
レッドオーシャン化したクラウドファンディングという販売方法
2021年9月17日 ネット通販 0
インターネットの普及によって、アパレル製品への新規参入はさらに容易になった。
もともとの参入障壁からして、かなり低く、容易によじ登れる程度だったがそれがほとんど無いに等しくなった。
インターネットの普及によって大きく変わったのは、
1、情報発信
2、販売
だといえる。
1の情報発信でいうと、これまでは新聞、テレビ、雑誌、ラジオなどに採りあげられるまで自社からの情報発信の手段は限られていたが、インターネットの普及それを基にしたSNSの普及で自社の情報発信が簡単にできるようになった。(読まれる、見られるかどうかは別にして)
2だが、インターネット通販が発達し、売れるかどうかは別にして自社直販サイトの開設も容易になった。また売り方も通常のネット通販以外の形態も出現し多様化した。(売れるかどうかは別)
この1と2の両方を満たすのがクラウドファンディングだといえるのではないか。
通常、無名ブランドが新商品を発売したところでなかなか注目してもらえない。自社サイトで発表し、自社アカウントのSNSで拡散してもなかなか知られない。
しかし、マクアケやらキャンプファイヤーなどの大手クラウドファンディングで開始すれば、そのサイトを見に来てくれる不特定多数に知ってもらえる確率が高くなる。
本来のクラウドファンディングというのは、開発費・量産費の無いメーカーがそれを集めるための集金システムだったが、今の国内クラウドファンディングは一般的に言う「予約販売サイト」のようになっている。
そのため、これまで直販を経験したことのない製造加工業者や零細デザイナーブランドはこぞってクラファンを開始しているが、あまりの多発ぶりに「クラファン開始しました」というインパクトは年々薄れている。そして成功率も年々低くなっている。
例えば、キャンプファイヤーのサイトだが、「ファッション」だけでどれほどのクラファンが乱立しているのか見てもらいたい。
ファッションのクラウドファンディングプロジェクト一覧 – CAMPFIRE (キャンプファイヤー) (camp-fire.jp)
これほど溢れている。
そして、9月17日現在では3ページ目くらいから失敗に終わった、または、終わりそうなクラファンで溢れていることがお分かりだろう。
終了間際なのに集金額ゼロ円のクラファンが溢れている。
マクアケにしても同様だ。
これがクラファンの現実である。
また「目標金額6万円」というクラファンもあり、最早意味が分からない。
無名だから成功しないというわけでもない。有名な企業や団体でも成功しないときは成功しない。
例えば今年夏の高校野球甲子園大会。
2021年夏の甲子園 全国高校野球選手権大会にご支援を!|クラウドファンディング|A-port 朝日新聞社 (asahi.com)
1億円を集める目標で1300万円しか集まらなかった。ただ、このクラファンはオールオアナッシングでなく、集まった金額がもらえるタイプなので、高野連は1300万円を稼いだということになる。
正直、当方は、今の状況のクラファンというのは相当に成功が難しいと感じており、これから挑戦しようと考えておられる方は相当の工夫が必要だということを認識してもらいたい。
さて、早い時期にクラファンに挑戦していたブランドは逆にクラファン離れ、もしくは違う販売方法との使い分けというケースが増えてきている。
かのオールユアーズもほとんどクラファンをしなくなったし、BMCのブリッツワークスもクラファン以外の販売方法を模索し始めている。
今回は、プロテクター内蔵可能なバイク用チェック柄シャツの開発だが、これはクラファンしないそうである。
自社サイトからの受注生産を初めて開始する。
これについて青野睦社長から直接話を伺った。
今回、お得意のクラファンではなく、自社サイトでの受注販売に切り替えられた最大の理由は
「クラファンサイトにはバイク乗りの客は少ないのではないか?」
という分析によるものだった。
過去にいくつか、バイク向け用品でクラファンに挑戦し、成功はしたものの達成額はカツカツだったとのことである。
他の「一般的なカジュアルウェア」をクラファンした場合よりも、明らかに達成額が低いため、
「客層が異なるのではないか?」
という結論に至った。
またクラファンの内情についても
「ざっくり言って、達成額100万円くらいではほとんど利益が残らない」
ともいう。
理由は、手数料としてだいたい20%くらい差し引かれる。そして、目立たせるためにはクラファンへの広告出稿が必須であり、フルパッケージでだいたい20万円必要になる。無名ブランドが目立たないと成功する確率は著しく低下してしまう。
仮に100万円を達成したとして、単純に40万円が差し引かれることとなる。
このあとさらに商品送付料も必要となる。1個あたり800円とすると、100個送付で8万円となる。この時点でほぼ半額になっている。
この半額を使って製品を量産するわけだから、製造する商品にもよるが、手元に残るのはだいたい10万円未満ということになるだろう。
ある程度の利益を確保したいなら200万円~300万円の達成額が必要になる。
バイクYouTubeを使って告知し、自社サイトでの受注生産が上手く行ったなら、次回からバイク用商品はすべてこのやり方で開発販売を行いたいという。
YouTubeとて、一朝一夕には登録者数、視聴回数は増えないからこちらも地道で定期的な動画更新が必要となる。
「空中戦」とも例えられるインターネットだが、知名度を高めるためには、地道な更新が必要不可欠であり、インターネットを開始すれば、すぐに大勢の人に見られて商品が売れると考えている人たちには早急に認識を改めてもらいたい。
BMCのストレッチデニムブルゾンをどうぞ~