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南充浩 オフィシャルブログ

外資低価格ブランドの公式アプリ利用率はかなり低い

2021年9月21日 ネット通販 0

衣料品関連を専門としていると、最近はEC(いわゆるネット通販)の話を聞くことが多い。

衣料品業界人やIT業界人はネット通販に過剰な期待をかけている人が多いように感じるが、大衆向けを狙うブランドには過剰な期待は不要だと感じる。

一方、IT愛好家向けとか少数のコアなファンだけで成り立つ小規模なブランドはそういうネット通販に特化してもやれるのではないかと思う。

先日、大衆向け低価格ブランドのEC公式アプリに対するアンケートがメディアに掲載された。

 

スパコロ社がファストファッションアプリ利用に関する調査を実施 (fashionsnap.com)

 

ユニクロ、ジーユー、しまむら、GAP、H&M、ZARAの6ブランドのアプリ利用に対するアンケートである。

結果は利用率と1年以内購入率の1位がユニクロ、2位がジーユー、3位しまむら、という結果だった。H&M、GAP、ZARAはいずれも10%未満のドングリの背比べで、1位・2位・3位とは大きく水を開けられたという結果に終わっている。

 

 

 

 

当方はこのうち、ユニクロ・ジーユー・GAP・H&Mの4つのアプリを使っているが、実際に定期的に開いたり買い物をしたり、商品をチェックしているのはユニクロとジーユーの2つで、H&MとGAPはほとんど開いたこともない。

まず、H&Mのアプリは使いにくい。2年前にスマホに落としたが、最初の割引クーポンを使って以来、ほとんど開かない。使いにくく見にくいからだ。割引クーポン以外に何の魅力もない。

GAPはそれよりも前からスマホに入れているが、これは買い物する時に会員チェックをしてもらうためだが、この1年間はGAPで買ったことがないので、そろそろ不要になってきている。

 

しまむらはEC最後発だが、当方の自宅近所に店がないので元来、購入対象外である。そのため、アプリを取るつもりは今後もない。

ZARAは業界人がこぞって持ち上げるが、当方はあまり好きではない。たしかに最新トレンドを勉強する・見物するにはかっこうのブランドかもしれないが、当方も含めた日本の大衆からすれば毎シーズン商品が大きく変わるので買いづらいし、覚えづらい。チェックし続けるのも時間の無駄だと感じるし、めんどくさい。

 

そんなわけで、ユニクロとジーユーの2つだけを毎週2回は必ず開いているし、たまにネット通販で買うこともある。

アンケート結果には納得である。

 

さて、当方は何のためにユニクロとジーユーのアプリを定期的に最低でも週2回必ず開けるかというと、それは

「値下がり品をチェックするため」

である。

年末年始、ゴールデンウィークなどの大型連休を除いて、ユニクロとジーユーは毎週金曜日から月曜日まで「期間限定値下げ」を行う。

それをチェックする手段としては新聞の折り込みチラシとアプリがあるが、当方は新聞を自宅購読していないので、アプリでチェックするのが毎週金曜日の日課となっている。

また、売れ残り品の値下げ時期は「不定期」だとされているが、長年見続けていると火曜日に値下げされることが多いので、火曜日朝もアプリを開いてチェックすることにしている。これで週2回である。

 

では、ユニクロ公式アプリはどんな目的で利用されているのでしょうか。調査結果からは「セール情報・チラシのチェックのため」(24.6%)、「クーポンをもらう・使うため」(22.9%)、「店頭・レジでバーコードを提示するため」(19.7%)、「ほしいファッションアイテムを探すため」(19.5%)、「値引商品のチェック・買い物のため」(19.2%)などが挙げられています。

 

と記事にもあり、これはジーユーもほぼ同様の傾向ではないかと思う。

アプリを多くの人が使っているが、業界メディアで信じられているような「ECで買い物をするため」がトップの理由ではない。

ユニクロもジーユーも当方がよく出向く大阪の都心ターミナルに店舗があるため、別にアプリで買う必要がない。またアプリで買う際には5000円以上の総額でないと自宅への送料は無料にならないので、990円に値下がりした服が1枚だけ欲しいときは、甚だ不経済ということになる。

どうしてわざわざ990円に値下がりした服を買っているのに、送料を払わねばならないのかである。

逆に、ネットに在庫が残っていて、店舗で軒並み品切れの場合、5000円未満なら当方は店舗取り寄せでネットで購入する。店舗取り寄せなら100円の商品でも送料は無料である。

 

業界人や業界メディアは「ZARAがすごい」と口をそろえるが、当方にはそのすごさはわからない。また日本の大衆もそのすごさはわからない。だから、利用率は4.1%にとどまっているのではないか。また1年以内利用率も7.5%しかない。

ユニクロのような「わかりやすさ」、ジーユーのような「身近さ」がないので、業界人かそれに類した愛好家しかZARAを利用しないのではないか。

 

さて、ユニクロのアプリに関していえば、ネット通販を利用するよりもやはり実店舗との併用がメインだということがアンケート結果からもわかる。

 

アプリ利用者の半年以内の実店舗利用率は79.0%

 

とある。5000円未満の買い物に送料が必要なことも実店舗利用率の高さを後押ししているのではないかと思う。

 

実店舗との併用が前提というユニクロ、ジーユーのアプリ、ECの組み立てはマス層に向けては正解だといえるし、他のマスを狙うブランドもそれを前提に組み立ててみてはどうか。

ネット通販だけで日本国内で何百億円も服をマスに売ることなど現時点では不可能だと割り切るべきだろう。

 

 

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