しかし、スーツが完全に無くなるということはあり得ない。すくなくとも冠婚葬祭には残る。

また政治家や大手金融機関や大手企業経営者が全員スティーブ・ジョブズよろしくジーンズとTシャツになることもあり得ない。

またそれらに属するスタッフもジーンズ・Tシャツが常態とはならない。

 

もちろん、団塊世代の完全リタイア、リモートワークの推進、クールビズの定着化などによって、既存のメンズスーツ需要は縮小し、増えることはないだろう。

当然、青山、AOKIに代表されるような大手チェーンも縮小を余儀なくされるだろう。

だからといって、ワークマンのセットアップやAOKIのパジャマスーツでオールOKとはならない。小規模でもスーツの需要は残る。

この手のメディアの、しかも業界ライターのミスリードを誘うような論調はいかがなものか。

この手の論調のメディアのスタッフは冠婚葬祭にパジャマスーツで出席してみてはどうか。

 

以前のブログで、ジーユーの変型セットアップ群の中で、今秋の新商品として、従来からあるスーツ風セットアップとは別に、5480円でカットソージャケットとパンツのセットアップを当方の着用写真付きでご紹介したことがある。

 

画像を見ていただいてもわかるように、当方も着用してみて改めてわかったが、カジュアル時に着用もしくは、ZOOMミーティング時と在宅ワーク時での着用は適しているが、冠婚葬祭やそれに匹敵するような公式の場ではとても着用できる物ではない。

業界メディアこそ、その辺りを本来は丁寧に啓蒙するのが仕事ではないのか。

 

 

AOKIのパジャマスーツをどうぞ~

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 comment
  • とおりすがりのオッサン より: 2021/09/22(水) 11:46 AM

    日経ビジネス電子版に
    【これぞ起死回生 スーツのAOKIが活路を開くのは“パジャマ”】
    なんて記事があって、ホンマかいな?とアオキの業績調べてみると、21年3月期の売上高は1431億6900万円(前年同期は1802億2000万円)に対して、件のパジャマスーツは売れたと言っても2万円で3万着なので売上は6億にしかなってないので、全体の業績を左右できるほどの規模じゃないんですよね。しかも、アオキの多角経営がコロナ禍では裏目に出たようで、本業のファッション部門ではコロナ禍でも14億9900万円の黒字(前年同期比48.1%減)で利益確保していたのに、ブライダル部門と漫画喫茶等のエンターテイメント部門で赤字出して、トータルでは57億9300万円の営業赤字(前年同期は66億4900万円の黒字)になっちゃったようです。
    今後も大手スーツ量販店は厳しそうっす・・・

  • とおりすがりの元・服売り より: 2021/09/22(水) 4:05 PM

    これは分かります。
    現職SEで、デスクワーカーです。
    ウール主体のキチンと身なりを整えるようなスーツを、仕事では一切着ません。
    普段はジャケットはPLSTのジャケット、パンツはユニクロのアンクル丈のものを組み合わせています。

    理由はお察しの通りで、普段のデスクワークでウール100%のような高品質のものを着るメリットはなく、むしろ窮屈でデメリットしかないです。
    客先にも2~3年に1度しか行かないような状況ですので、ウール主体のスーツを着る機会などほぼないです。
    さらに、コロナ禍になったことで出社の機会もなくなり、部屋着のまま仕事をしてる状況です。

    ウール主体のスーツなんかまったく出番ないです。
    もちろん、新たに買おうとすら思いません。
    手元に1着あれば十分な状況ですので。

    世の中全員が全員、同じ状況とは思いませんが、自分のような立場の人間は少なからずいると思っています。

  • BOCONON より: 2021/09/23(木) 1:05 PM

    僕は今は仕事上必要ないので,むしろ遊びでスーツやジャケットにネクタイしているようなアンバイであります。今後もずっと着続けるつもりですが ...実際のところ,スーツの時代は終わりつつあるような気がしています。
    街を歩いていても,電車乗って見まわしても,スーツ着た男はいてもネクタイまでした男はもうあんまり見ない。大分前からクールビズを口実にして,なし崩し的に冬でもタイなしでOKになってきている感じがする。
    で僕はそれはヒジョーに見苦しいと思ってしまいます。リアルスーツにタイなしで黒釦のボタンダウンシャツとか,日本人(あるいはイタリア人も)の顔の形にあまり合わないワイドスプレッドの小襟シャツとか二重襟のシャツとか。そんなものを合わせてタイもなしならウールスーツなんて着る意味もあるまい,と思ってしまう。
    洋服の歴史は平服が礼服に繰り上がっていく繰り返しみたいなものなので,今後なし崩し的にビジネスはセットアップでOKになっていき,マトモなスーツは改まった場にしか残るまい,と僕は思っています。
    そして僕自身はシーラカンス化して行くだろうし,それは愉快な気もする・・・と言ってもまあ,まだ先の話だろうとは思いますが。

  • hitonotameni より: 2021/11/14(日) 5:17 AM

    私もIT系内勤ですが、ノータイOK 1年の半分はポロシャツ出勤OKな職場環境なので
    スーツを着なくなりました。ボトムスはユニクロのEZストレッチパンツとかでも
    OKなので快適です。冬場は、ボタンダウンシャツにユニクロのボトムスに
    ノースフェイスあたりの黒ダウンジャケットで出勤しています。
    社内に1着、ブルックスブラザーズのウールのカーディガンを置いており、
    寒かったらジャケットの代用で着る感じです。
    カーディガンは時々交換して洗濯しますね。
    インポート系のウールのコートも持ってますが、ダウンジャケットケットやマウンテンパーカーのほうが軽いし、雨風しのげるのでウールコートの出番はなくなり、
    ジャケットを着ることもなくなりました。

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